4号機使用済み燃料プールの安定確保に関する緊急要請書

福島第一原発4号機使用済み燃料プールの安定確保に関する緊急要請書
(2012年5月2日 Shut 泊)から抜粋
2012年4月30日

福島第一原発4号機使用済み燃料プールの安定確保に関する

緊急要請書  

内閣総理大臣 野田佳彦 様

4月12日、福島第一原発4号基の冷却装置が停止し、翌13日には冷却が再開されたものの、その2時間後には、また地震に見舞われています。日本気象協会によれば、1月10日から4月19日までの100日間の間に日本全国を襲った地震の総数は、1030回、震度3度以上の地震は108回、最大規模は3月14日のマグニチュード6.8の地震となっています。[1] 気象庁のデータからは、福島県を含む東北から関東地域一帯に地震が多発していることがわかります。[2]

現在、日本の国内外で、元外交官や専門家の方たちが、4号機の使用済み燃料プール危険性を指摘し、外国のメディアでも大きく報道されております。[3]

使用済燃料に関する第一人者である米政策研究所のロバート・アルバレス氏は、4号機の使用済み燃料プールには、チェルノブイリ事故により放出されたものの10倍にも上るセシウム137が含まれている、もし地震等により、プールの底が抜け、または4号機の原子炉建屋が倒壊した場合、プールの冷却水が全て流出し、高濃度の核廃棄物が短時間のうちに発火しうることを指摘しています。

4号機の使用済み燃料プールは遮蔽されていないため、こうしたことが起きれば、火災と煙で揮発性のCs―137は直接大気中に放出されることとなります。アルバレス氏は、福島第一原発の使用済み燃料プールには、全部で10,893本の燃料棒が保管されており、もし大きな地震が起きれば、チェルノブイリの85倍にも上る放射能が放出されることになると警告しています。[4]

アメリカのアーニー・ガンダーセン氏、日本の小出裕章氏、後藤政志氏ら原子力の専門家の方たち、元国連職員の松村昭雄氏も、一貫して4号機使用済燃料プールの危険性について警告を発信されてきました。[5] 元在スイス、セネガル大使の村田光平氏は、2012年3月22日の参議院予算委員会の公聴会に招聘され、福島原発事故について以下のように述べられました。

「いかに現在、日本、そして世界が危機的状況に直面しているかということであります。人間社会が受容できない、この原発のもたらしうる惨禍のリスク、これをゼロにしなければならないと、私は、福島事故は全世界に想起させつつあると信じております。そして、このような事故を体験しながら、なお脱原発に躊躇するというのは倫理の欠如という誹りを免れないと、私は考えております。

4号機の対策として考えられている燃料棒取り出し作業の開始が来年末以降というのは断じて理解できませんし、放置してはならないと考えております。著名な核科学者は中立の評価委員会の設置の提唱を始めました。そして上下両院の軍事委員会に、米軍の命の安全のための公聴会を開くように働きかけ出した、ということでございます。」[6] 

村田氏は、3月25日付けでバン・ギムン国連事務総長に宛てて、書面を提出されています。この書面の中で、村田氏は、元国連職員の方が、福島第一原発4号機の危機的問題に関する原子力安全サミットの開催と、独立したアセスメントチームの設置に向けてすでに働きかけを始めている事実を伝え、「人類の英知を結集して、福島第一原発4号機の問題に取り組みましょう」と呼びかけておられます。[7] 村田氏は同日、野田総理に対しても、同様の書面を提出されていると理解しております。[8]

また、米上院議員として初めて、4月6日に福島第一原発の視察に訪れたロン・ワイデン氏は、同原発の状況が、予想を遥かに超える危機的なものであるとし、それを回避するために日本が国際的な支援を要請すべきだとする書簡を藤崎一郎・駐米大使に4月16日付けで送付し、同日付けで、同様の書簡がスティーブン・チュー・米エネルギー庁長官やヒラリー・クリントン国務長官、米原子力規制委員会のグレゴリー・ヤツコ委員長にも送られています。[9]

私たち脱原発をめざす市民団体は、今、日本が国際社会の一員として果たすべき役割は、あらゆる知恵と手段を駆使して、この危機を乗り切ることであると考えます。そのためには、最も危機的な状況にある福島4号機の使用済み燃料プールの安定化のために、国内外に協力を仰ぐことが緊急課題であると考えます。よって、以下の要請を行います。

1. 福島第一原発4号機の使用済み燃料プールに関する詳細且つ正確な情報を、緊急 に国民と世界に開示すること
2. 4号機の使用済み燃料プールの安定確保のために、緊急に、国内外の専門家と米原子力規制委員会、米エネルギー省、国連を含む国際機関の支援協力を求めること

私たちは、福島4号機の使用済み燃料プール安定確保のための協力を、世界の市民団体、各国政府及び国連に対して広く呼びかけていくつもりです。日本政府の速やかなる対応に期待いたします。

2012年4月30日

連絡先
 Shut泊
  札幌市白石区東札幌6条4丁目1‐2 TEL 090-2695-1937 FAX 011-826-3796
 グリーン・アクション
京都市左京区田中関田町22-75-103 TEL 075-701-7223 FAX 075-702-1952

賛同者
小出裕章 京都大学原子炉研究所
村田光平 元駐スイス、セネガル大使、地球システム・倫理学会常任理事
松村昭雄 元国連職員
後藤政志 元原子力プラント技術者
ロバート・アルバレツ 政策研究所 (ワシントン、アメリカ)

賛同団体 ※省略

日本語要請文 賛同送り先 kaori-izumi@ta3.so-net.ne.jp (賛同団体名、地域を明記)


参考:こどもの日を手放しでは祝えない放射線の恐怖(ロバート・アルバレス)

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