3号機の爆発について
ガンダーセン博士の分析と経済産業省委託の下記分析は大きく異なる。ガンダーセン博士は、「原発から2マイル(約3.2km)離れた所から多数の燃料棒の破片が見つかっている」ことに関しても解説している。
東京電力や経済産業省(保安院)は、燃料棒の破片について、進んで調査をする姿勢がみられないが、昨夜(6月5日)のNHK「ETV特集 続報・放射能汚染地図プルトニウム調査結果」で、原発から1.7km地点でプルトニウムを検出。さらに、ニオブ95やテクネチウムなども検出されている。
ETVの直前に放映されたNHKスペシャル「原発危機・事故はなぜ深刻化したのか」もそうだが、東電や政府に期待できない中で、NHKの存在意義が増してきている。
3号機爆発は「爆轟」
(2011年6月6日 07時05分 東京新聞)
三月十四日に東京電力福島第一原発3号機で起きた水素爆発は、衝撃波が音速を超える「爆轟(ばくごう)」と呼ばれる爆発現象だったことが、財団法人エネルギー総合工学研究所(東京都港区)の解析で分かった。発生した水素の量の違いで、1号機より破壊力が高い爆発が発生したという。
3号機の爆発は、灰褐色のきのこ雲のような煙が上空約三百メートルまで立ち上り、海外の一部では「核爆発」説も流れた。白煙が横方向に噴き出すような形の1号機の爆発に比べて格段に規模が大きかった。同研究所は、経済産業省から委託を受けて開発したシミュレーションソフトを使い、水素がどのように爆発したかを解析した。
3号機は三月十三日午前二時四十分、原子炉の燃料棒を冷やす注水機能が停止。燃料棒の周囲の水が温まって水蒸気となり、燃料棒を覆うジルコニウム合金と水蒸気が化学反応を起こし、大量の水素が発生した。
水素は酸素と反応すると爆発し、空気中の水素濃度が18%を超えると爆轟現象が起きやすくなるという。3号機では最終的に五百四十キログラムの水素が発生。原子炉建屋最上階での濃度は約30%となり、注水停止から約三十二時間後の十四日午前十一時一分に爆轟が起きた。燃焼時間は〇・〇二秒で、建屋内の圧力は約六十気圧(通常は一気圧)に達し、建屋上部が吹き飛んだ。
一方、1号機は冷却停止から爆発までの時間が約二十四時間で、炉内の燃料棒も3号機より少なかった。水素発生量は二百七十キログラムで3号機の半分となり、建屋最上階での濃度は15%にとどまった。このため爆轟は起きずに水素の燃焼は数秒間続き、建屋の壁が壊れて煙が噴き出した。
内藤正則・同研究所部長は「3号機は建屋の鉄骨がぐにゃぐにゃに曲がっており、爆轟の破壊力の大きさを裏付ける。航空写真からは1号機の壁は建屋近くに崩れ落ちており、解析結果とよく一致する」と話している。
■設計に影響大きい
三宅淳巳・横浜国立大教授(安全工学)の話 爆轟が起きるかどうかは気体の濃度のほか、空間の密閉強度や着火する際に加えられるエネルギーの大きさによって左右される。爆轟が起きたと分かれば、今後の原発の設計に与える影響は非常に大きい。
(東京新聞)