寒い冬に、こころが暖かくなる話

★1月8日の西日本新聞朝刊 “春秋”から抜粋
冬の日のことだったという。満員のバスで赤ちゃんが激しく泣きだした。車内は乗客の人いきれと暖房で暑いくらいになっていた。あやされても泣きやまない▼次の停留所で何人かが降り始めた。後方から「降ります」と乗客をかき分けながら降りようとしたお母さんに、運転手はここでいいのですかと尋ねた。「子どもが泣くので・・・」「歩くのは大変ですよ」▼運転手はマイクのスイッチを入れて言った。「子どもは小さいときは泣きます。赤ちゃんは泣くのが仕事です。どうぞみなさん、少しの間、赤ちゃんと若いお母さんを一緒に乗せていってください」▼乗り合わせた人が「思いだすと目頭が熱くなります」と投稿し、全国新聞連合シニアライフ協議会が1996年に出版した「心にしみるいい話」に掲載された。運転手が乗客に呼びかけたバスの中では、数秒後に拍手が起こり、お母さんは何度も何度も頭を下げていたそうだ★

写真は亀山ののこ写真集 原発のない世界を願う『100人の母たち』(南方新社)より

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