石原慎太郎・日本維新の会代表は「日本に軍事政権をつくり、核武装し、徴兵制にする」ことが持論であり、マスメディアでもそれを公言している。同党の橋下徹氏や自民党の安倍総裁も考え方が近く、選挙の結果次第では、憲法改定、徴兵制の導入も具体化されかねない情勢になってきている。
そうした情勢にもかかわらず、徴兵される若い世代が、この問題に関心がうすい。青年本人だけでなく、夫や恋人、子どもや孫たちを「徴兵でとられたくない」人も、この問題を軽視せず、周りに伝えた方がいいだろう。2003年のイラク戦争のときも、日本には憲法9条があったから、自衛隊は戦闘行為に参加せずに済んだ。もし、平和憲法がなかったなら、米国の言いなりになっていただろう。
米国がイラクに戦争をしかけ、侵攻した理由は「大量破壊兵器」をイラクが持っていて危険だから―というものだった。その理由で戦争が行われ、子どもや女性、お年寄りも含む10万人以上の一般市民が犠牲となり亡くなった。しかし最後まで、戦争の理由とされた大量破壊兵器は見つからなかった。
戦争は、他者を思いやるという人間性を破壊する。米国で深刻なのは、現役・退役兵士の自殺の増加である。戦闘での戦死者よりも心の病で自殺する方が多くなってきている。米兵だけでなく、イラク帰還の自衛隊員も自殺率が激増しており、陸上自衛隊員の自殺率は日本平均の14倍にもなっている。
今年9月、米陸軍は「自殺防止訓練」を実施した。約100人の兵士を前に従軍牧師が「同僚が仕事をしなくなったり、撃つのはいやだと言い始めたりしたらどうする」と問いかけ、兵士の一人が「どうしたと聞きます」と答えた。・・・「撃つのはいやだ」「人を殺したくない」という本来の人間性を否定するのが軍隊であり、戦争である。
これまでの歴史で人間は、ずっと戦争をしてきた。今後も私たちは、それを続けるのか。12月16日の衆院選挙は、日本にとって「脱原発を実行できるか」というだけでなく、戦争をしないと宣言した「世界が目指すべき憲法」を守れるかどうかの歴史的な選挙になるだろう。
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◆米兵自殺…戦死者を上回るペース 駐留あとわずか、なぜ?
(2012.10.9 産経ニュース)から抜粋
イラク戦争を戦い、アフガンになお多くの部隊を駐留させる米国で深刻なのは、現役・退役兵士の自殺の増加だ。現役兵士の自殺者数は今年、アフガンでの戦死者数を上回るペースとなっている。
米メディアによると、米国の自殺者数は年間3万3000人(人口は3億875万人)。世界保健機関(WHO)によると、米国の自殺率(人口10万人に対する自殺者数)は男性が17.7、女性が4.5(2005年)。日本は男性が36.2、女性が13.2(09年)。
戦死者上回るペース
米退役兵士の自殺未遂は09年は1万888件だったが、昨年は1万7754件に増えた。帰国後、心的外傷後ストレス障害(PTSD)に苦しむ退役兵士は少なくない。
自殺の急増は今年6月ごろから、深刻な問題として認識され始めた。USA TODAYの報道では6月3日の時点で兵士の自殺者は、アフガンでの戦死者(127人)を上回る154人。兵士の死因は09年は「戦死」「交通事故死」「自殺」の順だったが、「自殺」は10年から「交通事故死」を上回るようになった。
米軍の中では、陸軍のみが月別の自殺者数を発表しており、7月には発表が始まって以来最多の26人が自殺。6月(12人)の倍以上だった。ABCテレビの最新の報道では今年8月までに自殺した陸軍兵士は212人、アフガンで戦死した陸軍兵士は171人。今年は「自殺」が「戦死」に代わって米兵の死因のトップとなる可能性が高い。
一斉に防止訓練
米陸軍は9月27日、通常の任務を休んで一斉に「自殺防止訓練」を実施した。首都ワシントン近郊の陸軍基地では、約100人の兵士を前に従軍牧師が「同僚が仕事をしなくなったり、撃つのはいやだと言い始めたりしたらどうする」と問いかけ、兵士の一人が「どうしたと聞きます」と答えていた。
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◆イラク帰還の陸上自衛隊員の自殺率は日本平均の14倍以上
(2012年9月27日 東京新聞)から抜粋
米国主導で始まったイラク戦争に関連して、中東へ部隊派遣された自衛官のうち、先月までに25人が帰国後に自殺していた。陸上自衛隊は19人、航空自衛隊は6人に上る。海上自衛隊は現地駐留せず、自殺者もいなかった。
自衛隊全体の2011年度の自殺者は78人で、自殺率を示す10万人あたり換算で34.2人。イラク特措法で派遣され、帰国後に自殺した隊員を10万人あたりに置き換えると陸自は345.5人で自衛隊全体の10倍、空自は166.7人で5倍になる。
イラクから帰還した陸上自衛隊員の自殺率345.5というのは、2011年の日本全体の自殺率24.0と比べると、14.39倍もの高率となる驚くべき数字になっている
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◆石原慎太郎「日本が生きていく道は軍事政権をつくること」
(2012年11月22日 風の便り)から抜粋
「日本は、核を持たなきゃだめですよ。
日本が生きていく道は軍事政権をつくること。徴兵制もやったらいい」
◆石原・日本維新の会代表:「核シミュレーション、抑止力になる」「持たぬと発言権ない」
(毎日新聞 2012年11月21日 東京朝刊)から抜粋
日本維新の会の石原慎太郎代表は20日、東京都内の日本外国特派員協会で講演し「日本は核兵器に関するシミュレーションぐらいやったらいい。これも一つの抑止力になる。持つ、持たないは先の話だ」と述べ、核兵器保有について研究すべきだとの考えを示した。「個人の見解」と断ったうえでの発言だが、次期衆院選に向けて論議を呼ぶのは必至だ。
石原氏は、この発言に先立ち、「核を持っていないと発言権が圧倒的にない。北朝鮮は核開発しているから、米国もハラハラする」と指摘。核兵器の有無が外交力を左右するとの認識を示した。