◆早川由紀夫の火山ブログ 放射能汚染地図(四訂版) 【空間線量地図】
◆広域放射能汚染に警鐘 群馬大・早川教授が作成
チェルノブイリと比較 面積半分でも人口は倍以上
(2011年7月22日 中日新聞)から抜粋
福島第1原発から北西に広がる福島県内の放射線量の汚染地図はよく目にする。では、線量が比較的高めの意外な「ホットスポット」の存在や、広範囲な稲わら汚染はどう理解したらいいのか。そんな放射能汚染拡散の全体像を示した東日本地図を、火山学が専門の群馬大学教育学部(前橋市)の早川由紀夫教授が作成した。噴火で吐き出される火山灰の分布を応用したという。21日、一般公開された授業を聴いた。(篠ケ瀬祐司、小国智宏)
「原発が爆発していなくても、放射能がくるかもしれない。爆発は怖いが、爆発していなくても怖い」。群馬大の公開授業で、早川氏が放射能汚染の特徴を話すと、教室内の緊張感が高まった。 開始が午前8時40分と早かったにもかかわらず、群馬県内外から約150人の聴衆が詰め掛けた。小学生を連れた家族が3組。母親らは最前列でメモをとりながら、熱心に耳を傾けていた。
早川氏が最初にインターネットで「放射能汚染地図」を掲載したのは4月。福島県教育委員会が測定した同県内の学校・幼稚園の放射線量を地図に落とした。
6月18日に改訂版を公表。ネットで知り合った人が作成した自治体発表の観測値7千以上を色分けした地図をもとに、早川氏が民間の調査などを「すべて頭に入れた上で、何が起こったかを表現した図」だという。
「人は放射能汚染には勝てないのだから、人が立ち去るしかない。そのためにはどこが危ないのかを知る必要があると考えた。リスク(危険性)を評価し、迅速に伝えるのが学者の仕事だ」と作図の動機を語る。
汚染は福島県近隣の宮城、茨城、栃木各県だけでなく、東北、関東各地に広がり、放射線量が高い場所もあると指摘。行政側の測定値と完全に一致はしないが、原発から遠く離れていても放射線量の高さが話題になった千葉県東葛地域や岩手県内の様子が一目で分かるように描かれている。
早川氏は福島第一原発から出た放射性物質が、地表近くに吹く風に乗って移動し、雨などによって落ちたと推測。汚染時期などから、大震災発生の翌3月12日に1号機が水素爆発した後から13日にかけて、宮城、岩手両県内に汚染範囲が拡大したと分析する。
14日に3号機が水素爆発した後の15日には、福島県飯舘村に続いて中通りから栃木県に汚染が広がったルートと、福島県の沿岸部から南下して茨城県で枝分かれし、関東各地を汚染したルートがあったとみる。
水素爆発後しばらくたった21日にも関東各地で高い放射線量が観測されたことから「爆発は穴が開いただけ。どんなタイミングで放射性物質が出るかは誰にも分からない」と早川氏は語る。
さらに自ら測定した群馬県の山の汚染状況も説明。チェルノブイリ事故と比べ「同程度の汚染面積は半分でも、(影響を受けた)人口は倍以上」と深刻さを強調した。
聴衆からは、放射能汚染の子どもへの影響についての質問や、不安の声が一時間以上続いた。
同県みどり市の女性は「水源地の山に放射性物質がはりついているのは心配」と発言。男性も地下水の影響を質問すると早川氏は「まだ放射性物質が山中の落ち葉と一緒にあるだろうが、今後(雨の多い日本で)どうなるかは人類は経験したことがない」と答えた。
栃木県小山市から来た母親は「(周辺よりも放射線量が高い)側溝は子どもたちに掃除をさせないよう、声を上げるべきではないか」と参加者に呼び掛けた。
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◆食品の暮らしと安全:放射能汚染地図 【土壌汚染地図】
※上記は月刊誌「食品と暮らしの安全」2012年2月号No274で掲載された格付け図の改訂版です。
※解説は月刊誌「食品と暮らしの安全」2012年6月号No278に掲載されています。
参照:文部科学省 放射線モニタリング情報 ※3~6月のセシウム134と137の降下物の積算値を参考にしました。線量の高い地域は、文部科学省 放射線量等分布マップを参考にしました。
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(出典www.toyokeizai.net)