2006年07月25日

コーヒーを育む雲霧林への誘い

インタグへの道程

 エクアドルの首都であるキトから車で2時間、コタカチ郡のアウキ知事も住むコタカチ市に到着する。コタカチ市は聖堂を中心に広がる小さな町で、住民の多くは先住民である。女性の多くは白のブラウスに黒のスカートを基調とする民族衣装姿で、男性の多くは、長い髪を1本の三つ編みでまとめている。

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インタグの森へ

 天気は午前中は晴れ、午後から小雨が降るなど、本格的な雨季に入る直前の様子であった。訪れたのは10月下旬ながら、日差しは強く、日焼けするには充分な日光が降り注いでいた。この町はインタグ地方へ向かう基点となる。町の郊外10kmに観光地として有名なクイコチャ湖をより西へ進むと、インタグコーヒー生産者の住むインタグ地方となる。

 エクアドルを旅する際に、標高や村々の位置関係を確認する地図を手元に欲しかったが、エクアドルにおける地図販売は軍関連の窓口が担当するとのことだった。そのため、滞在地と移動先の地理を把握することは困難であった。

霧の道を進んで

 コタカチ市からインタグ地方に向かう途中、インタグ地方に足を踏み入れたと分かる瞬間は、道路が未舗装となること。そして、それを境に高度を増して行き、完全に霧の中の山道を進むこととなる。気温も下がり始め、Tシャツ姿では寒さを感じるため上着が必要になる。霧の深さは荷台の荷物を濡らす程で、荷物をビニールシートで覆い再出発となる。所々、崖崩れの跡も見られることから、未舗装の山道は雨天時には危険を伴うことが窺い知れる。

 この道は地元の人々の生活道路でもあり、屋根に大きな荷物を積み、ゆっくりと進むバスと時折すれ違う。視界は10メートルあるかという中を約1時間半進み、高度が下がり続けることで霧も晴れて行く。続く道程は温暖な地域で、再び太陽の光が差し、未舗装の道路の両脇には南国の花々が所々に咲いている。

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さらに森深くへ
やがてアプエラの町に到着

 何度が起伏のある丘陵地帯を越えると、進行方向の左側に視界が開けてくる。その道は山の頂上から一気に谷底へ降りるように進んで行く。その左側に藪の間から見える景色は、以前に写真で見た景色であり、アプエラの町に到着することに気付く。この町には、インタグコーヒー生産者組合、インタグ新聞社、環境保護NGOのデコイン、そして開設されたばかりの図書館がある。

 アプエラの町にたどり着くと、左右にほぼ垂直の絶壁を見上げる景色が広がる。町を流れるインタグ川の渓谷の奥底に位置するのが分かる。町は小さな教会を中心に、1本の通りに沿って町の機能が集まっている。アプエラの中心部は、500mも歩けば充分な程である。

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森の中で育つコーヒー樹

(レポート/ 井上智晴=ウインドファームスタッフ)

投稿者 akira : 2006年07月25日 12:37