◆世界レベルで貧富の差が拡大:オックスファム報告書
(2013/01/19 オックスファム ジャパン)
世界で最も裕福な100人の年収は、世界の貧困を
終結させるために必要な額の4倍に相当:オックスファム報告書
世界のリーダーは、
少なくとも1990年の水準にまで世界の貧富の差を縮小させるべき
スイス・ダボスにて来週開催される世界経済フォーラムに先立って本日発表されたブリーフィングの中で、オックスファムは世界で貧富の差が極端に拡大しており貧困削減の妨げになっていると警告しました。
オックスファムが発表した報告書「不平等の代償:なぜ極端な富と貧困は世界中の人々に負の影響をもたらすのか」によると、最も裕福であるとされた100人の2012年の総収入は2400億ドル(約21.6兆円)で、世界の極度の貧困を終わらせるために必要な額の4倍に相当します。
オックスファムは、この極端な富の集中を軽減し、少なくとも1990年の水準にまで貧富の差を縮小させることを世界のリーダーに求めます。
世界の最も裕福な1%に当たる人々の収入は、20年前に比べて60%増額しています。近年発生した金融危機により、一部の人々への富の集中にさらに拍車がかかっていたことがわかりました。
このような極端な富と資産の集中は、倫理的でないばかりか、世界全体で見ると経済的でなく、政治・社会的な対立を生み、偏った経済活動は環境にも負荷の大きいものになっています。
オックスファムのバーバラ・ストッキング事務局長は、「少数の人に富を集中させてでも経済が発展しさえすれば、いずれは多くの人々の経済状況を改善するのだという考えを取り払うべきです。明らかに逆のことが起こっています」と述べました。
「世界の頂点にいる1%の人々に資源が集中していることは、経済活動の低下につながり、残り99%の人々、特に貧困の底辺にいる人々の生活を困難なものにしています。」
「土地や水といった基本的な資源でさえ貴重になりつつある世界で、少数の人々の手に資源を集中させ、大多数の人々が残りを奪い合うというような現状は容認できません。」
「最も裕福な1%の人々は、アメリカ合衆国の平均的な市民の1万倍の炭素を消費していると推測されます。」
世界のリーダーは、不平等を軽減しながら急速な経済成長を遂げたブラジルのような国の成功例や、既得権益に切り込み不平等を減らした1930年代のルーズベルト・元アメリカ合衆国大統領のニューディール政策のような歴史的成功例に学ぶべきだとオックスファムは語っています。
ルーズベルト元大統領は、「アメリカが勝ち取った政治的平等は、経済的な不平等の前には意味をなさない」と述べています。
さらにストッキング事務局長は次のように述べました。
「深まるばかりの不平等に対し、私たちは世界的なニューディールが必要になっています。まず1990年の水準にまで不平等を軽減することを、世界のリーダーたちは公約すべきです」
「タックスヘイブンや実行力に乏しい労働法規など、グローバル経済のシステムは富裕層により有利なように作られています。世界のリーダーたちは、このシステムを見直し、一部のグローバルエリート層だけでなく人類全体に裨益するようにするべきです。」
世界の富の約3分の1にあたる32兆ドル(約2880兆円)が集まるタックスヘイブンを閉鎖すれば、1890億ドル(約17兆円)の税の増収になります。
また、オックスファムは以下の対応を新ニューディールとして提唱します。
– 税の逆進化傾向を世界的に反転させる
– 法人税に関するグローバルな最低税率を設定する
– 資本収益に対する賃金比率の向上策を実施する
– 無償の公共サービスや社会セーフティネットへの投資を増額する