敷地内土壌でプルトニウム 建屋外でも高い線量の水

敷地内土壌でプルトニウム 建屋外でも高い線量の水 (中国新聞)

 東日本大震災による福島第1原発事故で、東京電力は28日、敷地内で採取した土壌から、半減期が極めて長く、毒性の強い放射性物質のプルトニウムを検出したと発表した。プルトニウムの検出は初めて。一部は今回の事故で外部に放出された可能性がある。

 今回は原子炉の冷却機能が失われて燃料が損傷し、炉心の一部が溶融したとみられている。東電の武藤栄むとう・さかえ副社長は記者会見で「損傷を受けた燃料から出てきた可能性がある」とした。

 放射性ヨウ素やセシウムは敷地や海水から検出されたが、極めて毒性が高いプルトニウムの漏えいで事態は一層深刻となった。

 一方、1?3号機の建屋地下から海側に延びるトンネルと、地上につながる立て坑に水がたまり、2号機の立て坑で毎時千ミリシーベルト以上の高い放射線量が検出された。東電が水を確認したのは27日夕で、公表まで丸1日以上かかった。

 東電によると、検出されたプルトニウムの濃度は、米国や旧ソ連による過去の大気圏内核実験で国内で観測されたのと同様のレベル。東電は「環境土壌中の濃度レベルで人体に問題となるものではないが、念のため原発や周辺の環境モニタリングを強化する」とした。

 検出したのはプルトニウム238、239、240の3種類の同位体。敷地の5カ所で採取した土壌から検出。同位体の比率から、うち2カ所は核実験でなく今回の事故が原因とみられる。原子炉内の照射で比率が高まるプルトニウム238の2カ所での濃度は、土壌1キロ当たり0・54ベクレル、0・18ベクレル。国内で通常検出される値は最大で0・15ベクレル程度。

 プルトニウムは原発の燃料のほか核兵器にも使われる。半減期が極めて長く、体内に取り込まれると発がんの危険性が高い。原子炉では燃料のウランが中性子を吸収して生成され、使用済み燃料にもプルトニウムが含まれる。東電は、どの燃料から放出されたかは分からないとしている。

 武藤副社長は、放出範囲については「どこまで到達したか調べるのは簡単ではない」とした。プルトニウムは重いため、東電は「外には出にくい」としていたが、13?15日には核分裂で放出される中性子線が計13回測定され、漏れ出たウランやプルトニウムが中性子線を出した可能性があるとして調べていた。

 一方、水が見つかった1?3号機の立て坑は深さ約16?22メートル。いずれも上端近くまで水があった。1号機の水の放射線量は毎時0・4ミリシーベルト。3号機はがれきで測定不能。2号機の立て坑内の空気中も毎時100?300ミリシーベルトと高い線量。海までの距離は約55?70メートルで、東電は海の汚染につながった可能性もあるとしている。

 2号機のタービン建屋内のたまり水は毎時千ミリシーベルト以上、通常の炉心の水の約10万倍と高濃度。原子力安全委員会の班目春樹まだらめ・はるき委員長は2号機について「原子炉圧力容器が破損した可能性と、周囲から漏れている可能性がある」と述べた。東電も圧力容器の配管などに穴が開いた可能性を認めた。

 原子力安全委は2号機について「溶融した燃料と接触した原子炉格納容器内の水が直接流出した」との見方。安全委は菅直人首相に向け、防止策や監視強化を求める助言案をまとめた。

 東電は27日、2号機建屋内の水の濃度を通常の炉心水の約1千万倍と誤って発表し、28日に約10万倍の1立方センチ当たり1900万ベクレルと訂正した。


福島原発敷地でプルトニウム検出、人体に影響なし=東電 (ロイター)

[東京 29日 ロイター] 東京電力(9501.T: 株価, ニュース, レポート)は28日、東日本大震災で被災した福島第1原子力発電所の敷地内の土壌からプルトニウムを検出したと発表した。

 検出されたのはプルトニウム238、239、240の同位体で、検出量は1キログラム当たり0.18─0.54ベクレル。敷地内の5カ所の地点で1週間前に採取した土壌サンプルから検出された。

 東電の武藤栄副社長は28日深夜に東京で記者会見し、今回検出されたプルトニウムの濃度は通常の環境で見られる水準と同程度であり、人体に影響はないと説明した。

 東電は検出されたプルトニウムの由来は不明としているものの、5つのサンプルのうち2つから検出されたプルトニウムは、大気中に存在するプルトニウムではなく、原子炉から放出されたものである可能性があるとしている。

 専門家の間では、検出されたプルトニウムは大気中から土壌に入り込んだ可能性もあるが、福島第1原子力発電所で唯一ウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料を使っていた3号機の原子炉から漏れ出た可能性もあるとの見方が出ている。

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