5月22日「生きものの声を聞く」イベントのスローな報告です。
辻信一さん、島村菜津さんとの鼎談で、ダジャレを聞き逃した
という人がいるそうなので、まずそのことから。
新刊「しんしんと、ディープエコロジー」のアンニャ・ライトが
世界のあちこちを裸足で歩きまわる姿をみて、思い浮かんだ一句。
「リクツを脱いでハダシで歩こう」
当日、参加していたSBS学生がこんな感想をくれました。
> 「理屈(靴)を脱いでハダシで歩こう。(大地を踏みしめて、身体で感じよう)」
> これは非常に今の僕にピンと来ました。
> 理屈を脱いだ現場感覚に、少し意識的に取り組もうと思っています。
「裸足で歩くのが気持ちいい」というアンニャの本をまだ読んでない方は、
ぜひ読んでみて下さい。ゆっくりノートブックの7巻、どれもいいですよ。
さて、話をもどして、当日話した中で
ナマクラの皆さんにもシェアしておきたいのが海の話。
ナマクラでは、いつも森林農法(アグロフォレストリー)を通して
森の話ばかりしているので、今回は、原発によって海の生物たちが
どれだけ苦しめられているかを話したかったのです。
試食にも出てきた祝島の海の幸。それらを恵んでくれている海が
上関原発の「温排水」によって大打撃を受けるという話です。
菜津さんが、今まで聞いた原発の話の中で一番インパクトが
大きかったと言っていました。
まず、世界有数の漁場だった瀬戸内海が埋め立てや海洋汚染によって、
生態系が破壊されてるなか、今も豊かな自然が残っている周防灘という
海域(山口、福岡、大分の3県にまたがる海域)があり、絶滅危惧種や
希少な生物がたくさん棲息しています。
そこに上関原発が建てられようとしており、その計画に28年前から
反対し続けている人々(祝島や長島の自然を守る会など)がいます。
ここを破壊してしまったら、瀬戸内海の再生は不可能になるだろうと
多くの学者が指摘している重要な地域を、生物多様性国際会議を開く
主催国が破壊しようとしているわけです。
原発は、過熱した炉心を冷やすために大量の海水を吸いあげて、
7℃熱くなった海水(温排水)を海に放出しますが、その量が恐ろしく
多量です。
平均的な規模(100万キロワット)の原発1基で1秒間に70トンも
温排水を海に放出します。上関原発は、137万キロワットを2基建設する
ために、1秒間に190トンもの温排水を海に放出します。
現在、日本にある55基の原発全体から1年間に放出される温排水の量は
1000億トン。日本全土に降る雨の量が年間6500億トンで、そのうち河川に
流れるのは4000億トン。
つまり原発は、日本の川を流れる水の4分の1に相当する量を7℃温めて
海に戻しているのです。
それに加えて、上関原発や各地で増設される原発からの温排水が上乗せ
されようとしています。
また、海水を吸い上げる際にもプランクトンや魚卵、そして、稚魚などを
大量に吸い込み、炉心近くの高熱でその多くが死んでしまいます。
問題はこれだけでなく、吸排水パイプにフジツボなどが付かないよう
殺生物剤(次亜塩素酸ソーダ)が使用され、海洋を汚染しています。
海の小さないのちを吸い上げて殺し、殺生物剤で殺し、膨大な温排水を
海に捨てながら「地球温暖化防止のために」原発を増やす現代人に対し、
海に暮らしている生きものたちは、どう感じているのでしょう。
まさに今、私たちは「生きものの声を聞く」必要があるでしょう。
さて、こうした問題を世に問うドキュメンタリー映画が2本できました。
ミツバチの羽音と地球の回転
1000年先にいのちはつづく祝の島
7月25日、東京・高円寺でナマクラ、SBS、種まき大作戦などが共催で
「ミツバチの羽音と地球の回転」上映&スペシャルトークがあり、私も少し話します。
都合がつく皆さんは、ぜひ予定を空けておいて下さい。
中村隆市
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