(福島民報) 放射線から子ども守れ 子どもの内部被ばく検査

<放射線から子ども守れ> 福島県北地方で放射線対策が本格化
・年間積算線量20ミリシーベルトを上回る地区で国と市の合同線量調査
・校庭の芝生の除去、高圧洗浄機を使って校舎を洗い流す作業
・福島市は小中学校、幼稚園、保育所に通う約3万4千人に積算線量計を配る

<子どもの内部被ばく検査 0~5歳先行 全国の測定機器活用>
・国内にある100台以上の「ホールボディカウンター」を全面的に活用
・放射線量の高い地域の0~5歳から先行して検査、長期的に健康状態追跡
放射線の人体への影響を調べる場合、外部被ばく量と合わせ、食べ物や水などで体内に取り込んだ内部被ばく量を把握することが不可欠
・放射線の内部被ばく量が子どもに与える影響を調べる
・福島県内の小学校の1学年当たりの児童数は約2万人

放射線から子ども守れ 県北で対策本格化(福島民報) 

 国の年間積算放射線量予測値で高めの数値が示された福島県の県北地方で、放射線対策が本格化している。伊達市霊山町で13日、国と市の初の合同線量調査が行われた。桑折町で校庭の芝生の除去が始まり、伊達市梁川では、高圧洗浄機を使って校舎を洗い流す作業がスタート。福島市は小中学校、幼稚園、保育所に通う約3万4千人に積算線量計を配ることを決め、子どもの安全確保に全力を挙げる。
 国と伊達市の合同調査は、計画的避難区域となる飯舘村に隣接し、計画的避難区域の目安となる年間積算線量20ミリシーベルトを上回る数値が出ている同市霊山町の小国地区などで実施した。これまでは国と市が別々に調べていたが、同じ地点でも測定場所が微妙に異なるため、数値が食い違うなどの課題が生じていた。
 市内霊山町小国、同町石田、月舘町相葭(あいよし)地区などの約40カ所を測定した。小国地区では、国の職員と市職員5人が、高い線量と低い線量を測定できる2つの機械で測った。
 3地区では11、12の両日も国と県が合同で宅地や道路など約650カ所でモニタリング調査をしている。国の担当者は「今回の調査と合わせて避難区域の設定など、今後対応を考える」としている。
 12日には霊山町の全住民を対象にした放射線に関する勉強会が開かれ、600人以上が詰め掛け、ロビーにも人があふれた。市の主催で、国の専門家が放射線による健康リスクや市内の環境モニタリングの状況、計画的避難などを説明した。
 会場からは質問や要望が相次ぎ、同町の男性(52)は「住民に計画的避難区域と同じ補償を行うべき。避難については希望者が行えるような柔軟な対応を取ってほしい」と提案。別の男性(36)は「世界の有識者を集め、どんな手だてでも講じるべきだ」などと訴えた。

【写真】会場いっぱいに詰め掛けた市民。放射線や国の対応に関する質問が相次いだ=伊達市霊山中央公民館
(2011/06/14 10:31)


子どもの内部被ばく検査 0~5歳先行 全国の測定機器活用(福島民報) 

 政府は、東京電力福島第一原発事故による県内の子どもの内部被ばく量を把握するため、国内にある100台以上の測定機器「ホールボディカウンター」を全面的に活用する。さらに、米国から5台を購入し、県内に優先的に配置する方針。放射線量の高い地域の0?5歳から先行して検査を始め、長期的に健康状態を追跡していく。県内では福島医大に1台あるだけで、検査態勢の充実が課題となっていた。11日、福島市で記者会見した政府の原子力災害現地対策本部長の田嶋要経産政務官(衆院千葉1区)が明らかにした。
 ホールボディカウンターは体内の放射性物質を調べる測定機器で、放射線医学総合研究所(千葉市)に2台、広島大(広島県東広島市)と長崎大(長崎市)に1台ずつある。茨城県の研究機関や全国の公立病院、国立大学、研究機関、電力会社なども所有しており、田嶋政務官によると、総数は100台を超えるという。
 政府は県内の乳幼児以上の子どもたちに各施設に分散して検査を受けてもらう態勢を整える。県外に避難している場合、避難先に近い施設で優先的に検査を受けられるようにすることも検討する。
 さらに、約1億8000万円の予算を投じて米国から5台を購入し、県内の医療機関などに優先的に配備することを想定している。県内では福島医大に1台配備されているだけ。検査人数は1日10人程度に限られるため、原発事故を受け、県は国に配備を求めてきた。実現すれば検査態勢が大幅に向上する。
 放射線の人体への影響を調べる場合、皮膚などの外部被ばく量と合わせ、食べ物や水などで体内に取り込んだ内部被ばく量を把握することが不可欠だ。政府は県と連携して県民を対象とした長期的な健康調査を行う方針で、放射線の内部被ばく量が子どもに与える影響を調べる。
 田嶋政務官は会見で、「(他の都道府県などとの)連携により、県を越えた取り組みを進めていく」との考えを示した。県保健福祉部は「測定機器を購入し、県内に設置するよう国に求めてきた。(米国からの購入は)早急に実現してほしい」としている。
   ◇  ◇
 政府が実施するとした子どもの内部被ばく量調査は、年齢の範囲や対象地域が今のところ、決まっていない。県内の小学校の1学年当たりの児童数は現在、約2万人に及んでおり、大勢の子どもたちを県外の検査施設に連れていく方法や費用負担なども不透明だ。
 県によると、専門家からは定期的に整備や点検をした機器でなければ正確な検査結果が出ないことや、結果を基に適切な評価ができる人員が国内では足りないなどの課題が指摘されているという。
(2011/06/12 10:55)


福島市が中学生に積算線量計 34000人分購入 
 福島県福島市は市内の中学生以下の子ども3万4000人分のバッジ型積算線量計を購入し、配布する。二学期が始まる9月1日から3カ月間の線量データを測定し、研究機関に分析を依頼する方針だ。
 対象は市内の全ての市立・私立幼稚園と小中学校に通う2万8600人と、保育所の幼児5400人。医療従事者が使用する線量計と同型で、瀬戸孝則市長は「実際の数量を知ることで保護者の不安解消につなげるとともに、データを分析し、今後の放射線対策に生かす」としている。
 市は、線量計の購入費や分析費などの事業費1億6千万円を含む一般会計補正予算案を六月市議会に追加提出する。
(2011/06/14 10:29)

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