戦争は、「敵」を殺すだけではなく、「私」をも殺している
先週、米紙ワシントン・ポストは、「昨年自殺した現役米兵が349人と過去最多を記録し、アフガニスタンでの昨年の戦死者(229人)を上回った」と報じた。また、昨秋の東京新聞は、「イラク帰還の陸上自衛隊員の自殺率は日本平均の14倍以上」と報じていた。
イラクの若い米兵が、こう語っていた。
「イラクでは大人も子どもも敵だと思わないといけないんだ」
兵士たちは、こう叫んでいるのだと思う。
「もう戦争は嫌だ!もう人を殺すのは嫌だ!」
憲法9条は、日本のためだけでなく世界を守るために必要なのだと思う。
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◆米兵、自殺が戦死者上回る 昨年過去最悪に
(2013/01/16 共同通信)
【ワシントン共同】15日付の米紙ワシントン・ポストは、昨年自殺した現役米兵が349人と過去最多を記録し、アフガニスタンでの昨年の戦死者(229人)を上回ったと報じた。
国防総省は2001年から自殺者の集計を開始。06年から増え始め、09年に310人となった後に減少したが、昨年再び急増した。
イラクとアフガンに派遣された兵士が心的外傷後ストレス障害(PTSD)に苦しんで自殺するケースが多発。米軍は多数の専門家を雇用し、兵士の精神衛生問題を研究するなど対策を進めている。
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◆イラク帰還隊員 25人自殺
(2012年9月27日 東京新聞)
2003年に米国主導で始まったイラク戦争に関連して、中東へ部隊派遣された自衛官のうち、先月までに25人が帰国後に自殺していたことが防衛省への取材で分かった。陸上自衛隊は19人、航空自衛隊は六人に上る。防衛省は「イラク派遣との因果関係は不明」としている。
陸自は04~06年、イラク南部のサマワに合計5500人を派遣し、空自は04~08年、合計3600人をクウェートに派遣した。海上自衛隊は現地駐留せず、自殺者もいなかった。
自衛隊全体の11年度の自殺者は78人で、自殺率を示す十万人あたり換算で34.2人。イラク特措法で派遣され、帰国後に自殺した隊員を十万人あたりに置き換えると陸自は345.5人で自衛隊全体の十倍、空自は166.7人で5倍になる。
一般公務員の1.5倍とただでさえ自殺者が多い自衛隊にあっても極めて高率だ。防衛省の担当者は「帰国後、何年も経過した派遣隊員と1年ごとに調べる隊員の自殺者数を比べても意味がない」と反論。派遣隊員が自殺した時期は明らかになっていないが、陸自のイラク派遣期間中の3年間は毎年90人以上が自殺しており、自衛隊全体の自殺者数を押し上げている。
イラク派遣された陸自は宿営地で13回、計22発のロケット弾攻撃を受け、うち4発が宿営地に落下した。車両で移動中、仕掛け爆弾による攻撃も受けた。
空自は武装した米兵をバグダッドへ空輸する際、たびたび携帯ミサイルに狙われたことを示す警報が鳴り、着弾を避けるため、急旋回などの飛行を余儀なくされた。
過酷な環境下で任務遂行したことになるが、前出の担当者は「心的外傷後ストレス障害(PTSD)で自殺した例は確認できていない」としている。 (編集委員・半田滋)