福島原発は地震で電源を喪失 津波の到達はその後 

福島第1原発事故 「原因から地震排除」 
国会調査委の田中三彦さん、講演で国や東電批判 /宮城
(毎日新聞 2012年11月04日 地方版)

 東京電力福島第1原発事故をめぐる国会の事故調査委員会で事故原因調査を担当した田中三彦さんの講演が3日、仙台市青葉区で開かれた。福島第1原発事故について「原因が究明されていないのに、原因から地震の揺れを排除しようとしている」と国や東京電力の姿勢を批判したうえで、東北電力女川原発について「“被災原発”として、東日本大震災の後遺症の調査が全く不十分。再稼働を論ずることすら時期尚早」と訴えた。【藤田文亮】

 ◇女川原発「震災後遺症ある」

 講演は「女川原発の再稼働を許さない!みやぎ秋の集い」の一部。田中さんは元原子炉設計技師で、「福島原発事故の実態と女川原発再稼働の問題点」と題した講演に、約300人が聴き入った。

 田中さんは、福島の事故について、原発の運転日誌や運転員の証言の精査から、電源喪失時間が事故当日の午後3時35〜36分で、高さ10メートルを超える大津波の到達はその後の同37分であることが写真などから分かった、と報告。「つまり、津波の前に電源が失われており、事故の本当の原因が地震の揺れだった可能性を示している」と強調し、「国や東京電力は、全国の原発に影響が広がるのを嫌がり、事故原因を津波だけのせいにしようとしている」と論難した。

 女川原発についても、「震災で相当の後遺症を負っているはず」と指摘。新潟県中越沖地震(07年)で損傷した東京電力柏崎刈羽原発ではいまだに耐震安全性の確認が済んでいないとしたうえで、「女川原発は、津波被害からは紙一重で免れたが、大きな揺れを体験した被災原発。ボルト1本までの調べる必要がある。ストレステスト程度では安全性の確認にはほど遠い」と主張した。

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