チェルノブイリ原発事故・汚染地帯からの報告

シリーズ チェルノブイリ原発事故・汚染地からの報告 ウクライナは訴える

9月23日に「NHKのETV特集」で放送された「チェルノブイリ原発事故・汚染地帯からの報告 第2回 ウクライナは訴える」の番組説明に重要なことが書かれています。

シリーズ チェルノブイリ原発事故・汚染地帯からの報告
「第2回 ウクライナは訴える」
から抜粋

去年4月、チェルノブイリ原発事故25周年の会議で、ウクライナ政府は汚染地帯の住民に深刻な健康被害が生じていることを明らかにし世界に衝撃を与えた。

チェルノブイリ原発が立地するウクライナでは、強制避難区域の外側、年間被ばく線量が5ミリシーベルト以下とされる汚染地帯に、事故以来26年間、500万人ともいわれる人々が住み続けている。

チェルノブイリ事故から25年目のウクライナ政府報告書「未来のための安全」

公表された「Safety for the future未来のための安全」と題されたウクライナ政府報告書には、そうした汚染地帯(注:年間0.5~5ミリシーベルトの汚染地帯)で、これまで国際機関が放射線の影響を認めてこなかった心臓疾患や膠(こう)原病など、さまざまな病気が多発していると書かれている。

ウクライナ政府報告書 未来のための安全

チェル25年ウクライナ 膠原病が6人→22人→45人

特に心筋梗塞や狭心症など心臓や血管の病気が増加していると指摘。

腫瘍以外の病気による死亡 心臓や血管の病気89%

子供たちの健康悪化も深刻で2008年のデータでは事故後に生まれた子供たちの78%が慢性疾患を持っていたという。報告書は事故以来蓄積された住民のデータをもとに、汚染地帯での健康悪化が放射線の影響だと主張、国際社会に支援を求めている。

今年4月、私たちは汚染地帯のひとつ、原発から140キロにある人口6万5千人のコロステン市を取材した。この町で半世紀近く住民の健康を見続けてきた医師ザイエツさんは、事故後、目に見えて心臓病の患者が増えたことを実感してきたという。

(1)低い線量の放射線の影響が現れていると言えるのは
(2)心臓や血管の病気です
  (放射線医学研究所 ウラジーミル・ブズノフさん)

学校の給食は放射線を計った安全な食材を使っている。しかし子供たちの体調は驚くほど悪化。血圧が高く意識を失って救急車で運ばれる子供が多い日で3人はいるという。

慢性の気管支炎、原因不明のめまいなど、体調がすぐれない子供が多いため体育の授業をまともに行うことができず、家で試験勉強をして体調を崩すという理由から中学2年までのテストが廃止された。

被ばく線量の詳細なデータはなく、放射線の影響を証明することは難しいが、ウクライナの汚染地帯で確かに人々は深刻な健康障害に苦しみ、将来に不安を抱えながら暮らしていた

しかしIAEAをはじめとする国際機関は、栄養状態の悪化やストレスなども原因として考えられるとしてウクライナの主張を認めていない。放射線の影響を科学的に証明するには被ばくしていない集団と比較しなければならないが、住民の被ばくに関するデータも、被ばくしていない集団のデータも十分ではなく、今後も証明は困難が予想される。

国際社会に支援を訴えながら、放射線の影響とは認められていないウクライナの健康被害。チェルノブイリ原発事故から26年たった現地を取材し、地元の医師や研究者にインタビュー、ウクライナ政府報告書が訴える健康被害の実態をリポートする。

(2012年9月30日(日) 午前0時50分 再放送予定)

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