20ミリシーベルトの基準引き下げを 学校屋外活動で日医
2011.5.12 21:50
学校での屋外活動を制限する放射線量を年20ミリシーベルトとする文部科学省の基準について、日本医師会は12日「子どもに対し、国の対応はより慎重であるべきだ」として引き下げを求める見解を発表した。
日医は、基準の根拠が「年1~20ミリシーベルト」とした国際放射線防護委員会(ICRP)の声明だとした上で「最大値の20ミリシーベルトにした科学的根拠が不明確だ」と批判。放射線の影響を受けやすい子どもの被ばく量はできるだけ減らすべきだとした。
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平成23年5月12日
文部科学省「福島県内の学校・校庭等の利用判断における
暫定的な考え方」に対する日本医師会の見解
社団法人 日本医師会
文部科学省は、4 月 19 日付けで、福島県内の学校の校庭利用等に 係る限界放射線量を示す通知を福島県知事、福島県教育委員会等に対して発出した。この通知では、幼児、児童、生徒が受ける放射線量の限界を年間 20 ミリシーベルトと暫定的に規定している。
そこから 16 時間が屋 内(木造)、8 時間が屋外という生活パターンを想定して、1 時間当 たりの限界空間線量率を屋外 3.8 マイクロシーベルト、屋内 1.52 マ イクロシーベルトとし、これを下回る学校では年間 20 ミリシーベ ルトを超えることはないとしている。
しかし、そもそもこの数値の根拠としている国際放射線防護委員 会(ICRP)が 3 月 21 日に発表した声明では「今回のような非常事 態が収束した後の一般公衆における参考レベルとして、1~20 ミリ シーベルト/年の範囲で考えることも可能」としているにすぎない。
この 1~20 ミリシーベルトを最大値の 20 ミリシーベルトとして 扱った科学的根拠が不明確である。また成人と比較し、成長期にあ る子どもたちの放射線感受性の高さを考慮すると、国の対応はより 慎重であるべきと考える。
成人についてももちろんであるが、とくに小児については、可能 な限り放射線被曝量を減らすことに最大限の努力をすることが国の 責務であり、これにより子どもたちの生命と健康を守ることこそが 求められている。
国は幼稚園・保育園の園庭、学校の校庭、公園等の表面の土を入 れ替えるなど環境の改善方法について、福島県下の学校等の設置者 に対して検討を進めるよう通知を出したが、国として責任をもって 対応することが必要である。国ができうる最速・最大の方法で、子どもたちの放射線被曝量の減少に努めることを強く求めるものである。