■佐賀新聞社の取材中 「やらせメール」指示発覚
「責任は免れない。原子力がアウトになるかもしれない」 6日に表面化した九州電力の「やらせメール」問題は、真部利応社長に佐賀新聞社が単独インタビューしている間に国会で進展していった。社員の関与を把握した真部社長は、自らの責任と問題の重さに言及した。「地元理解」を第一に掲げ、玄海原発2、3号機の再開に向けた地道な説明を続けてきた九電。真部社長は「大マイナスです」と声を失った。
本社がインタビューをしていたさなかの午後4時過ぎ、真部社長に社員がメモを手渡した。「ちょっと」と足早に席を立った。約10分後に戻ると、6月26日の説明番組で関連会社などにメールでの参加を促したことについて「国会で問題になっているみたいです」と説明した。「事実だったら道義上問題。こんなことをやっても何も動かない」としながらも、「今、調べてますから」と慎重な姿勢を見せた。
約2時間のインタビューを終え、真部社長は退席。本社記者が九電の技術担当者に追加取材をしていた午後6時ごろ、再び真部社長が部屋に入ってきた。
真部社長は、自らの責任は免れないこと、原子力推進に大きな影響を及ぼす事案であることと認識していることを話し、ぐったりとした表情でソファに腰を下ろした。内部調査で社員の関与が分かり、進退問題について「すぐにはないが、いずれはそういう問題になってくる」と語った。
九電にとって玄海原発2、3号機の再開は、電力の安定供給に欠かせない。東京電力福島第一原発の事故以降、安全協定を結ぶ県や東松浦郡玄海町以外に、隣接する唐津市や長崎県松浦市など周辺自治体にも説明に出向き、「地元の理解が最優先」と繰り返してきた。4日には、玄海町の岸本英雄町長から再稼働に向けたゴーサインをもらったばかりだ。
安易な「やらせ」の呼びかけで、すべての信頼を失った九電。本社の富吉賢太郎編集局長が「あまりにも軽率で、浅はかな行動では」とぶつけると真部社長は「おっしゃる通り」とひと言。「今から古川知事に連絡します」と言い残し、部屋を後にした。