経済博士
ラファエル・コレア様
私共の会社「有機コーヒー社」はインバブラ県コタカチ郡のインタグコーヒー生産者組合(AACRI)のコーヒーの質、生産者たちの熱意と誠意、そして環境に負荷を与えずに地域の経済活動を活発化するという設立意図、趣旨に感銘を受け、1999年よりインタグ産の有機コーヒーを輸入しています。また、このコーヒーは森林農法(アグロフォレストリー)によって、森を破壊することなく、様々な樹木や果樹、ナッツ、胡椒などと共に栽培されています。森林農法は、地球温暖化防止や生物の多様性を守る上でも大変重要な農法であり、自然と人間とが共生できるお手本のような農法だと思います。こうした農法がインタグ地区からエクアドル各地、そして、世界に広がっていくことが私共の希望です。
アセンダント・コパー・コーポレーションという鉱山開発会社が、インタグの鉱山の開発に参入してから、インタグ地方のコーヒー生産者のコミュニティーは鉱山開発賛成派と反対派に分断され、社会問題を生み出していると報告を受けています。のみならず、本年11月に起こったAACRIの設立メンバーであるカルロス・ソリージャ氏宅への不当な強制家宅捜索と、それに伴う暴力行為、また今月起こったインタグのフニン村への襲撃などの事態を深く憂慮するものです。12月7日付けで、エネルギーと鉱山開発省から、環境アセスメント調査が行われない限り、アセンダント・コパー・コーポレーションのインタグにおける活動停止命令が出ていると理解していますが、現在もアセンダンと・コパー・コーポレーションは不穏な動きを見せています。まだインタグに平和は訪れていないと、AACRIの生産者たちは訴えています。
国の資源を切り売りするような政治のあり方を疑問視されている次期大統領としての閣下の今後の政策に私共は大きな希望を抱いております。今後、上記のような理不尽な行為が繰り返されないためにも、事実関係についての調査、情報の公開、及び犯罪的な行為に対する厳正な対処を貴国の関係諸機関にお願いしております。対応如何によっては、貴国の信用を大きく揺るがす国際的な問題にもなりうるということを、ぜひ閣下からも貴国の関係者の皆様にご進言いただければ幸いです。
2006年12月12日
有機コーヒー社
社長 中村隆市