女子中学生の問い 「おとなは、子どもを守る気があるの?」

女子中学生の問い 「おとなは、子どもを守る気があるの?」

この問いが生まれた背景・その1

◆福島の子ども被ばく調査 「問題なし」 結論ありき   
(2011年12月14日 東京新聞)

対象は夏以降、事故当初は無視

福島県内の子どもに配布した『個人線量計で測った累積放射線量(空間被曝線量の累積値)の結果が、順次公表されている。一般人の年間被ばく限度1ミリシーベルトを大幅に上回るケースもあるが、専門家は「問題なし」。対象期間は夏以降が多く、東電福島原発事故発生から数カ月間の大量被曝は無視されている。

福島県郡山市は8日、小中学生を対象に、10月5日から33日間測定した累積放射線量を保護者に通知した。平均値は0.12ミリシーベルトで、これは年換算で1.33ミリシーベルト。最大値は0.45ミリシーベルトで、年換算では4.98ミリシーベルトにも達した。だが、財団法人・放射線影響研究所の大久保利晃理事長ら市アドバイザーの評価は、『健康に影響を与えるような数値ではない」。

保護者には個人データとアドバイザーのコメントのほか、「放射線被ばくの早見図」が届けられた。国際放射線防護委員会ICRPが事故後の復旧段階にあびてもよいとしている年間放射線量1~20ミリシーベルトが太線で囲まれている。

専門家の評価の根拠を市学校管理課に尋ねたが、「総合的な判断」の一点張り。」
「平常時の法的な上限は1ミリシーベルトだが、今は平常時ではない。除染などによって、1ミリシーベルトに近づけようと努力している」と繰り返した。

そもそも、なぜ10月なのか?事故発生から数カ月間はどうだったのか?

福島県が子どもと妊婦計30万人に、個人線量計を配布すると発表したのは6月。県が購入費として、1台あたり1万5千円を補助する事業だ。
郡山市は8月の臨時議会で予算を計上。保護者の意向確認やアドバイザーの人選などに時間がかかったため、配布は10月にずれ込んだ。3月から9月までの被ばくの影響については(内部被曝を検査する)ホールボディカウンターを導入して対応する」と説明するが、その時期は「早くても来年夏」。

福島市は10月28日、小中学生を対象に9月の約1カ月間実施した累積放射線量の測定結果を保護者に通知した。平均値は出しておらず、最大値の0.6ミリシーベルトが3人、0.5ミリシーベルトが11人、0.4ミリシーベルトが44人など。

医師らでつくる市健康管理検討委員会の評価は、「健康に影響を与える数値ではない」。現在、10、11月分の結果を分析中だが、それ以降の調査は予定していない。

市放射線健康管理室は「現在の空間放射線量から考えると、妥当な結果だ。今すぐ対処しなければならないようなものではない」と主張。9月以前の被ばく状況については、県が全県民を対象に進めている健康管理調査に「頼るしかない」と言葉少なだった。

県健康増進課によれば、田村市や白河市、川俣町でも測定結果が出ているが、いずれも「健康に影響尾を及ぼすような数値ではない」という。

郡山市では、児童や生徒ら14人が市に学校ごと疎開する措置を求め、福島地裁郡山支部に仮処分を申し立てている。警戒区域と計画的避難区域以外では、自主避難任せで、あくまでも『定住政策』にこだわる国や行政への批判は根強い。

福島子どものいのちを守る会代表の佐藤幸子さんは、「本気で子どもを守る気持ちはないのだろうか。最近の線量を測定して、大丈夫というようなパフォーマンスはやめてほしい」と憤りを隠さなかった。

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