原発作業員2人、誤って高濃度汚染水浴びる

4カ月以上も 「毎時10シーベルト以上」 を知らずに作業したり、作業員の方が急性白血病で死亡したことに続き、昨日、高濃度の汚染水を浴びる「事故」が起こりました。

信じられないのは、高濃度汚染水の処理に関わる作業員が防水性のない「防護服」を着て作業にあたっていたこと。そして、「内部被ばくや熱傷などの自覚症状はなく、病院へは行かなかった」こと。 

福島第1原発事故 作業員2人が汚染水かぶる 自覚症状なし
(毎日新聞 2011年9月1日 東京朝刊)

 東京電力は31日、福島第1原発の汚染水処理システム「キュリオン」で使っていた部品を処理していた作業員2人が、誤って高濃度汚染水をかぶり、最大で0・16ミリシーベルト被ばくしたと発表した。

 東電によると、2人は関連会社の作業員。同日午前9時半ごろ、汚染水の放射性セシウムを吸着させるベッセルという部品からホースで汚染水を抜く作業中、弁が閉じていると思い込んでホースを外したところ、弁が開いていたため汚染水を浴びた。作業員の被ばく線量は、防水性のないタイベックと呼ばれる防護服を着ていた男性は0・16ミリシーベルト、防水性のあるアノラックを着ていた男性は0・14ミリシーベルトだった。

 2人が免震重要棟に戻って汚染水の放射性物質濃度を計測したところ、10万cpmを超えていた。汚染水の濃度は不明だが、タービン建屋の水と同程度という。内部被ばくや熱傷などの自覚症状はなく、病院へは行かなかったという。【林田七恵】

毎日新聞 2011年9月1日 東京朝刊


作業員2人、誤って「高濃度」汚染水浴びる 福島第1原発
2011.8.31 22:02 産経ニュース

 東京電力は31日夜、福島第1原発の汚染水浄化システムの関連設備で、男性作業員2人が比較的高濃度の放射性物質を含む汚染水を誤って浴びたと発表した。

 東電によると、同日午前9時半ごろ、汚染水浄化システムで放射性セシウムを吸着する「ベッセル」と呼ばれる部品から水を抜く作業をしていた男性作業員2人が汚染水を浴びた。

 一人は防水性の作業服を着用していたが、もう一人は通常の作業服だったため身体に汚染水が付着。ウエットティッシュで拭き取り、除染した。被曝(ひばく)線量は0・14~0・16ミリシーベルト。内部被曝はなく、やけどなどの自覚症状もないという。

 水抜き作業では、弁が閉まっているのを確認してからホースを取り外す手順になっていたが、男性作業員の一人が、弁が閉が閉まっていると思い込んでホースを外してしまい、汚染水が流れ出たという。

 東電の松本純一原子力・立地本部長代理は、作業員が浴びた汚染水の濃度について、「それなりに高濃度のものだと思っている」と説明。「具体的な作業の状況を調査している」とした。


福島第1原発:作業員、線量計の警報無視 ベータ線被ばく

 東京電力の20代の男性社員2人が福島第1原発で汚染水浄化システムの部品交換中にベータ線に被ばくした問題で、東電は30日、現場にいた社員3人が線量計の警報を無視して作業を続けていたと発表した。放射線管理員は同行していなかった。

 東電によると20代の社員2人は30代男性社員と一緒に28日、淡水化装置のフィルターを交換するため、部品の一部を水中から出し、新しい部品を挿入する作業をしていた。

 ベータ線被ばく量15ミリシーベルトで線量計の警報が鳴ったが、残っていた作業がわずかだったため、一緒にいた30代社員とともに最後まで作業を続けたという。30代社員の被ばく量は1.1ミリシーベルトだった。【林田七恵】

毎日新聞 2011年8月31日 1時27分


作業員が撮影した福島第1原発
(5月14日 毎日新聞)

 東京電力福島第1原発事故の復旧作業で、作業員の安全確保のルールや手順がなし崩し的に緩和されていることが、作業員らの証言で分かった。放射性物質が体に付着する「身体汚染」をした場合、体を洗う「除染」で完全に落とさなければならなかったが、今は完全に除染できなくても体のどこに付着しているかを示す「確認証」があれば作業に戻ることができるという。他にも多くの規制が緩んでいるため、作業員らは不安を訴え、専門家は懸念を示している

 同原発構内の放射線量は高く、水素爆発した3号機の原子炉建屋付近には毎時900ミリシーベルトと高い放射線を出すがれきが見つかっている。通常、1日の作業で1ミリシーベルトを超す被ばくが見込まれる場合、元請け会社は作業員の予想被ばく線量を記した作業計画書を労働基準監督署に届け出て受領印をもらい、東電に写しを提出する。この際、元請けによっては、下請けにも写しを「特別許可書」として渡すルールがあるが、この特別許可書も現在なくなっているという。

 ある下請け作業員は通常渡される特別許可書をもらわず作業し、約2時間半で1.3ミリシーベルト浴びた。他の作業員ら計約10人で構内拠点の免震重要棟に戻り、防護服を脱いでスクリーニング(検査)したところ、それぞれ首や後頭部に身体汚染が確認された。

 約20キロ離れた拠点施設のナショナルトレーニングセンター「Jヴィレッジ」(福島県楢葉町)で専用の特殊シャンプーで洗ったが、作業員のうち3人は除染できず、いわき市の東電施設でもう一度洗ったものの、やはり落ちなかった

 このため3人は、体の絵とともに汚染部位などが記載されている「確認証」を東電から発行され、作業に復帰したという。確認証があれば、復帰後のスクリーニングで汚染が検出されても問題視されないが、作業員は「除染しないまま作業に戻れば通常なら始末書もの」と疑問視する。

 また、身体汚染をした場合、作業員の所属する会社は、作業経緯や内容、汚染の状態などを報告書にまとめて元請けに提出し、元請けは東電に連絡することになっているが、いまだ報告書は提出されず、汚染を知る元請けや東電から提出も求められていないという。

 作業員は「東電も元請けも『この現場で汚染しない方がおかしい』との考えでしょう」と述べ、緊急時のためルールがなし崩しになっていると指摘。「原発を何とかしたいとの気持ちから(作業員の)みんなも『汚染しても仕方がない』という雰囲気だが、正直、不安はある」と語った。

 東電広報部は確認証について「(検査で)高い数値が出た人に異常がないことを示すものだが、いずれにせよ落ちるまで除染している」と説明。特別許可書(東電側では作業計画書)などについては「コピーを受領するだけ」とし、基本的に作業員と元請けとの問題との立場を示した。【町田徳丈、市川明代、日下部聡】

 2011年5月14日

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次