玄海町長 実弟企業に原発マネー 工事受注17億円 自身も配当1000万円

玄海原発歴代所長から古川佐賀県知事への献金問題に続き、玄海町長に対しても「原発マネー汚染」が明らかになった。

7月10日 西日本新聞トップニュースから抜粋

玄海町長 実弟企業に原発マネー
工事受注 計17億円 自身も配当1000万円

九州電力玄海原発がある佐賀県玄海町の岸本英雄町長(57)の実弟が経営する建設会社「岸本組」が、町長就任の2006年8月以降の4年8カ月間で、電源立地地域対策交付金などの”原発マネー”を財源に使った町発注工事と、九電発注の玄海原発関連工事を少なくとも総額約17億円分受注し、町長自身も主要株主で株式の売却益や配当金として約1千万円を得ていたことが、西日本新聞の調べで分かった。

「やましい気持ちない」
九電は玄海町長の「同意」を玄海原発2、3号機運転再開の条件の一つとする。岸本町長はいったん表明した再開同意を国のストレステスト(耐性評価)実施などで撤回したが、今後も町長判断がカギ。識者からは「身内を含め、これだけ原発の恩恵を受けている町トップが公正な判断ができるか疑問だ」との指摘もある。岸本町長は「やましい気持ちはまったくない。町民が疑うなら、いつでも町長を辞める」としている。

九州の自治体では、政治腐敗防止などを目的に首長や議員の親族企業による当該自治体工事の受注を禁じる政治倫理条例制定の動きが広がっているが、玄海町に同条例はなく、実弟企業が多額の町工事を受注することも議論を呼びそうだ。

岸本組は町長の曽祖父が1911(明治44)年に創業。昨年8月に同社が県へ提出した事業報告書には、「最重要顧客」として玄海町や九電を挙げている。筆頭株主は実弟である社長で、持ち株比率2位は岸本組。町長はそれに次ぎ発行株式の約12.5%を握る。

岸本組の工事経歴書などによると、06年8月~10年4月に玄海原発関連で九電から受注・着工した工事費の総額は少なくとも約4億8千万円。町から受注・着工した工事費は06年8月~11年4月に少なくとも約22億9千万円で、うち約12億2千万円分が電源立地地域対策交付金や佐賀県核燃料サイクル補助金などを財源に使った電源3法交付金事業だった。

町長の資産報告書によると、岸本町長は昨年末時点で岸本組の株式7270株、地元銀行の株式7700株を保有。町長就任後の5年間の「配当所得」は約1140万円で、岸本町長は「ほとんど岸本組の分と思う」と説明している。

九州の政治倫理条例では、首長や議員の3親等内の親族企業が市発注工事を受注することを禁じた熊本県八代市の条例が厳格な内容で知られる。民主主義の向上をテーマにした研究に取り組む尾崎行雄記念財団の08年の調査では、条例内容に違いがあるものの、福岡県で約86%、熊本県で約67%の自治体が導入済みで、佐賀県は10%にとどまる。

岸本町長は6日の取材で原発運転再開の判断について「岸本組の受注の影響は全くない。町民が私を疑うようなら、いつでも町長をやめる」と話した。岸本組は「取材には応じられない」としている。


玄海町長実弟企業が九電工事、15年で56億円 (読売新聞)

玄海町、九電に動員要請 05年プルサーマル討論会 (7月12日 西日本新聞)
住民が計画の賛否について参考・検討する場で、公平性が求められる町側が計画を推進する九電に動員を依頼するという異例の事態

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