原発事故から2年、「放射線管理区域」に住み続ける子どもたち

福島原発事故からまもなく2年。「放射線管理区域」に匹敵する場所に多くの子どもたちが住み続けています。通常、放射線管理区域には、一般人の立入りが規制されています。もちろん、そこで食事をしてはいけないし、子どもがそこで遊ぶことはできません。ところが、福島原発事故の後に、放射線管理区域と同レベルでも、それ以上に危険な場所でも「住んでいい」ということになりました。そして、100万人以上が今も住み続けています。被ばくの影響を最も受ける胎児、幼児、児童も住み続けています。

レントゲン室とおなじ、生活空間
(2013年2月14日 KAZE to HIKARI)から抜粋

放射能を身近に感じるのは、病院です。X線撮影やCT撮影する場所を『放射線管理区域』といいます。4万ベクレル/m2を超える可能性があり、一般の人は立ち入りを制限されている空間です。1ベクレルは、1秒間に1個の放射性核種が1回崩壊して放射線をだすことで、ここでは、1平米あたり1秒間に4万個の放射線が飛ぶことになります。

文部科学省の1024件の調査では、福島県の60%以上、栃木県、千葉県も50%以上が、このエリアの値を超えます。特に汚染のひどい双葉郡では、放射線管理区域の60倍から165倍という高い数値がでています。ここでは、昨年3、6、9、12月のデータ発表があり、現在でも放射能に減少傾向は見られません(Web資料)。

東日本大震災は、多くの命と、かけがえのないふるさとを、奪い去りました。復興庁の報告では、避難者として登録されている方は、31万6千人にもなります。時の流れは、そのことすら私たちの意識から消し去ろうとします。しかし、原発事故によって、レントゲン室の値を、はるかに超える放射線空間が、あの広大な東日本に、こつ然と現れたのです。

放射性セシウムの土壌検査

文科省のセシウム土壌調査

出典:ガンマ線放出核種(セシウム134、137、銀110m)の核種分析結果(第2次分布状況調査)
(平成24年3月1日時点)

●集計は、セシウム134と137を合算しました。

https://radioactivity.mext.go.jp/ja/contents/7000/6212/view.html

放射線管理区域とは、一般人の立入りが禁止の場所
この場所に匹敵する汚染地に100万人が住んでいる

(2012-07-12 原発問題)から抜粋

「黒い物質」の測定に関する覚書
京都大学原子炉実験所 小出裕章

福島原発事故からすでに1年以上の時が流れた。原子力発電所から北東に広がる60万ベクレル/m2という猛烈な汚染地域からは、約10万人の人々が追われた。

しかし、日本の法令を守るのであれば、放射線管理区域に指定して一般の人々の立ち入りを禁じなければならない、4万ベクレル/m2の土地は、東北地方、関東地方の広大な地域に広がっている。

日本の国は、その広大な土地を捨てることができないと判断し、人々をそこに取り残した。被曝を避けたければ、その土地を捨てて逃げるしかないが、国は何の賠償も支援もしないという。

力のある人の中には自力で逃げた人たちもいるし、せめて子どもを被曝させたくないとして、子どもと母親を逃がし、父親は汚染地にとどまっている人もいる。

しかし、農民や、酪農・畜産家などにとっては、土地そのものが命であり、容易には逃げられない。

今現在、数100万人の人たちが、放射線管理区域の中で生活し、子どもを産み、子どもを育てている。

国は、除染をすれば、被曝量を減らせるかのように言うが、人間には放射能を消す力はない。「除染」とは汚れを除くという意味だが、本当のことを言えば、汚れは除けない。できることは、汚染を移動させることでしかない。そのため、私は「移染」という言葉を使っている。

そして、人間が自分で汚染を移動させる他に、自然もまた汚染を移動させている。
山に降った汚染は、里に降りてくるし、川に流れた汚染は海に流れる。

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