インタグツアー2008報告 ~その3~
【樹を植えましょう】
今回のツアーでは現地の人とメンバーが一緒になって3回の植林を行ないました。これは、コーヒーの売上の一部を産地に還元する活動のひとつでもあります。クエジャヘの町、アンニャさんがプロジェクトを展開しているエル・ミラグロ、通訳兼コーディネーターを務めたワダアヤが住むエル・バタン村の3箇所です。
インタグツアー2008報告 ~その2~
【いざ、コーヒー農園へ】
10周年イベントの翌日はAACRI会長のエドムンド・バレラさんの案内で2つの農場を訪問。ひとつ目はエルビータさんの農園。農園はもちろん森林農法です。コーヒーの樹が、材木用や果樹などの様々な木々の中に育っています。参加メンバーのカドさん(スロー社)は普段販売しているインタグコーヒーが育っている現場にて「すっげ~!!本当にいろいろな木がある中にコーヒーもあるんだねぇ。興奮してきちゃった。感動的だぁ~!」と眼を輝かせていました。
エルビータさんの農園。手前がコーヒー、奥にはバナナが植わっている。
インタグツアー2008報告 ~その1~
つながり実感
~コーヒー、森、ひとびと~
9月24日~10月4日まで、エクアドル・オルタナティブツアーという設定で9名+αのメンバーがインタグコーヒーの産地10泊11日間の旅をしてきました。主な目的はウインドファーム(WF)のフェアトレード・パートナーである生産者団体AACRI(インタグ有機コーヒー生産者組合)の10周年を一緒にお祝いすることでした。
続きを読む 『インタグツアー2008報告 ~その1~』カルロス・ソリージャ講演録 ~その2~
解決策の一部か問題の一部か
皆さんに良く考えて欲しいのは、次のことです。「こういった問題は遠い国の話で、自分たち自身とは大した関係がない」と思う方もいらっしゃるかと思いますが、実はそうではありません。
カルロス・ソリージャ講演録 ~その1~
08年6月14日にウインドファーム主催で行った「コーヒーが森を守った!! 森の哲人 カルロス・ソリージャさん講演&対談」の記録です。
講演と対談だけではなく、道中でソリージャさんと話したことも含めて話の要点を皆さんにお届けします。
「自ら解決策の一部にならなければ、それは直面する問題にあなた自身が加担するということだ」
by カルロス・ソリージャ
インタグコーヒー物語 第13回 インタグコーヒーの作り手たちを訪ねて
〜その5 アンヘル・ゴメスさん
ウインドファームスタッフの後藤が、インタグコーヒーの産地であるエクアドルを訪問した際のレポートをお知らせいたします。
アンヘル・ゴメスさん訪問記
AACRIがあるアプエラの郊外にアンヘル・ゴメスさんの家と農園がある。車を降りてから、大きな川に掛かる一人がやっと通れる程度の吊り橋を歩いて渡り、農園へと向かう。「こんな細い吊り橋、コーヒーはどうやって運ぶのだろう?」と余計な心配をしてしまう。
農園全体は15ヘクタールほどで、酪農もやっており、牧草地や山もあるという。コーヒーは1ヘクタール。もちろん森林農法だ。なるほど、バナナの木やアボガドの木が伸び伸びと育っている中に、コーヒーの木も植わっている。
アンヘル・ゴメスさん
〜その5 アンヘル・ゴメスさん』
インタグコーヒー物語 第12回 インタグコーヒーの作り手たちを訪ねて
〜その4 アルフレド・イダルゴさん
インタグコーヒーを通して紡がれる人のつながり。その起点に位置するインタグコーヒーの作り手たちの姿を、ウインドファーム、エクアドル駐在員、和田彩子さんからのレポートを通してお伝えするシリーズの第4回目。
コーヒーの森に立つアルフレドさん
今回のインタグのコーヒー生産者インタビュー先は、アルフレド・イダルゴさんのお宅。インタグの中心地であり、インタグ・コーヒー生産者組合(AACRI)の事務所があるアプエラから徒歩で30分ほどのところにある。彼の家から車道まではほんの10分ほどだ。インタグとしては非常に立地条件がよいところなのだが、ここには電気が通っていない。またここはコミュニティーには属しておらず(というより、コミュニティーがない)、隣家まで15分ほどである。川がそばにあり、とても気持ちのよいところだ。川では水浴びもできる。
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インタグコーヒー物語 第11回 インタグコーヒーの作り手たちを訪ねて
〜その3 ホセ・クエヴァさん
インタグコーヒーを通して紡がれる人のつながり。その起点に位置するインタグコーヒーの作り手たちの姿を、ウインドファーム、エクアドル駐在員、和田彩子さんからのレポートを通してお伝えするシリーズの第3回目。
ホセ・クエヴァさんとコーヒー樹
約2年ぶりのコーヒー生産者インタビューのために訪れたAACRI(インタグの有機コーヒー生産者組合)の生産者、ホセ・クエヴァさんは、他のインタグのコーヒー農家の人々とは一線を画している。彼とのインタビューは、「僕の農園は、吸収型マルチ階層式という農法を用いていて…」といきなり専門用語から始まった。
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インタグコーヒー物語 第10回 インタグに移り住む人々
〜その2 インタグ新聞編集長、メアリー=エレン・フューイガー
インタグの森に移り住み、その自然を守るため新聞を発行し続けているメアリー=
エレン・フューイガーという女性がいる。新聞の名前は「インタグ新聞」。その 取り組みは、
単に情報を発信するに留まらず、新聞という文字媒体にとっての前提条
件となる識字率の改善も含まれる。記者を育て、読者を広げながら、ゆっくりと、し
かし確実に情報を提供するメアリーの新聞作りは、インタグでの鉱山開発への対策を
模索するなかから始まった。メアリー=エレン・フューイガー
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〜その2 インタグ新聞編集長、メアリー=エレン・フューイガー』
インタグコーヒー物 第9回 インタグに移り住む人々
〜その1 アンニャ・ライト
ひとたびインタグの森を歩けば、人はその美しさに魅了され、森を守りたいと願う。そのために、年々、海外からインタグを訪れる人は増え、なかにはインタグの森に移り住む人も現れる。そして、そこから生まれる新たなつながりを通して、人々はインタグという一つの地域の問題を、地球全体で分かち合うようになっていく。続きを読む 『インタグコーヒー物 第9回 インタグに移り住む人々
〜その1 アンニャ・ライト』
インタグコーヒー物語 第8回 インタグコーヒーの作り手たちを訪ねて
〜その2 オルヘル・ルアレスさん
インタグコーヒーを通して紡がれる人のつながり。その起点に位置するインタグコーヒーの作り手たちの姿を、ウインドファーム、エクアドル駐在員、和田彩子さんからのレポートを通してお伝えするシリーズの第2回目。(コーヒー樹を育む熱帯雲霧林)
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〜その2 オルヘル・ルアレスさん』
インタグコーヒー物語 第7回 インタグコーヒーの作り手たち
〜その1 コルネリオさん
果たして、インタグコーヒーは遙か遠い東の国、日本とのつながりを得るに至る。 その過程には、それぞれの役割を担う多様な人がいる。例えば、コーヒーを輸出する人、輸入する人、焙煎する人、そして、それを飲む人。インタグの出来事や問題を伝える人、言葉を翻訳して世界に伝える人。数ある役割のなかで、そのつながりの起点に位置するのは、コーヒーを作る人々である。ウインドファーム、エクアドル駐在員、和田彩子からのレポートを通して、インタグの森でコーヒー栽培を営む人々の姿をお伝えする。
(ウインドファーム エクアドル駐在員 和田彩子)
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〜その1 コルネリオさん』
インタグコーヒー物語 第6回 終わらない鉱山開発
インタグコーヒーが超えていくべき課題
インタグの森を守ろうとするコタカチ郡の試みや住民の意志、自治体の決定にも関わらず、鉱山開発の動きが終息することはなかった。
その背景の一つに、対外債務(国際的な借金)の問題がある。「途上国援助」という名の下に、援助する側の国の企業が道路やダムや発電所などの建設を受注して潤うという構造は、エクアドルに限らず世界の至るところで大きな弊害を生み出している。
(インタグのやまなみ)
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』
インタグコーヒー物語 第5回 アウキ知事の取り組み
AACRIが設立された1996年、ある一人の先住民が知事となって登場する。(アウキ・カナイマ・ティテュアニャ コタカチ郡知事)
1492年以降、スペイン人の南米への侵略から始まる500年の歴史の中で、エクアドル先住民の社会は崩壊し、多くの命が奪われ、その政治制度、経済制度、宗教、言語は、全て変えられてきた。これに対して先住民族は、非暴力の平和的な抵抗のなかで、土地を求めて闘い、先住民族自らを再生させるための作業を黙々と続けてきた。
その結果、この20年で先住民族の政治参加と権利回復は急速に進み、エクアドルの人口1200万人のうち42%を占める先住民族の中から議員や自治体の首長が出始めるようになっていた。
インタグ地方を行政区域として治めるコタカチ郡において、初めて選出されたキチュア族出身の知事の名は、アウキ・カナイマ・ティテュアニャ。「自由の闘士」という意味をもっている。「盗んではいけない。嘘をついてはいけない。誠意を持って生きよ」というキチュアの教えを大切にするこの31歳の若き知事の仕事ぶりは迅速で、彼の存在がインタグの森にとって重要な意味を持つようになるまで、そう多くの時間はかからなかった。
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インタグーヒー物語 第4回 インタグコーヒーの芽生え
インタグコーヒー生産者協会の設立まで
巨大な力を持つ開発勢力に対抗するためには、住民が力を合わせて立ち向かう必要がある。そのためにカルロス・ソリージャは、「住民運動を組織しよう」と提案する。 1995年1月、「インタグの生態系の防衛と保護」という名の環境保護団体DECOIN(以下、デコイン)がインタグの住民によって結成され、カルロス・ソリージャは副会長に就任した。
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インタグコーヒー物語 第3回 迫り来る森の危機
その森は、破壊の危機と隣り合わせの受難の森でもあった。
コロンビアの西側からエクアドルの北西部には、類い希な生物多様性に優れた「チョコ生命地域」と呼ばれる地域がある。インタグ地方の森もそこに属しているが、その多くは牧草地やバナナ、パーム油を栽培するために伐採されてしまい、かろうじて 残っているのがインタグ地方とその近辺の森だけというのが実状だった。
そのうえ豊富な鉱山資源が発見されたインタグの森には、さらなる伐採と破壊の危機が訪れる。
若くリベラルなカトリックの司祭、ジョバンニ神父からインタグに「鉱山業者」が存在することを知らされるまで、カルロス・ソリージャは自分の足下に森林破壊の危機が迫っていることを知らなかった。鉱山開発計画と大規模な試験採掘は、地元住民との対話が一度もないままに進められていた。
鉱山開発で影響を受ける地域の森林は、500ヘクタールの広さのなかに、アメリカとカナダ全域を合わせた種類よりも多くのハチドリや蘭(ラン)が生息しているという。多様な生命が躍動する舞台には、絶滅の危機に瀕しているジャガーやホエザル、 メガネグマも生息している。
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インタグコーヒー物語 第2回 森の人、カルロス・ソリージャとの出会い
森の人、カルロス・ソリージャとの出会い
一九九一年、一〇月一日の昼下がり。森の小道に人影が二つ。ある男に会うために、また一歩、その深き緑の世界に入っていく。一人は、この地域の環境保護活動に取り組むシンガーソングライター、アニャ・ライト。もう一人は、日本でウインドファームというコーヒー会社を経営する中村 隆市。二人の来訪を待ち受ける男の名をカルロス・ソリージャという。
中村は、その豊かな自然に感動しながら、今回の旅を楽しんでいた。有機栽培コーヒーのフェアトレードを手がけてから十一年。中村隆市の旅にはいつもコーヒーが絡んでいたが、これから会いにいくカルロス・ソリージャという男も、この森のコーヒー生産者だった。
そして、これもいつものことなのだが、コーヒーの作柄以上に、その人柄の方に強い関心を持っていた。
カルロス・ソリージャに会うのは今回で二度目になる。八ヶ月前にこの森を訪れたときには、ゆっくり彼と話しをすることができなかった。環境保護活動に取り組みながらコーヒーを栽培しているカルロス・ソリージャという人物を、もっと深く知りたい。自ずと、歩調は速まる。
森のなかにひょっこりと現れた家の食卓で、カルロス・ソリージャは昼食を用意して待っていてくれた。
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インタグコーヒー物語 第1回 インタグコーヒーを育むその風土から・・・
南米大陸の片隅にひっそりと位置するエクアドル。空から見下ろせば、そこにモザイクの如く多様な自然がひしめき合っているのが分かる。高度六〇〇〇メートルを超えて南北に連なるアンデスの山稜。山裾には、マングローブが生い茂る海岸線が大西洋と向き合あい、その先にガラパゴスの島々が点在する。
海辺から発する湿潤な風は、聳え立つ山稜に向かって上昇しながら、雲を呼び、霧を運び、やがて山稜の中腹に豊かな熱帯雲霧林という世界有数の生物多様性を誇る森が形成される。
インタグコーヒーを育む風土を旅するなかで、私たちはまず、この豊かな森を守るエクアドルのコタカチ郡という地域に降り立たなければならない。