仕分け 高速増殖炉抜本見直しを
(11月20日 18時46分 NHK)
政府の行政刷新会議が国の政策や制度の問題点を検証し、改革案を提言する「政策仕分け」が始まりました。初日の20日は、原子力の研究開発のあり方が議論され、高速増殖炉の開発について、「福井県にある『もんじゅ』の存続の是非を含めて抜本的に見直しを行うべきだ」とする提言をまとめました。
「政策仕分け」は、これまで「事業仕分け」で行ったむだの洗い出しに加え、政策や制度そのものの問題点を検証して改革案を提言するもので、「仕分け」としては野田政権で初めての取り組みです。初日の20日は、東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて、原子力政策が取り上げられ、国会議員と民間の有識者の「仕分け人」が作業にあたりました。このうち、原子力の研究開発の見直しを巡っては、40年以上、1兆8000億円を超える予算をかけても実用化のめどが立たない高速増殖炉の開発が取り上げられました。
これについて、仕分け人から、「福井県にある『もんじゅ』の本格的な運転が実現しない上、2050年までに商業化を目指すという不透明な計画では、もはや国民の理解を得られない」といった意見が出されました。これに対して、文部科学省側は「高速増殖炉開発を含め、原子力政策については、政府のエネルギー・環境会議で議論が行われていて、その議論を踏まえて対応したい」と述べました。
その結果、高速増殖炉開発については、「『もんじゅ』の存続の是非を含め、抜本的に見直しを行って再検証し、国民に説明すべきだ」という提言をまとめました。そして、来年度の概算要求で求めている「もんじゅ」の予算については、来年夏以降の運転再開後に行う試験費用の22億円の計上を見送り、維持管理の経費についても確実に必要なものにとどめ、削減すべきだと結論づけました。
また、原子力発電所を受け入れた自治体に、毎年合計1000億円以上、国が支出している交付金についても議論が行われました。仕分け人からは「原発事故に備え、より多くの交付金を安全対策に使うよう、使いみちを制限すべきではないか」という意見が出た一方、「交付金の使いみちを国が議論すべきではなく、安全対策は国が責任を持ってやるべきだ」という意見も出されました。この結果、提言では、「原発事故に対する安全対策を拡充する仕組みを検討すべきだ」としましたが、「自治体の使い勝手のよさにも配慮すべきだ」として、具体的な交付金のあり方については結論は出ませんでした。
そして最後に、蓮舫行政刷新担当大臣と、原子力政策の関係閣僚が取りまとめの議論を行っています。この中で、枝野経済産業大臣は「『これまで高速増殖炉の関連で使ってきた2兆円を、すべて再生可能エネルギーや省エネルギーの開発に使っていたらどうなっていたか』という視点が必要だ。原子力がなくても、やっていける社会を作っていくにはどうすればいいのか検討するのが、今、政治がやならければならない仕事だ」と述べました。
また、細野原発事故担当大臣は「これまでの原子力関連の予算の使いみちを大きく変え、除染や廃炉、福島の皆さんの健康被害対策などに予算を確保できるようにシフトすべきだ。エネルギー対策特別会計という枠組みが必要かどうかということも、考えてもいいのではないか」と述べました。「政策仕分け」は、今月23日まで、社会保障制度や公共事業のあり方などを対象に、東京都内の会場で一般に公開して行われることになっています。
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高速増殖炉「抜本的に見直しを」政策仕分け
[日テレ 11/20 16:12 NEWS24]
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原子力政策や社会保障政策など、国が現在抱えている問題点を論議し、改革の方向性を提言する「提言型政策仕分け」が20日、東京・豊島区で始まった。20日は、原子力について議論が行われており、福島第一原子力発電所の事故を受け、高速増殖炉「もんじゅ」に関する研究開発費を見直す必要がないのか、などの意見が交わされた。
民主党・玉木雄一郎議員「これまで、1兆円、2兆円とつぎ込んできて、さらに40年しないと完成しないことにお金をつぎ込んでいく。それがこんなに財政が厳しくて、福島第一原発という未曽有の事故起きた時に、そのまま普通に続けていいのかという、単純な疑問に答えられていない」 省庁側担当者「いつまでも中途半端な状態で維持管理したいと望んでいるわけでは全くない」
玉木議員「40年成果が出ていない『もんじゅ』にこだわってやり続けることの意味を、多様な選択肢を考えてやるべき時期にきているのではないか」 省庁側担当者「エネルギー政策全般についてゼロベースで議論するってのはそういうことだと思う。高速増殖炉もそういう(ゼロベースの)議論が求められていると思う」
議論の結果、「もんじゅ」については「研究開発の存続の是非や実施主体をどこにするかなどを抜本的に見直す」、原子力研究開発の予算全体については「事故対応、廃炉、除染費用などに振り分けるべき」、といった提言が行われた。 午後は、原発の立地地域への交付金などについて議論が行われている。 今回の提言について、仕分けチームは行政刷新会議で決定し、政府方針として実効性を担保したい考えだが、省庁側は「議論だけで決定の場ではない」と反発しており、内閣の政策決定にどう反映されるかは不透明。
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「提言型政策仕分け」初日 高速増殖炉「もんじゅ」に抜本的に見直すべきとの提言
(11/20 17:54 FNNニュース)
「仕分け」第4弾がスタートした。政策の問題点を洗い出し改革の方向性を提示する、政府の行政刷新会議の「提言型政策仕分け」が、20日から始まった。初日は、原子力分野などが議論され、高速増殖炉「もんじゅに」ついて、抜本的に見直すべきとの提言が出された。
蓮舫行政刷新担当相は「耳に痛い話も、あるいは可能性を、夢を探る話も、さまざまな議論が行われるかとは思いますが、どうか真摯(しんし)な議論をいただきたい」などと述べた。
20日から4日間の日程で始まった、提言型政策仕分け。従来の仕分けとは異なり、今回は、政策の問題点を洗い出し、今後の方向性を「提言」するというもの。
目玉テーマの1つである、高速増殖炉「もんじゅ」。年間およそ200億円の予算が投じられており、費用対効果や実用性などについて、批判が集まった。仕分け人の玉木雄一郎議員は「今から40年間、商業的に使えるかどうか必ずしもわからないものについて、やっていることについて、どうお考えですか? こんな負担を求めながらやっていることが、ベストのやり方なのかっていうのが知りたいんですよ」とただした。
これに対し、文科省の担当者は「外部の目を入れた、ガバナンスを発揮できるような、そういう委員会を早々に設置したい」と話した。玉木議員は「『抜本的な見直しをしろ』という方が、7名中7名」と話した。最終的な提言は、「存続の是非も含め、従来の計画を抜本的に見直すべき」というもの。
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「提言型政策仕分け」 原子力関係予算で「抜本的な見直しに踏み出すべき」との提言
(11/20 21:43 FNNニュース)
20日から始まった政府の行政刷新会議の「提言型政策仕分け」で、原子力政策の関係閣僚らが議論を行い、原子力関係予算について、「抜本的な見直しに踏み出すべき」との提言をまとめた。
蓮舫行政刷新担当相は「『もんじゅ』は1兆円かけて、まだ実験段階。信じられないぐらいの国民の税金とか、電気料が使われてきている」と述べた。
枝野経済産業相は「新エネルギー開発と省エネに、今まで原子力に使ってきたような投資をすれば、十分に日本のエネルギーは成り立っていける」と述べた。
20日の議論では、高速増殖炉「もんじゅ」の費用対効果に批判が集まり、「もんじゅの存続の是非を含め、従来の計画を抜本的に見直し、再検証を行うべき」との方向性が出された。
これを受け、関係閣僚が「もんじゅ」の在り方や、原発立地自治体への交付金などに使われるエネルギー特別会計について議論し、「安全確保や再生可能エネルギー促進対策などに、大胆にシフトすべき」としたうえで、「エネルギー特別会計の存廃も含め、原子力関係予算全体について、国民的見地で抜本的な見直しに踏み出すべき」との提言をまとめた。
そして、今後も関係閣僚で継続して協議を行う方針を確認した。
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原子力研究開発の予算批判 政策仕分けのもんじゅ「見直し」
(’11/11/21 中国新聞)
未曽有の原発事故が起きてもなお、巨大な原子力研究開発に税金を使い続けるのか。20日の行政刷新会議の政策仕分けで、依然として高速増殖炉や核融合炉などの予算確保を図る省庁に仕分け人から厳しい意見が出たが、見直しを求める提言にとどまった。国が早急に新たなエネルギー政策を打ち出す必要性が浮き彫りになった。
▽一等地の研修施設
高速増殖炉原型炉もんじゅ(福井県)を運営する文部科学省所管の独立行政法人「日本原子力研究開発機構」は、東京・青山の一等地に研修施設を所有する。会議室などを備え11人が宿泊できる。年間3300万円を支出しており、無駄だとの指摘を受けて本年度廃止予定だったが「福島第1原発事故の支援のため、職員の東京出張が増えて稼働率が上がった」と存続させる意向という。
この日、仕分け人の玉木雄一郎衆院議員は「施設を視察したが、廃止して出張者はホテルに泊まればいい」と主張。文科省の藤木完治ふじき・かんじ研究開発局長は「ご指摘通りで厳しく指導したい」と応じるのがやっとだった。
▽40年、2兆円
原子力機構の2012年度予算要求は2097億円。もんじゅと、フランスで建設中の共同プロジェクト「国際熱核融合実験炉(ITER)」は継続の方針だ。
本年度並みの215億円を要求したもんじゅについて、文科省は、開発を事実上凍結する方針で「維持管理の費用だけ」と説明したが、民間仕分け人の十市勉といち・つとむ氏は「従来型の予算の延長では国民への説得力が乏しい」と強調。
別の仕分け人は「これまで高速増殖炉開発に40年、2兆円かけたが、実用化はさらに40年先。これほど財政状況が厳しく、福島の事故があったのに、なぜ開発を続けるのか、という疑問に答えていない」と指摘した。
文科省と経済産業省は「政府のエネルギー・環境会議が来夏までに今後のエネルギー政策をまとめる。その結果を待ちたい」と追及をかわそうとしたが、藤木局長は「いつまでも中途半端に維持管理を続けたいわけではない。早く政策を決めないといけない」と答えざるを得なかった。
▽安堵
ITER計画は本年度より大幅増の222億円。文科省は「国際協定に従い、約束した機器は納めないといけない」と理解を求めたが、仕分け人は「震災と原発事故の窮状を交渉の場で説明すべきだ」と注文を付けた。
一方、文科省の予算要求では、福島第1原発事故の収束に必要な研究に40億円、除染技術の開発に44億円。民間仕分け人の一人は「40年先も重要だが、(福島の)5?10年先をどうするか、予算配分を考えてほしい」と要望。事故当初、同機構が開発したロボットは使えなかったと、研究開発への甘さも指摘した。
議論は予定時間を1時間半オーバーするほど白熱したが、内容は乏しかった。ある文科省幹部は仕分け前、野田佳彦首相が示す脱原発方針について「一般の原発のことでしょ。高速増殖炉はなおさら(難しい)でしょうね」と、開発中止を含めた厳しい結論が出ることを覚悟していた。
だが仕分け終了後、別の文科省幹部は「重要なのは議論の積み上げ」と影響は小さいとの見方を示し、経産省幹部は「徹底的に切り刻まれると思っていた。思ったより議論がかみ合った」と安堵あんどの表情さえ見せた。
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提言型政策仕分け:スタート もんじゅ「抜本見直し」
(毎日新聞 最終更新 11月21日 0時26分)
政府の行政刷新会議(議長・野田佳彦首相)は20日、重要政策の必要性を議論する「提言型政策仕分け」を始めた。初日の原子力・エネルギー分野では、高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)について「存続の是非を含め、従来計画を抜本的に見直すべきだ」と提言。原発周辺の自治体に国が配分している「電源立地地域対策交付金」も、東京電力福島第1原発事故を踏まえ、安全対策に振り向けやすくする仕組み作りを求めた。
もんじゅについては、原子力分野の仕分け人7人全員が、「抜本的見直し」と評価。来年夏以降の運転再開を前提に、文部科学省が12年度予算の概算要求に盛り込んだ試運転費用22億円に対し「計画そのものを見直すべきだ」として見送りを提言した。中川正春文科相は仕分け終了後、「見送るのが正しいかなと思っている。現場にどんな影響が出るか精査したい」と述べ、要求取り下げを検討する考えを明らかにした。
発電所立地対策などのための「エネルギー対策特別会計」をめぐっては、再生可能エネルギー普及や安全対策にかかわる政策、事業が、府省間で重複しているなどの縦割り批判が相次いだ。細野豪志環境相は「(特会から)卒業した方がいい」、枝野幸男経済産業相も「従来の予算配分をゼロベースで見直すべきだ」と指摘。提言は、存廃を含めた抜本的な見直しに踏み出すよう求めた。
この日は「原子力・エネルギー」のほか、「農業」「外交」も議論。行政刷新会議は提言を予算や政策に反映させることを目指す。ただ、提言に法的拘束力がないため、各閣僚がどこまで提言を尊重するかが課題になる。蓮舫行政刷新担当相は同日の仕分けで、枝野、細野、中川氏ら原子力の関係閣僚による協議の場を設け、提言実現の担保にしたい考えを示した。
仕分けは東京・池袋の会場で23日まで、社会保障など10分野21項目の政策を対象に実施される。【光田宗義、中島和哉】
行政刷新会議「提言型政策仕分け」の評価者(仕分け人)は次の通り。
【衆院議員】仙谷由人▽吉良州司▽階猛▽玉木雄一郎▽辻元清美▽寺田学
【参院議員】大塚耕平▽亀井亜紀子▽藤本祐司
【民間有識者】赤井伸郎(大阪大大学院教授)▽秋池玲子(ボストンコンサルティンググループ パートナー&マネージング・ディレクター)▽井伊雅子(一橋大大学院教授)▽石田芳弘(前愛知県犬山市長)▽市川真一(クレディ・スイス証券チーフ・マーケット・ストラテジスト)▽岩瀬大輔(ライフネット生命保険副社長)▽太田康広(慶応大大学院教授)▽鬼木甫(情報経済研究所所長)▽梶川融(太陽ASG監査法人総括代表社員)▽川島博之(東大大学院准教授)▽河野龍太郎(BNPパリバ証券経済調査本部長)▽伊永隆史(首都大学東京教授)▽昆吉則(月刊「農業経営者」編集長)▽佐藤主光(一橋大大学院教授)▽鈴木亘(学習院大教授)▽高橋洋(富士通総研経済研究所主任研究員)▽土居丈朗(慶応大教授)▽十市勉(日本エネルギー経済研究所顧問)▽富田俊基(中央大教授)▽盛田清秀(日大教授)▽山口誠史(国際協力NGOセンター事務局長)▽山田肇(東洋大教授)▽山本美香(ジャーナリスト)▽吉田あつし(筑波大大学院教授)▽渡辺龍也(東京経済大教授)
【副大臣・政務官】中塚一宏(副内閣相)▽園田康博(内閣府政務官)=敬称略
【ことば】提言型政策仕分け
行政の無駄を洗い出すため、政策や事業の必要性を公開の場で議論する仕組み。主に個別事業の必要性を検討した従来の「事業仕分け」と異なり、政策や制度をどう改革すべきかについて提言することを目指す。与党国会議員、行政刷新担当の政務三役、民間有識者による「仕分け人」が、各府省と議論した上でそれぞれ判定結果を報告し、国会議員の仕分け人が提言を取りまとめる。
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「もんじゅ」、抜本見直し提言=原子力政策の「仕分け」着手―刷新会議
(2011/11/20-20:53 時事通信)
政府の行政刷新会議(議長・野田佳彦首相)は20日、東京都豊島区の会場で、国の重要政策の問題点を公開で議論する「提言型政策仕分け」を開始した。初日のこの日は、東京電力福島第1原発事故を受け、抜本的見直しを迫られている原子力政策を検証。40年間研究を続けても実用化のめどが立たない高速増殖炉「もんじゅ」に批判が集中し、来年夏のエネルギー政策策定に当たって「計画の抜本的な再検証を行い、国民の徹底的な納得が必要だ」と、事業の見直しを提言した。
今回初めて実施した閣僚間の討論では、枝野幸男経済産業相がもんじゅの開発について「原子力への投資を省エネルギーに振り向けるべきだ」として、蓮舫行政刷新担当相とともに見直しを主張。それに対し、細野豪志環境相と中川正春文科相は「(もんじゅの廃止後に)使用済み核燃料をどう処理するかをよく考えないと、結論は出せない」などと述べ、検討すべき課題があると指摘した。
仕分けは「もんじゅ」をめぐり、文部科学省が概算要求に含めた来年度の出力試験再開予算の計上見送りを提言。それ以外の研究開発予算も「合理化を図り、事故対策や安全対策に重点化すべきだ」と求めた。
一方、原発の立地自治体向けの交付金では、公共施設の設置や維持が中心となっている使途について「事故対策や防災、安全対策を拡充する仕組みを検討すべきだ」と求めた。原発の新規建設に備えて積み立てた資金についても、「(中国電力島根原発3号機など)着工済みの3基分に限定すべきだ」と述べ、規模を縮小すべきだとした。会計検査院も同様の指摘を行っている。
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もんじゅ「抜本的見直しを」 仕分け初日、意見続出
(2011年11月20日23時37分 朝日新聞)
行政刷新会議(議長・野田佳彦首相)の「提言型政策仕分け」が20日に始まり、停止中の高速増殖原型炉「もんじゅ」について「研究開発の存続の是非を含め抜本的に見直すべきだ」と提言した。さらに来年度予算要求のうち、22億円分の計上見送りも求めた。
仕分け結果に、政策変更や予算削減などの拘束力はない。ただ、東京電力福島第一原発事故で原子力政策への不信感が強まるなか、来年夏をめどにエネルギー政策の見直し方針をまとめるエネルギー・環境会議の議論に影響を与えそうだ。
蓮舫行政刷新相は冒頭のあいさつで「結果は首相のもとでとりまとめ、政府一体で進めたい」と述べ、仕分け結果を今後の政策に反映する意向を示した。与党の国会議員と有識者が「仕分け人」になり、23日までの4日間、原子力や社会保障など10分野を議論する。
「もんじゅ」については、仕分け人から「廃炉にして、別の道も検討するべきだ」などの意見が続出し、「抜本的見直し」を要求。予算計上の見送りを求めたのは、文部科学省が概算要求している関連予算215億円のうち、出力試験に使う22億円分だ。