「放射性汚泥」「がれき」「防護服」・・・放射能汚染ごみの「焼却」は、何をもたらすのか?
引き続き考えていきたい。
◆汚染防護服など焼却へ 東電、第1原発敷地内で
(2012/08/15 23:11 共同通信)
東京電力は15日、福島第1原発敷地内などで保管している使用済みの防護服や手袋など放射性物質に汚染されたごみについて、原発敷地内に焼却炉2基を増設して焼却処分する計画を明らかにした。東電は昨年3月の事故後、収束作業で出た汚染ごみを全量、袋や容器に入れて保管していた。
東電などによると、5月末までに第1原発で約4700立方メートルが保管されている。第1原発での許容保管量は約1万8千立方メートル。事故対応拠点「Jヴィレッジ」では2月末時点で約6300立方メートルが保管されている。
新たな焼却炉の処理能力は1基当たり1日7・2トン。5、6号機の北側に設置する。焼却炉から出るガスや煙は、複数のフィルターを通して放射性物質の濃度を十分下げた上で、排気筒から外部に放出するという。
4号機南側の施設内にある従来の焼却炉は、増設する焼却炉に比べ処理能力が半分以下。現在は汚染水の処理装置が設置されているため使用不能で、汚染ごみがたまる一方となっている。
東電は2012年度後半に増設工事を始め、14年度中の稼働を目指す。経済産業省原子力安全・保安院の専門家会議で15日、説明した。
◆放射能下水汚泥、行き場なし 業者引き取らず、保管限界
(2011年6月6日 朝日新聞)
福島県に続き、東日本各地の下水処理施設の汚泥から相次いで放射性物質が検出され、影響が広がっている。国は処分できる明確な基準を示せず、行き場のない汚泥や焼却灰はたまる一方。セメントの原料などとして再利用できるはずが、受け取りを拒否する業者が相次いでいる。
■「6月中しかもたない」
「あと数日で置き場所がなくなる。いったいどうすればいいのか」
川崎市の下水処理場4カ所からの下水や雨水を処理する入江崎総合スラッジセンター(川崎区)の大河内孝所長はため息をつく。
5月13日の調査で、汚泥から放射性セシウムが1キロあたり470ベクレル、焼却灰から1万3200ベクレル検出された。焼却灰は市内の業者がセメントに再利用してきたが、「安全が確認されるまでは」と搬入を拒否。炉内では保管しきれず、二重の袋に入れ、通路の壁際に高さ約2メートルまで積み上げる。これまでに約550袋、計220トンに達した。
東京都立川市の下水処理場では、地下1階倉庫の半分を焼却灰を詰めた袋が占める。セメント業者は5月上旬から受け取りを拒否。汚泥と焼却灰からはセシウムやヨウ素が検出された。服部敏之・市下水処理場長は「6月いっぱいしかもたない」。
管理する8カ所の処理場いずれからも検出された茨城県も汚泥の搬出を停止。穴を掘ってゴム製シートを敷き、ブルーシートを重ねて汚泥を流し込む。焼却灰は二重の袋に入れ、鉄板の上に置いている。農業集落排水処理施設でも、82カ所のうち78カ所で汚泥からセシウムが検出された。
セメントの原料として受け入れてきた業者は「自治体が搬出を再開したら受け入れる。ただ、製品が1キロあたり100ベクレルを超えていないか検査する」と話す。
作業員の不安も大きい。立川市では作業員はゴーグルにマスク、防塵(ぼうじん)服の完全装備だ。埼玉県秩父市は急きょ、防護服を発注。3日には同市など地域の1市3町が、具体的な処理方法や基準を国に求める緊急要望書を知事あてに提出した。
住民への不安も広がる。さいたま市は処理施設で継続検査をし、結果をホームページに掲載する。埼玉県も施設に線量計を置くことにしている。
■国、近く基準決定
福島県が汚泥からセシウムが検出されたと発表したのは5月1日。放射性物質に汚染された雨水が下水道管に流れ込み、下水処理の過程で濃縮されたとみられ、福島から離れた地域でも放射性物質が見つかるようになった。それまで国に指針はなく、11日後に当面の考え方を発表した。
汚泥1キロあたり10万ベクレルを超えるかどうかで対策を分け、飛散防止策をとり、監視できる状態で保管できるなどとした。しかし、最終処分できる基準はなかった。近く、新たな基準や対策を決める方針だ。
下水道法は自治体に汚泥の再利用を求め、8割はセメントや肥料に使われている。国はセメントとして利用して1キロあたり100ベクレル以下になれば問題ないとしているが、実際は再利用は滞っている状態だ。
■1キロ17万ベクレル
水道水から放射性ヨウ素が検出され、東京都が乳児への摂取を制限していた3月下旬。東京都江東区の下水処理施設で汚泥の焼却灰から1キロあたり17万ベクレルの放射性物質が検出された。他の施設でも確認されたが、都は「国の基準がなく、問題視しなかった」とそのまま再利用に回したという。
国が5月に基準を示したため、23区の焼却灰は処分場に保管することに。放射性物質の数値は4月より下がっていたが、セメントと混ぜて固め、東京湾の埋め立て地の処分場に埋めて土で覆った。それでも5月25日の埋めた場所の放射線量は、同日の新宿区と比べると、3?8倍ほどの数値だったという。
「売れないと収益が減ってしまう。これまで通り売りたいのだが……」。そう心配するのは長野県だ。
諏訪市にある終末処理場は灰などに高濃度の金が含まれることで有名だ。金鉱脈が温泉に溶け出し、下水に流れているなど理由は諸説ある。県は3年前から灰の売却をはじめ、年間数千万円の利益がある。しかしこの灰などからセシウムを検出、留め置いた状態だ。
◆放射性汚泥、8千ベクレル以下は埋め立て可 国が新基準
(2011年6月17日朝日新聞)
東日本各地の下水処理施設の汚泥から放射性物質が検出され、各地の自治体が処分に困っている問題で、政府の原子力災害対策本部は16日、処分にあたっての新たな基準を示した。汚泥や焼却灰1キロあたりの放射性セシウムが8千ベクレル以下の場合は、居住地や農地に使わなければ埋め立て処分できる――などとしている。
上水道の処理の過程で出る汚泥にも同じ基準を適用。下水汚泥から一定基準を超えて検出されたと公表している福島や東京など13都県に伝えた。
この問題は、福島県が5月1日、下水汚泥からセシウムが検出されたことを明らかにして表面化。対策本部は同12日、1キロあたり10万ベクレルを下回ったものについては「仮置きして差し支えない」などと示したが、各地の自治体から「あいまいすぎる」と批判が出て、新たな基準を検討していた。
対策本部が16日に発表した基準は、セシウムが8千ベクレル以下の場合、防水対策をし、居住地や農地に使わなければ埋め立て処分できる▽8千ベクレルを超え、10万ベクレル以下の場合、住民の年間放射線量が10マイクロシーベルト以下になるよう対策を取れば埋め立て処分できる▽10万ベクレルを超えれば、遮蔽(しゃへい)できる施設で保管することが望ましい――としている。
処分場と周囲の住宅地の距離については、10万ベクレル以下なら70メートル、7万ベクレル以下なら50メートル離れることが望ましいなどとし、8千ベクレル以下は問題ないと説明している。
下水道法は汚泥の再利用を求め、8割はセメントなどとして使われる。対策本部は5月、セメント1キロあたり100ベクレル以下であれば問題ないとしたが、汚泥の受け取りを拒否する業者が相次いだ。今回の発表でもセメントの基準については変わらなかった。
太平洋セメントは15日、ホームページで、低濃度の汚泥などの受け入れを始めたと発表。IR広報グループは「下水汚泥の引き取りは社会的要請。製品の放射能濃度が基準以下であることを確認している」と話す。ただ、セメントの利用を拒否する建設会社などもあるとみられ、国土交通省の担当者は「基準以下でも利用を拒否すれば、風評被害に加担していることになる。新たな基準をきちんと伝えたい」としている。(坂田達郎)
◆汚染汚泥・焼却灰、14都県で12万トン
(2011年7月29日 読売新聞)
東京電力福島第一原子力発電所事故の影響により、各地の浄水場や下水処理場で放射性物質を含む汚泥が排出されている問題で、処分先が見つからないなどの理由で施設内に保管されている汚泥や焼却灰は、14都県で少なくとも約12万トンに上ることが28日、厚生労働省と読売新聞の調べで分かった。
自治体からは「早期に国が処分先を確保すべきだ」という声が出ている。
浄水場については、厚労省が宮城、山形、福島と関東甲信越、静岡の計14都県を対象に、12日現在の脱水汚泥の保管状況を調べ、28日公表した。
下水処理場については読売新聞が、これらの都県及び各県庁所在地、政令市が把握している脱水汚泥や汚泥の焼却灰などの状況を27日までに集計した。
◆汚泥焼却灰、27日から埋め立て開始
(2011年10月26日 日テレNEWS)
放射性物質を含む汚泥の焼却灰の処理をめぐり、東京・多摩地区の下水処理場では保管場所が足りず、問題となっているが、東京都は26日、中央防波堤への埋め立てを27日から開始すると発表した。
多摩地区にある7つの下水処理場で処理された汚泥の焼却灰からは、最高で1万7000ベクレルの放射性セシウムが検出され、処理場に約3000トンの焼却灰が仮置きされたままとなっている。処理場では毎日26トンの汚泥焼却灰が発生するが、東京都は27日から、これを東京・大田区の南部汚泥処理プラントに運搬し、コンクリートと混ぜ合わせた上で、中央防波堤の廃棄物埋め立て処分場に埋め立てることにした。
しかし、仮置きされている汚泥焼却灰については、運搬方法が決まっていないため、当面、保管したままになるという。
◆保管の汚泥焼却灰 本格的に搬出 ―東京 多摩地域―
首都圏ネットワーク (2012年2月2日 NHK)
多摩地域の下水処理施設で保管されている、放射性物質を含む汚泥焼却灰。東京都は安全に排出できる対策が整ったとして、昭島市に保管されている分から、東京港にある処分場への搬出作業を開始しました。
一方、単独で下水処理施設を運営している自治体では、処分の見通しが立たない状態が続いています。立川市は、1月末までに約200トンの焼却灰を保管しており、引き続き都と調整をしていくということです。