インスタントコーヒーを作ること

インスタントコーヒーはスローか?

「ブラジル有機栽培カルロスさんのインスタントコーヒー」が輸入されたのが7年前のこと。それはウインドファームにとって、それは新しいチャレンジでした。
レギュラーコーヒーとインスタントコーヒー。その違いは何といっても手軽さです。
粉をカップに入れてお湯を注いで飲むだけのインスタントコーヒーはレギュラーコーヒーに比べて圧倒的に手間がかかりません。でも、スローカフェを経営し、「ゆっくり」を大事に考え、かつオーガニックのレギュラーコーヒー一筋だったウインドファームにおいて、その選択は正しいのか?そんな想いを抱いたのも確かでした。

「コーヒーの有機栽培を広げるために」、カルロスさんの遺言

「オーガニックのコーヒーを使って、インスタントコーヒーを作れないだろうか」。ジャカランダ農場主のカルロスさんが、生前に語っていたこの言葉の背後には、コーヒーの有機栽培を広めたいというカルロスさんの強い想いが込められていました。
ブラジルのコーヒー生産者が有機栽培に取り組もうとする際、そこには高いリスクが伴います。特に有機栽培への移行期間においては、収穫量だけでなく、品質も安定しないため、大幅に収入が減る可能性があるのです。
その大変さを身をもって知っていたカルロスさんは、だからインスタントコーヒーという新たな取組みに期待を寄せていました。有機のインスタントコーヒーが製造されるようになれば、有機栽培コーヒーの販売先が増える。そんな選択肢は生産者にとって希望になる。」カルロスさんはそのように考えていました。
コーヒー生産者にとっての一番の悲しみは、多くの手間をかけて栽培した有機栽培のコーヒーが売り物にならなかったり、安い価格で買い叩かれること。その苦労を身をもって知っていたカルロスさんであればこそ抱いた「オーガニックのインスタントコーヒー」というアイデア。カルロスさんが亡き後、そのアイデアは遺言となってウインドファームのなかに残ったのでした。
2003年にカルロスさんが亡くなったその翌年、「有機栽培カルロスさんのインスタントコーヒー」の製造と販売が始まりました。初めはどのように販売していけばいいのか分からず戸惑いましたが、そのマイルドな味わいのおかげで少しずつ広まっていき、2011年に至るまで順調に輸入を重ねていきました。
存在感を増しつつあったこの、「有機栽培カルロスさんのインスタントコーヒー」はしかし、思わぬところで幕を下ろすことになります。インスタントコーヒーを製造していたブラジルの工場が、経営難のため稼動できなくなってしまったのです。
みんなが愛する「有機栽培カルロスさんのインスタントコーヒー」です。何とか継続できるよう製造できる工場を探しましたが見つからず、断念することを余儀なくされたのでした。

森を広げる「森林農法のインスタントコーヒー」の誕生

このことはお客様にとっても大変ショッキングな出来事で、「他に代わりになるものはないのか?」という問い合わせを受けました。しかし、「有機栽培を広めるため」というカルロスさんの遺志を継いだ有機栽培のインスタントコーヒー。簡単に代わりになるものもなく、途方に暮れていたところ、メキシコに有機認定を受けた製造工場があるという情報を得ました。
そこで、「森林農法で育まれたメキシコの有機栽培コーヒーを原料にして、インスタントコーヒーを作ろう!」という企画が生まれたのです。そこには、「有機栽培を広げるだけでなく、森を豊かにする森林農法を世の中に広げていこう。インスタントコーヒーという手にとりやすい商品を通して、たくさんの人に森林農法を知っていただく機会を作ろう」という新たな想いも込められていました。
こうして、2011年、メキシコ、トセパン協同組合の有機栽培・森林農法で栽培されたコーヒー豆を原料にして作られたインスタントコーヒーが日本に届きました。商品名はずばり「森林農法のインスタントコーヒー」。森への溢れる想いが、そのパッケージデザインにもぎっしり詰まっています。
一度は途絶えかけたインスタントコーヒーへの取組みですが、生産者のこと、そして自然への思いやりに満ちたカルロスさんの遺志はそのままに、これからもウインドファームではオーガニックのインスタントコーヒーにこだわり続けていきたいと思っています。

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