俳優、いしだ壱成さんが「いま一度、世界中がWebでリアルタイムでつながった今、改めて原子力発電所について書いてみようと思う」という書き出しで始まる素敵な文章をブログに書いています。
こうした社会問題を話題にすることが極端に少なくなっている日本で、俳優という立場でありながら、率直な気持ちを表現してくれていることが、うれしい。このブログを読みながら、先月スロービジネススクールの沖縄合宿で、講師の辻信一さんから聞いた話を思い出しました。
ある世界的な調査で「過去1週間に社会的なことを話題にしたことがありますか?」という質問に対して、トップはヨーロッパの国(ドイツ?)で、80%以上が社会的なことを話題にしたことがあると回答。
では、日本は何%だと思いますか?
25%以下は低すぎると見られているなかで、日本はなんと「6%」だったそうです。
つまり、94%は一週間の間、社会的なことをまったく話題にしていないということ。
多くの問題を抱えるこの国で、大学でも職場でも、家族とも友人とも親しい人とでさえも社会問題が話題にのぼらない日本という社会。
環境の危機(生態系の破壊と汚染)や、人間の危機(身心の健康の悪化=ガンやアレルギー、化学物質や電磁波による「過敏症」の急増、うつ病、子どもに対する虐待、自殺・・・)が国内で広がり、世界に目を向ければ、気候変動や生物の種の絶滅が加速し、アンフェアな社会(巨大な貧富の格差、飢えに苦しむ十億の人々・・・)がありながら、それが話題にならないという日本社会。
闇は深いのですが、一方で、小学6年生の鷲野天音くんの行動をはじめとして、いしだ壱成さんやミュージシャン、サーファー、カヤッカーなどが原発や再処理工場の問題に取り組んだり、森林保護のために間伐や植林をしたり、フェアトレードやスロービジネス(いのちを大切にする仕事)に取り組む熱心な若者たちを見ていると、夜明けはもうそこまで来ているという気もしています。
ここまで書いたところで、宇多田ヒカルさんがツイッター(2月28日)で原発のことを書いてるよ、と友人が知らせてくれました。<『ミツバチの羽音と地球の回転』を観てきたよ。山口県は祝島の島民の皆さんが、原発を建設しようとする電力会社や国と戦う姿を追ったドキュメンタリー映画。私たちみんながエネルギー消費者であることを自覚して、取り組む責任があるよね、エネルギー問題。沢山の人に観てもらいたい映画です。>
日本の市民が、社会的なことを話題にするようになったら、それはアジアの市民に影響を与え、いずれは世界にもいい連鎖を引き起こすのではないでしょうか。