フロントランナー 脱原発を訴える在野の論客
環境エネルギー政策研究所所長 飯田哲也さん(53歳)
(2012年5月19日 朝日新聞)から抜粋
昨年3・11の東日本大震災以降、原発と自然エネルギー両方の政策を最もよく知る研究者として、引っ張りだこだ。政治家らに脱原発を働きかける合間をぬって、この1年余りの間に約250回の講演をこなした。本は共著も含め約50冊。
原発や化石燃料よりも、これからは持続可能な自然エネルギーの時代と論陣を張って足かけ約20年。金もかかるし風やお日様まかせの電気なんてと、業界からどれほどけなされても、「そんなものは政策一つで変わる」と、在野きってのエネルギー問題の論客は首尾一貫、訴え続けてきた。
かたや国家と大企業、かたやボランティア含めスタッフ約50人のNPOの代表。巨像とアリの闘いにも、まったくへこたれる様子はない。自ら実践しようと、市民から出資を募り、有志と各地に風車や太陽光発電所をいくつも建てた。地球を汚さない地産地消のエネルギーだ。
7月からは自然エネを大幅に増やす制度がスタート。10年以上前からの提言の一つがようやく実を結ぶ。「長かったとは思わない。日本が変わらないなら仕方ないという割り切りもあったし」と、あっけらかんと言う。
「でも、未来は僕らの方を向いている。そのためにこの10年戦う覚悟です」