◆原発事故:福島に募金診療所が開院へ 住民の不安に応え
(毎日新聞 2012年11月24日)
東京電力福島第1原発事故に伴う被ばくへの健康不安に応えようと、市民らが募金活動をした「ふくしま共同診療所」が12月1日、福島市太田町に開院する。18歳以下を対象にした県の甲状腺検査用機器も備え、セカンドオピニオンを提供して不安解消を目指す。呼び掛け人の一人で「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」の佐藤幸子代表は「住民の心のよりどころになる診療所を目指したい」と話している。
3階建てビルの1階部分約40坪を改装し、二つの診察室やレントゲン室を設けた。内科と放射線科があり、甲状腺検査もできる超音波診断装置を導入し、希望すれば尿・血液検査なども受けられる。松江寛人・元国立がんセンター病院医師が院長に就き、県外の医師4人も非常勤で勤務するという。
県の甲状腺検査では、子どもに結節やのう胞が見つかっても大半が2次検査不要と判定され、保護者から「検査結果が分かりにくい」などの声が上がっている。低線量被ばくによる健康不安を抱えている県民も多い。
診療所は県内外の市民や医師14人が呼び掛け人となり建設委を発足、今年1月から約4000万円の寄付金を集め開院にこぎつけた。70年代に相次いで白血病を発症した広島の被爆2世らが開設した広島市の「高陽第一診療所」をモデルにした。
チェルノブイリ原発事故では、4〜5年後に小児の甲状腺がんの増加が確認された。松江医師は「放射線の影響が出るとすればこれから。症状は甲状腺だけとも限らず観察が必要だ」と話す。診療は毎週火、木、金、土曜日。問い合わせは同診療所(024・573・9335)へ。【蓬田正志】