農作業は、月曜日から土曜日の午前中まで行われる。1週間の労働を終えた土曜の夜には、農場内に建てられた教会に、近隣の農場からの信者も含めて30人ほどが集う。協会では、聖書が読まれ、ギターを伴奏に聖歌が歌われる。
アントニーノは、明日サッカーの試合があるため来ていないが、奥さんのエリゼッチはみんなの輪のなかで歌っている。奥さんと訪れた現場監督のニーノは、静かに目を閉じ、祈っているのか眠っているのか分からない。2人の子どもと一緒に来たシルビオもアクビを噛みしめては目を潤ませていた。1週間の労働の後だから疲れもたまっているようだ。
聖書の言葉に飽きた子どもたちは、表にでて戯れる。夕方から鳴きだした虫の音はやまず、丘陵の稜線に囲まれた天空には星が満たされる。8月の南半球の空には、ケンタウルス座と南十字星が陣取っている。
1月になると、星の他に、小さな光が宙を彷徨うようになる。ブラジルでは「バーガ・メール」と呼ばれる蛍だ。星と蛍の瞬きが漂う夜の静寂に包まれて、ジャカランダ農場の1日は終わる。
投稿者 akira : 2005年05月10日 12:12