運転再開を「容認」と答えたのは玄海町長のみ。隣接する唐津市長と、海を挟んで30キロ圏内にある長崎県壱岐市長の2人が「容認できない」と明言。長崎県、同県佐世保市、松浦市の3首長は「国は十分な説明が必要」などと慎重姿勢。残り4人は態度を明確にしなかった。
玄海原発:再開問題 30キロ圏の10首長、半数が慎重姿勢 毎日新聞調査
九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)2、3号機の運転再開を巡り、毎日新聞が立地・周辺自治体の首長にアンケートしたところ、回答した10人のうち「容認できない」と明確に答えた2人を含め半数が慎重姿勢を示した。古川康・佐賀県知事が再稼働を認める意向を示し、岸本英雄・玄海町長は4日、九電に再開容認を伝える方針だが、周辺自治体の不安は解消されていないことが明らかとなった。
アンケートは6月下旬、玄海町と原発から30キロ圏内にある7市の首長のほか、佐賀、長崎、福岡の3県知事に実施。佐賀県知事を除く10人が回答した。
運転再開を「容認」と答えたのは玄海町長のみ。隣接する唐津市長と、海を挟んで30キロ圏内にある長崎県壱岐市長の2人が「容認できない」と明言した。長崎県、同県佐世保市、松浦市の3首長は「国は十分な説明が必要」などと慎重姿勢を示した。残り4人は態度を明確にしなかった。
容認できない理由について、唐津市長は「市民の不安払拭(ふっしょく)が第一」、壱岐市長は「(国が指示した)安全対策が分からないため」とした。これに対し、玄海町長は「国が『安全は確保された』と認めた。地元産業界も再開を要望しており、現実的判断が必要。(停止長期化は)電力不足を招き地域経済に悪影響を及ぼす」と容認理由を説明した。
一方、松浦市長は「玄海1号機の劣化による危険性が指摘されている」と答えた。【まとめ・斎藤良太】
毎日新聞 2011年7月4日 東京朝刊