大飯再稼働に抗議 越生町長ら脱原発首長会議
(2012年6月18日 埼玉新聞)
政府が関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働を16日に正式決定したのを受け、「脱原発をめざす首長会議」のメンバー4人が17日、都内で抗議の緊急記者会見を開いた。越生町の田島公子町長(65)は「本質的に原発の危険が避けられない以上、国民の命が優先されるべきだ」と述べ、大飯原発再稼働の決定を批判した。
出席者は、村上達也・茨城県東海村長(首長会議世話人)、三上元・静岡県湖西市長(同世話人)、上原公子・元東京都国立市長(同事務局長)、田島公子・越生町長の4人。
冒頭、上原元市長が「大飯原発再稼働決定に強く抗議する」と題した抗議文を読み上げた。抗議文は▽原子力規制組織発足前に暫定的な安全判断基準で原発の再稼働を決定することは、国民の原発の安全性に対する懸念を無視した▽原発から100キロ程度の広域の住民同意を得る手段を講じるべき▽福島原発事故の原因究明、責任の所在糾明が済んでいない中での再稼働決定は拙速である―などと訴えた。
会見の中で田島町長は「福島第1原発事故の原因が究明されていない中での再稼働決定は信じられない。原発は本質的に危険から避けられない。別の所なら大丈夫だというのはおかしい」と話した。
村上東海村長は「政府は脱原発依存を掲げているが、どこに脱原発の安全基準やプロセスがあるのか、まったく不明。再稼働ありきの茶番劇だ」と語気を強めた。
三上湖西市長は「大飯原発には排気のベントや活断層への対策がゼロ。政府と関西電力は、万一原発事故が起きた時の保険をかけてから再開してほしい」と述べた。
上原元国立市長は「福島の事故では想定外ということで責任を回避したが、今度事故が起きたら言い逃れができない。経済優先の決定で、命の視点が欠け落ちている」と強調した。
「脱原発をめざす首長会議」は今年4月末に発足。原発に依存しない地域づくりを主張する全国35都道府県の首長・元首長73人が参加。県内では、田島町長のほか大沢芳夫・長瀞町長、頼高英雄・蕨市長がメンバーになっている。
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「脱原発」首長73人、大飯再稼働に抗議 政権を批判
(2012年6月18日 朝日新聞)
全国35都道府県の市区町村長ら73人でつくる「脱原発をめざす首長会議」は17日、関西電力大飯原発(福井県)の再稼働決定に抗議する声明文を発表した。周辺自治体の住民の合意が十分に得られていない、などと指摘した。18日に野田佳彦首相にあてて提出する。
世話人の村上達也・茨城県東海村長と三上元・静岡県湖西市長が都内で記者会見した。村上村長は「『脱原発依存』を掲げながら、おおい町など立地自治体が転換できるような道筋を政府が示せない。結論ありきのいい加減な決定だ」と野田政権を厳しく批判した。
首長会議は、政府が8月にもまとめる新エネルギー基本計画の公表前に「原発ゼロ」に向けた政策提言をする予定だ。
首長会議は計70人で4月に発足。14日現在、三重県伊勢市の鈴木健一市長や京都府京丹後市の中山泰市長、熊本県水俣市の宮本勝彬市長ら計73人(元職7人含む)が名を連ねている。
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脱原発首長会議:首相宛て抗議文提出へ 大飯再稼働決定で
(毎日新聞 2012年06月17日 21時47分)
原発に依存しない地域づくりを目指す「脱原発をめざす首長会議」の世話人らが17日、東京都内で会見し、関西電力大飯原発(福井県おおい町)の3、4号機再稼働を政府が正式決定したことに対する抗議文を、18日に野田佳彦首相宛てに提出すると明らかにした。
抗議文は、再稼働決定を「国民の原発の安全性に対する懸念を無視した」と非難。原発から半径100キロ程度の広域の住民同意を得るべきで、東京電力福島第1原発事故の原因が究明されないままの決定は拙速と指摘している。会見に出席した世話人の村上達也・茨城県東海村長は「この国は原発を持つ資格がない」と批判した。
「首長会議」は4月に設立。全国35都道府県の市区町村の首長、元首長計73人で構成され、5月には国のエネルギー基本計画に「原発ゼロ」を盛り込むことなどを野田首相らに申し入れた。【神足俊輔】