「子ども3人が甲状腺がん、7人にがんの疑い」が判明してもなお、国や福島県は、子どものいのちを守ることを最優先にしていません。
福島県の子どもの甲状腺検査で、原発周辺13市町村の3万8114人のうち3人が甲状腺がんと診断され、7人が8割の確率で甲状腺がんの可能性があると発表されました。通常、100万人に1人か2人の発生頻度ですが、福島の場合は3.8万人に3人~10人の甲状腺がんが出ており、これは通常の80倍~260倍になります。
この件について、福島県の県民健康管理調査の検討委員会(座長・山下俊一氏)は、チェルノブイリ原発事故では4年後に発症が増加しているなどとして、福島原発事故の影響に否定的見解を示しています。チェルノブイリでは、事故後数年間の甲状腺検査が不十分だったという見方がある中で、原発事故の影響を否定する姿勢に疑問を感じます。
仮に、この見解が真実であったとしても、何が原因で通常の約80倍~260倍に子どもの甲状腺がんが増えているのかを明らかにする責任が国や県にはあります。それをしなければ、子どもたちを守ることができないからです。
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◆<福島子ども調査>甲状腺がん、新たに2人 他7人に疑い
(毎日新聞 2013年2月13日)
福島県が行っている子ども(震災時18歳以下)の甲状腺検査で、新たに2人が甲状腺がんと診断されたことが、13日の県民健康管理調査の検討委員会(座長・山下俊一福島県立医大副学長)で報告された。昨年9月に判明した1人と合わせ計3人になった。他に7人に甲状腺がんの疑いがあり、追加検査を行う。同検討委は原発事故の影響について否定的見解を示したが、「断定も否定もできない」と話す専門家もいる。
疑いのある人を含めた10人の内訳は男性3人、女性7人で平均年齢15歳。11年度に受診した原発周辺13市町村の3万8114人の中から見つかり、地域的な偏りはないという。甲状腺がんと判明した3人は手術を終え、7人は細胞検査により約8割の確率で甲状腺がんの可能性があるという。7人の確定診断は今後の手術後などになるため、最大10人に増える可能性がある。
記者会見した鈴木真一・県立医大教授によると、子どもの甲状腺がんの発生率は「100万人に1人」が通説。今回の検査は大きく上回るが、甲状腺がんは自覚症状が出てから診察する場合がほとんどで、今回のような精度での疫学調査は前例がなく比較できないという。さらに、チェルノブイリ原発事故では最短で4年後に発症が増加しているとして、鈴木教授は「元々あったものを発見した可能性が高い。(原発事故との因果関係は)考えにくい」と語った。
福島県の甲状腺検査は約36万人を対象に実施中。環境省は福島と他地域の子どもたちを比較するため、青森県などで約4500人を対象に検査を進めており、結果は3月下旬に公表予定。【蓬田正志、泉谷由梨子】
「100ミリシーベルトは大丈夫。毎時10マイクロシーベルト以下なら外で遊んでも大丈夫」と発言してきた山下俊一氏が甲状腺検査の責任者を務めているのは、非常に危険である。子どもたちのいのちを守るために山下氏の発言をもう一度、振り返っておきたい。
「100ミリシーベルト以下の健康リスクは明らかには証明されていない、または非常に小さいというのが科学者の国際的合意だ。」
「日本という国が崩壊しないよう導きたい。チェルノブイリ事故後、ウクライナでは健康影響を巡る訴訟が多発し、補償費用が国家予算を圧迫した。そうなった時の最終的な被害者は国民だ。」(毎日新聞)
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◆山下俊一氏 福島県民の健康より 国家財政を重視する発言
(2012/10/11 風の便り)から抜粋
山下氏に甲状腺検査の責任者を任せ続けた場合、子どもたちの健康がどうなるかを皆で考えたい。
◆甲状腺検査:福島県外の子供と比較 内閣府方針
(2012年08月26日 毎日新聞)から抜粋
福島第1原発事故を受けて福島県が始めた子供の甲状腺検査に関連し、国は放射線の影響の有無を調べるために県外でも同様の検査を実施し、今年度中に比較データを得ることを決めた。福島では受診者の約35%にしこりなどが見つかり、県は「良性の小さなのう胞やしこりは通常でもよくある」と説明しているが、通常の保有率の精密なデータがなく保護者の不安が募っている。国の担当者は「比較可能なデータを得て、福島の人々の安心につなげたい」という。
チェルノブイリ原発事故で子供の甲状腺がんが増えたことから、福島県は昨年10月、震災時に0〜18歳だった県民約36万人を対象に超音波検査を始めた。今年3月末までに受診した3万8114人のうち35.8%にあたる1万3646人で結節(しこり)やのう胞(液体がたまった袋状のもの)が見つかり、186人が2次検査の対象となった。
検査を実施している福島県立医科大の鈴木真一教授は、チェルノブイリ事故後に子供の甲状腺がんが増え始めたのが4〜5年後だったことなどから「現時点で放射線の影響が出ることはない」と説明する。一方、放射線の専門家からは「子供の一般的なしこりの保有率を調べて比べなければ、被ばくの影響の有無は判断できない」との指摘が出ていた。
◇説明不足、不安招く
「子供の健康を見守り、安心してもらうため」として福島県が無料で実施している18歳以下の甲状腺検査に、保護者の不安が募っている。セカンドオピニオンを求めて県外の病院を受診する人も続出。背景には結果に関する県の説明不足がある。【須田桃子、鈴木泰広、坂井友子】
福島県川俣町に住む60歳の女性は6月、4歳の孫を秋田市の中通(なかどおり)総合病院に連れて行った。車と新幹線で片道3時間、前日から宿泊し、甲状腺の触診と超音波、血液の検査を受けさせた。健康診断のため保険は適用されず、費用は約1万4000円。交通費なども約4万円かかった。
福島県立医大から検査結果の通知が来たのは2月。「小さな結節(しこり)やのう胞(液体がたまった袋のようなもの)がありますが、2次検査の必要はありません」とあるだけで、約2年後の次回検査まで放置して大丈夫か不安が募った。秋田の病院で複数ののう胞を確認、気が動転した。医師は半年後の再受診を勧め「今度は病名がつき保険も使える」と言ったという。
この病院には今年3月14日から約5カ月間で福島県の子供ら65人が訪れた。新潟や北海道、首都圏でも同様の受診が相次ぐ。福島医大が実施する県の検査は担当医を日本甲状腺学会など7学会に所属する専門医に限っているものの、検査は設備と経験のある医療機関ならどこでも可能だ。
だが、遠くまで足を運ぶ人の中には、福島県内で検査を拒否された例が少なくない。会津若松市に避難する2児の母親(38)は市内の5病院に電話をかけ、断られた。「診てもらいたい時に診てもらえないなんておかしい」と憤る。
医師らに理由を聞くと、「福島医大と異なる判断が出たら混乱を招く」(福島市の小児科医)▽「保護者の不安を解消するのは民間病院の役目ではない」(会津地方の病院)。県の検査に携わる医師の一人は「今回の福島医大の検査は放射線の健康影響を追跡する世界でも例のない疫学調査。他の病院で受けて県の検査を受けない人が出ると、邪魔することになる」と話した。
福島医大の山下俊一副学長らが1月に日本甲状腺学会など7学会に出した文書の影響を指摘する声もある。県の検査結果に関する相談があった際、「次回の検査までに自覚症状等が出ない限り追加検査は必要ないことを、十分にご説明いただきたい」との内容だ。同学会に所属する医師の一人は「この文書に従うと、医師は診療を拒否してはいけないという医師法に反してしまう」という。
保護者の不安が広がる中、浪江町は7月、県の検査がない年は町の診療所で検査する事業を独自に始めた。紺野則夫健康保険課長は「県は保護者や子供の気持ちが分かっていない。もっときめ細かく対応しデータを提供すべきだ」と話す。
◇「親の声を謙虚に聞く」
福島医大で甲状腺検査の責任者を務める山下俊一副学長に、課題を聞いた。
−−検査の目的は。
◆県民の健康増進のための医療サービスで、決して調査研究ではない。WHO(世界保健機関)の推計で、福島住民の被ばく線量はどんなに高くても100ミリシーベルト。100ミリシーベルト以下の健康リスクは明らかには証明されていない、または非常に小さいというのが科学者の国際的合意だ。
−−県外でセカンドオピニオンを求める保護者が増えているが。
◆改善策を考えなければならない。医師の考え方とお母さんの立場にギャップがある。謙虚に声を聞き、信頼関係を築きたい。
−−放射線の影響をどう判断するのか。
◆小さながんも見つかるだろうが、甲状腺がんは通常でも一定の頻度で発症する。結論の方向性が出るのは10年以上後になる。県民と我々が対立関係になってはいけない。日本という国が崩壊しないよう導きたい。チェルノブイリ事故後、ウクライナでは健康影響を巡る訴訟が多発し、補償費用が国家予算を圧迫した。そうなった時の最終的な被害者は国民だ。
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■ノーベル平和賞の「社会的責任を果たすための医師団」が警告
米国科学アカデミーによれば、安全な放射能の線量というものはない。過去数十年にわたる研究から、放射線はどんなに少ない線量でも、個々人の発がんリスクを高めることがはっきりと示されている。
日本で危機が続く中、人に発がんの危険が生じるのは最低100ミリシーベルト被曝したときだという報道が様々なメディアでますます多くなされるようになっている。これまでの研究で確立された知見に照らしてみると、この主張は誤りであることがわかる。100ミリシーベルトの線量を受けたときの発がんリスクは100人に1人、10ミリシーベルトでは1000人に1人、そして1ミリシーベルトでも1万人に1人である。
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■非常に重要なドキュメンタリー
Fukushima Radiation NOT SAFE! (日本語字幕付き動画)
■ものすごくショックを受けたニュース「子ども甲状腺にしこり3人に1人」2012/8/27
■山下教授が発言を訂正「100マイクロSVは、10マイクロSVの誤り」
https://www.windfarm.co.jp/blog/blog_kaze/post-5769
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◆甲状腺がん3人、7人疑い 福島県「被曝、考えにくい」
(2013年2月13日 朝日新聞)
福島県は13日、東京電力福島第一原発事故の発生当時に18歳以下だった3人が甲状腺がんと診断され、7人に疑いがあると発表した。チェルノブイリ事故では、被曝(ひばく)から最低4~5年後に甲状腺がんが発生しており、県は「総合的に判断して被曝の影響は考えにくい」と説明している。
県は事故当時、18歳以下だった約18万人のうち、約3万8千人の甲状腺の超音波検査結果をまとめた。計10人の平均年齢は15歳、男性は3人で女性が7人。腫瘍(しゅよう)の直径は平均15ミリ。確定診断された3人は全員、進行がゆっくりしたタイプの早期だった。甲状腺の被曝線量などは不明だ。今回の調査対象は、飯舘村や浪江町など避難区域などの子どもたちだ。3人は手術でがんを摘出、通常の日常生活を送っているという。
甲状腺がんの大半は進行が遅く、生存率も高い。診断30年後の生存率は9割以上。これまで、子どもの甲状腺がんの発生頻度は100万人に1~2人程度とみられていた。今回、それより高い頻度で見つかった。福島県立医大の鈴木真一教授は「今回のような精度の高い超音波検査で大勢の子どもを対象にした調査は前例がなく、比較はできない」と説明した。成人の超音波検査では3・5%に甲状腺がんが見つかったとの報告もあるという。