福島原発事故が起きる2年前の山下俊一氏の発言
日本臨床内科医会会誌(第23巻第5号 2009年3月)に記載
(講演録から一部抜粋)
日本では思春期を超えた子供の甲状腺がんを
まれにみるぐらいです。
その頻度は、年間100万人に1人といわれています。
これは欧米、日本、ほぼ変わりません。
大人では、結節をさわるとだいたい100人に1人か2人に
がんの可能性がありますが、子供の場合には約20%が
がんでした。
「大人と異なり、小児甲状腺がんの約4割は、
この小さい段階(1センチ以下、数ミリの結節)で
みつけてもすでに局所のリンパ節に転移があります」
(中村コメント:この発言は、山下氏が小児甲状腺がんは転移しやすいことを理解している重要な発言です。ベラルーシ国立甲状腺がんセンターの統計では、15歳未満は3人に2人がリンパ節に転移し、6人に1人が肺に転移しています。今、福島の子どもたちの甲状腺がんがリンパ節や肺に転移していることが分ってきた中で、甲状腺の検査が2年に1回というのは、少な過ぎます。)
放射線と健康影響を考えるときに、
広島、長崎の外部被ばくの様式と異なり、
この地域(チェルノブイリ)の一般住民には
内部被ばくの放射線影響があることを示唆しています。
いったん被ばくをした子供たちは生涯続く甲状腺の
発がんリスクをもつということも明らかになりました。
これからもがんが起こりうるハイリスクグループの検診
活動、早期発見と早期診断を続けて行く必要があると
考えています。
チェルノブイリの原発事故後の甲状腺がんの遺伝子
変異の特徴が明らかにされつつあります。
小児甲状腺がんのほとんどは、染色体が二重鎖切断
された後、異常な修復で起る再配列がん遺伝子が原因
だということがわかりました。
「主として20歳未満の人たちで、過剰な放射線を被ばくすると、
10~100mSvの間で発がんが起こりうるというリスクを否定できません」
(中村コメント:山下氏は、原発事故後は一転して「100mSvまでは安全」と言い続けています)
以上、山下俊一氏の発言は日本臨床内科医会会誌
(第23巻第5号 2009年3月)に記載されている