ヨルダン議会、原発事業一時停止を議決 安全性など懸念
(2012年5月31日 朝日新聞)
中東ヨルダンの議会は30日、同国初の原発プロジェクトの推進を一時停止する議案を可決した。経済性と安全性への懸念が理由。国営ペトラ通信が伝えた。同プロジェクトは業者を選定中で、三菱重工業と仏アレバの合弁会社アトメアが受注を目指している。
議会はヨルダン原子力委員会に対し、建設・運転コストや環境への影響に関する調査内容を提出するよう求めた。同委員会は4月末、アトメア社とロシア企業に優先交渉権を与えると発表したばかり。来年初めまでに1社に絞り、2014年初めに契約する予定だが、発注には議会の承認が必要となる。
ヨルダンの原発は、首都アンマン近郊約100キロの内陸部に建設を予定。首都の排水を利用するため、非常時に十分な水源が確保できるのか、安全面の懸念が出ている。トウカン原子力委員長(前エネルギー相)は5月中旬、朝日新聞記者のインタビューに対し、同国の財政状況や全面的な内戦危機にある隣国シリア情勢を念頭に「発注を3?4年延期することもありうる」と語っていた。(カイロ=石合力)