イタリアの科学者のグループの呼びかけで、「日本における原子力モラトリアムと福島原発の核燃料の即時撤去を求めるアピール」のオンライン署名活動が始まっています。
署名は、年齢・国籍に関係なくどなたでもでき、上記サイトには、イタリア語・英語・日本語のほか、仏・スペイン・ロシア・ベラルーシ・アラビア語の訳文も掲載されています。最初の署名提出は、イタリアで脱原発国民投票が行われて1年になる6月12日(収集は11日、日本時間23時まで)を予定していますが、その後もキャンペーンはしばらく続く予定です。
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日本における原子力モラトリアムと福島原発の核燃料の即時撤去を求めるアピール
本アピールは、日本の外でフクシマの惨事を覆っている沈黙の壁を破ろうとするものです。
野田首相が率いる今の日本政府は、福島第一原子力発電所事故の大惨事を受けて日本国の脱原発を目指そうとした前政権の決意を、事実上、否定しました。しかし、国内における議論は下火になるどころか、原子力に反対する世論がますます高まっています。
一方、世界的には、あたかもこの事故が深刻なものではなく、事態は収拾に向っており、日本の人々へ及ぼした影響もほとんどなかったかのように信じ込ませる動きがあります。ところが、実態は全く異なっています。
● まず、事故当時、稼働していた三つの原子炉の中で溶解し、1号機では圧力容器から漏出してしまった核燃料の総量は、これまでに起きたいかなる原発事故における事例よりも多く、完全に制御不能な状態にあります。そもそも破損した原子炉が「冷温停止状態」になったという主張は、およそナンセンスなのです。なぜなら、「冷温停止」とは、炉心が無傷の状態においてのみ通用する定義であって、第1、第2、第3号機のように、炉心の一部もしくは全体が溶融し制御システムのパラメーターが失われてしまっているところでは、再び局所で核連鎖反応が起きる危険な状態になる可能性を排除できないからです。
● 使用済み燃料貯蔵プールの問題も解決していません。過密にリラッキングされている燃料棒が、かなり強い余震が続く中、途方もなく深刻な事態をもたらす事故再発の原因になりかねないのです。内閣府の専門家グループによれば、遠からず海底の活断層でM9レベルの地震が起き、巨大な津波が福島原発のみならず他の多くの原発をも直撃する可能性があるとされています。
● 日本の東北地方は、今もなお大いに憂慮すべき状況にあります。事故当初からずっと当局が隠ぺいし続けてきた放射能汚染は、一向に減少する兆しを見せていません。福島の汚染地域からの自主的な避難者も含め、生まれ育った土地を永久に追われた人々は相当な数に上り、仕事も将来の見通しも失った彼らは、恐ろしく不安定な生活を強いられています。
● にもかかわらず、日本政府は、汚染の深刻さを過小評価し、子どもの被曝限度量を引き上げました。市民の健康を守ることよりも、体裁を正常化することばかりに腐心しているようです。
● 他方、さる5月5日には、現存する商業用原子炉50基のうち、まだ稼働中だった最後の一基も、福島原発事故を受けて定められたストレステストや補修を含む定期点検のため、停止しましたが、それにより国内の電力供給が脅かされているわけではありません。原発の再稼働を急ごうとする政府および原子力産業に対し、市民の反発はますます高まり、今、まさに正念場を迎えようとしています。
私たちは、これらの問題が日本に限らず国際社会全体に関わるものだと考えます。ゆえに、日本の政府当局に対して以下のことを求めます。
● 現時点で止まっている原発を再稼働させないこと。
● 深刻な破損を被った使用済み核燃料プールから一刻も早く燃料棒を取り出し、他所に移す処置を行なうこと。
● 子どもたちをこれ以上被曝させないよう、放射能に汚染された地域から早急に避難させること。
● 東京電力の事故対処能力の欠如が明らかになった以上、国連のもとに福島の事態打開のための学際的な国際的機関を設置するよう努めること。
アピール文掲載サイト: https://isdepalermo.ning.com/notes/Fukushima