いわき市、地元産給食凍結 「放射能心配」に配慮

いわき市、地元産給食凍結 「放射能心配」に配慮
(2012年10月08日 河北新報)

 福島第1原発事故で、福島県いわき市教委は市内の小中学校給食の食育推進計画で掲げた地産地消の促進を事実上凍結した。放射能汚染を気にして地元産食材の使用に抵抗感のある保護者の声に配慮した。市教委は「放射性物質検査で安全性を証明しても納得しない保護者が多く、地元食材にこだわった食育の継続は難しい」と話している。

 市食育推進計画は2009年に策定され、学校給食での地産地消の推進を明記し、食材全体に占める地元産品の割合を高める目標を掲げた。10年度の地元産食材の使用率は32.9%で、地元でとれたカツオや野菜が献立に取り入れられた。

 だが、原発事故で県外産食材の使用を望む保護者の声が相次いだ。コメは市内産から北海道産に変更。生鮮食品も地元産で使えるのはハウス栽培のイチゴやナメコなど一部の農産物に限られ、12年度の使用率は事故前の10分の1に満たない2.9%に落ち込んだ。

 市は12年1月、給食の全食材で放射性物質の事前検査を始めた。国の基準値(1キログラム当たり100ベクレル)より厳しい独自基準(20ベクレル)を設け、基準をクリアした食材に限定して用いる措置を取った。

 それでも地元産を敬遠する保護者は多く、「地元のコメを使うなら給食をやめる」という電話が市教委に殺到した。県産であることを理由に給食の牛乳を飲まない児童もいるという。こうした状況を受け、市教委は地産地消の促進を「中断せざるを得ない」(保健体育課)と判断した。14年に策定する次の計画に地産地消の項目を入れるかどうかも未定だ。

 本田宜誉保健体育課長は「子どもの食への関心を高める上で地産地消は重要な項目だが、保護者が不安がっている中ですぐには元の割合に戻せない。安全性を説明して時間をかけて地元食材を増やしたい」と語っている。

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