「子どもを守りたい」 「いのちを守りたい」という人々の思いが世界に広がっていきますように。
★原発のない世界を願う『100人の母たち』から抜粋
息子へ
原発が爆発したあの日、世界は変わってしまった。
お父さんとお母さんは、
まだ1歳になったばっかりのあなたを
ビニールに包んで東京を飛び出した。
あなたは昆布をしゃぶりながら笑っていたね。
まだ、何が起こったのかを知るには、ちいさすぎたものね。
あの日から一年が経ち、
あなたは元気に2歳の誕生日を迎えました。
そうか、
あなたは原発が爆発した後の
日本しか知らずに生きて行くのよね。
外で遊ぶ時間が限られてる場所があるのは、
当たり前の世界なんかじゃないんだよ。
放射能が入っていない食べ物を選んで食べるのだって
当たり前じゃない。
差別があるのも、争いが起こるのも、
当たり前なんかじゃない。
お母さんは、お母さんが今まで生きて来た世界が
当たり前だと思って暮らしていました。
原発は嫌いだったけど、
原発で作った電気で毎日当たり前に暮らしていた。
原発は嫌いだったけど、
声に出して伝えた事はなかった。
どこかで当たり前だと思ってた。
仕方ないと思ってた。
ごめんね ごめんね。
あなたの大好きな石ころにも
あやまらなくちゃいけないね。
あなたの大好きな砂にも泥にも
亀にも魚にもアメンボにも...
ごめんなさい ごめんなさい。
これから、あなたが歩んで行く世界で 、
おかしいなって思う事がたくさんあると思う。
そのときは、どうして?って言っていいのよ
納得行くまで聞いていい。
考えていい。
立ち止まっていい。
だってさ、大好きなヨーグルト、牛乳、キノコ、
山盛り食べたいよね。
「あまい、つめたい、美味しい」ソフトクリームも
本当は食べたいよね。
どうして?って怒っていいよ。
もっと怒っていい。
いっぱい怒っていい。
大人にだって怒っていいんだよ。
イヤなことがあったら「いや」って言い続けていい。
理由なんていらないよ。
いやなモノはいやだって言ったらいい。
自分で考えて、自分で決めて、
あなたの道を歩んで下さい。
当たり前なんてないんだから
自分でつくって行くんだから。
お母さんはすべてをかけてあなたの命を守ります。
あなたが、あなたの足で歩んで行けるように。
だから変わってしまった世界を、
ぼちぼちと歩いて行こうか。
そしてその先の世界には原発はいらない。
原発はいりません。