日弁連が除染で政府に意見書 環境浄化に限界、賠償に力を

日弁連が除染で政府に意見書 環境浄化に限界、賠償に力を

 東京電力福島第1原発事故で拡散した放射性物質の除染をめぐり日弁連は20日、「放射性物質の量は減らず、場所を移動させるにすぎない。環境浄化には限界がある」とする意見書を政府に提出した。

 警戒区域や計画的避難区域では避難の長期化が予想されることから、別の場所でのコミュニティー再建や賠償に力を注ぐべきだと指摘している。

 意見書は警戒区域や計画的避難区域の追加被ばく線量の目標を年間1ミリシーベルト未満にすべきだとし、達成するまで地域指定を解除しないよう求めた。

 日弁連の海渡雄一事務総長は「反対意見もあったが、福島県弁護士会の了承も得てまとめた」と話した。
2011/10/20 11:39 【共同通信】


除染は無駄 ウクライナの専門家が柿澤議員に
(2011年10月18日 エキサイトニュース)

「私たちの間違いを繰り返すべきでない」
みんなの党の柿沢衆議院議員は震災復興特別委として10月9日から、IAEA訪問・チェルノブイリ視察に出向いた。

チェルノブイリで大きな被害を受けたウクライナでは、事故当時、対処にあたった専門家からヒヤリングを行い、その様子をツイッターに書き込んだ。

非常事態省副大臣だったプリステル氏は柿沢議員に対して「私達の間違いを繰り返すべきでない」と語り、ウクライナで当初行われた除染は無意味だったと告げた。

食品の基準値にも疑問

日本政府が基準値としている食物500Bq/kg、飲用物200Bq/kgという一律の数値について、プリステル氏は「不可解な値。同じ100Bq/kgでも大人のワインと乳児のミルクでは違う考慮が必要だ」と述べ、見直しの必要を語った。

除染は無意味 子どもは川で、山で遊ぶ

地域の除染について、プリステル氏は「社会的に安心を与えるために除染するのかもしれないが、内部被曝のほうが大きな問題」と警告した。

除染は意味がないということか、と訊ねる柿沢議員に対しては、「子どもは川で遊ぶ、山で遊ぶ。それを軍隊を出して全部は除染できない。だから立入禁止区域がある」と答えた。

単純に汚染度合いで決めるのも間違い
プリステル氏はさらに農地としての使用についても、土壌汚染の数値だけで決めるのは間違い、と指摘した。

土質や草に影響されるため、汚染度が同じでも、牛肉や牛乳の汚染レベルは40倍も異なったという。

居住の判断についても、プリステル氏は「ウクライナでは当初30km圏内に大量の兵隊と巨額の費用を投じて除染を行ったが、それは無駄だった。私たちの間違いを繰り返すべきではない」と語っている。

チェルノブイリでは強制避難レベルとされる土地に、現在も東日本各地の人々が居住していることを思えば、日本政府は同じ間違いどころか、さらにひどい間違いを犯しているように見える。


【汚染】神戸大学 山内教授「渡利地域における除染の限界」、放置された側溝は天然の濃縮が進行し線量が2倍に上昇していた
(2011.9.25 SAVE CHILD)

神戸大学 山内知也教授(放射線エネルギー応用科学)がまとめた「放射能汚染レベル調査報告所 渡利地域における除染の限界」です。全部で11ページですが、すぐに読めますのでできれば全部読んで頂きたいと思います。

「除染」のモデル地区としてある通学路が平均して7割程度(約68%)にしか下がっていないということは、除染への安易な期待は禁物かもしれませんね。そして、道路の側溝は天然の濃縮が進行して「6月の 7.7 μSv/h から 22 μSv/h に、11μSv/h から23 μSv/hに上昇していた」そうです。これは難題ですね。

渡利地域における除染の限界[PDF]

概要(2ページ)

2011年9月14日、福島市渡利地区において空間線量の計測を実施した。「除染」が行われたということであったが、6月の調査において最も高い線量を記録した側溝内堆積物には手が付けられておらず、地表面における空間線量は当時の2倍に上昇していた。「除染」のモデル地区としてある通学路がその対象になったが(「除染モデル事業実施区域」)、その報告によると平均して7割程度(約68%)にしか下がっておらず、空間線量も1~2 μSv/hに高止まりしている。今回の調査においてもその通学路の周辺において20 μSv/hを超える非常に高い線量が地表面で計測された。コンクリートやそれに類する屋根の汚染は高圧水洗浄によっても除去できておらず、住宅室内における高い線量の原因になっている。除染の対象にはされなかった地域の水路や空き地、神社、個人宅地内の庭で高い線量が計測され、最も高い線量は地表で20 μSv/hを記録した。本来の意味での除染はできていない。

まとめ(10〜11ページ)

・6月の調査で見つかった 40,000 Bq/kg を超える汚染土壌が堆積していた道路の側溝はそのまま放置されていた。堆積した土壌表面の線量は6月の 7.7 μSv/h から 22 μSv/h に、11μSv/h から23 μSv/hに上昇していた。降雨と乾燥とによる天然の濃縮作用が継続している。

・住宅の内部で天井に近いところで、あるいは 1 階よりも 2 階のほうが空間線量の高いケースが認められたが、これらはコンクリート瓦等の屋根材料の表面に放射性セシウムが強く付着し、高圧水洗浄等では取れなくなっ ていることに起因することが判明した。学童保育が行われているような建物でもこのような屋根の汚染が認められた。

渡利小学校通学路除染モデル事業が8月24日に実施されたが、報告された測定結果によれば、各地点空間線量は平均して「除染」前の 68%にしか下がっていない。除染作業の実態は側溝に溜まった泥を除去したということであって、コンクリートやアスファルトの汚染はそのままである。道路 に面した住宅のコンクリートブロック塀や土壌の汚染もそのままである。一般に、除染は広い範囲で実施しなければその効果は見込めない。今回の計測において 通学路の直ぐ側の地表で 20 μSv/h に及ぶ土壌の汚染があった。除染というからには天然のバックグラウンド・レベルである 0.05 μSv/h に達するかどうかでその効果が評価されるべきである。「除染」の限界が示されたと見るべきである。

・薬師町内の計測を行ったところ、国が詳細調査を行った地域から外された地点で高い汚染が認められた。ある住宅の庭では 1 m 高さで 2.7 μSv/h、50 cm 高さで 4.8 μSv/h、地表で20 μSv/h の汚染が認められた。これは南相馬市の子ども・妊婦の指定基準(50 cm 高さで2.0 μSv/h)をゆうに超えている。

渡利地区では、地表1 cm高さでの線量が異常に高い値を示す箇所が随所に見られる。この地区全体の土壌汚染に起因すると思われる。土壌汚染の程度については、特定避難勧奨地点 の検討項目になっていないが、チェルノブイリの教訓に学び、空気の汚染にも直接関係する土壌汚染の程度について、避難勧奨の判断に反映させるべきである。

・文字通りの「除染」は全く出来ていない。Cs-134 の半減期は2年、Cs-137 のそれは30年である。したがって、この汚染は容易には消えず、人の人生の長さに相当する。そのような土地に無防備な住民を住まわせてよいとはとうてい考えられない。

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