高速増殖炉研究 事実上凍結へ
(9月26日 16時6分 NHK)
燃やした以上に燃料を生み出す原子炉=高速増殖炉の実用化に向けた研究開発について、文部科学省は、福島第一原子力発電所の事故によって今後の原子力政策が不透明になっていることから、来年度の研究費を大幅に減らし、事実上凍結する方針を固めました。
「高速増殖炉」は、使用済み核燃料を再処理して再び燃料として利用する、国の核燃料サイクル政策の中核に位置づけられ、福井県敦賀市にある原型炉「もんじゅ」が試運転を行うなど、2050年の実用化を目指して研究開発が進められています。しかし、福島第一原発の事故のあと、国はエネルギー基本計画を見直すことになり、今後の原子力政策が不透明になっています。このため文部科学省は、実用化に向けた研究開発を事実上凍結することになり、来年度予算案の概算要求で、研究費を今年度の100億円から、70~80%減らす方針を固めました。一方、試運転中の「もんじゅ」については、維持管理のための費用が必要だとして、今年度の200億円余りの水準を維持するとしています。文部科学省は「政府のエネルギー政策の方向性が決まらないなか、実用化に向けた研究開発をこれまでどおり進めるわけにはいかないと判断した」と話しています。