山口知事選 いつのまにか復活 利益誘導&ドーカツ選挙

山口知事選 いつのまにか復活 利益誘導&ドーカツ選挙
(2012年7月10日 掲載 日刊ゲンダイ)

県民はどっちを取る!?民・自・公VS.第三極の試金石

<地元民も呆れた>

 今月29日投開票の山口県知事選が次期衆院選の前哨戦のような形になってきた。
 自公推薦の山本繁太郎氏に対し、自然エネルギー拡大・脱原発依存派で「環境エネルギー政策研究所」所長の飯田哲也氏が挑戦状を叩き付け、事実上、一騎打ちになっている選挙である。

 民主は自主投票だが、「選挙戦は原発再稼働と消費税増税をゴリ押しする民・自・公の既成政党VS.反対する第三極・無党派という構図となっている」(現地取材しているジャーナリスト・横田一氏)からだ。

 それを象徴したのが7日、県東部の防府市内のホテルで開かれた山本氏の決起集会だ。ユニホーム姿の地元建設業者もズラリと揃った中、安倍晋三・元首相と高村正彦・元外務大臣が講演したのだが、その中身たるや、かつての利益誘導型選挙そのものだった。

 安倍は「消費増税の3党合意に『経済弾力条項』があって名目経済成長を3%にしましょうと書いてある」と指摘、公共投資の必要性を強調した。続いて、山本が挨拶に立ち、「県内の産業を再起動させるためには、港湾をはじめ道路のアクセスなど基本的なインフラ整備を最大限の努力で進めなければならない。県政に王道はない。最優先でやるべきこととして、この問題に取り組む覚悟でございます」と訴えたのだ。

 ある県民は「増税しながらバラマキか。一昔前の政策」と呆れていたが、これに民主党政権は迎合、対立候補も出せずにいる。代わりに「コンクリートから人へ」を代弁しているのは飯田氏の方なのである。

「山本氏は不況で苦しんでいる建設業者に公共事業という“ニンジン”をぶら下げれば、支持が集まると思っているのでしょう。『公共事業バラマキが地域振興につながらずに借金増大を招いた』という反省がない。古くさい選挙といえば、ドーカツも復活しています。飯田氏に好意的とみなした自営業者に対し『おまえの店ではもう買わないぞ』と脅したり、フェイスブックで飯田氏支援を表明した人をリストアップ、地域ボスに情報提供する動きなんかもある。飯田氏の集会では報道関係者に『参加者の写真は撮らないで下さい』という要請がなされた。飯田氏の支援者だと分かると、何をされるか分からないからです」(知事選事情通)

 いやはや、コテコテ自民党型選挙である。飯田氏は「私は政権交代直後、事業仕分け人のひとりとして問題点を指摘したが、ほとんど、無駄な予算は削られなかった。それなのに消費税増税は論外です」「原発や火力発電に頼らず、自然エネルギーを拡大させれば、雇用も生まれるし、地域振興が実現する。県民がエネルギーを買う1000億円が外国ではなく、地域に回るようになる」と訴える。

 この選挙で飯田氏が勝つと、民・自・公は尻に火が付くことになる。

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