◆原発輸出 無責任すぎる経済優先
(2014年4月20日 北海道新聞 社説)
トルコとアラブ首長国連邦(UAE)を相手にした原子力協定が国会で承認された。これで日本から両国への原発の輸出が可能になる。トルコについては、安倍晋三首相のトップセールスで決まった輸出を追認した形だ。国内で原発依存度を可能な限り低減するとしながら、成長戦略として海外へ官民一体で原発を売り込むのは、つじつまが合わない。
福島第1原発は汚染水漏れなどのトラブルが続く。収束の見通しが立たない現状で、原発輸出を推進するのはあまりに無責任だ。とりわけ、トルコは世界有数の地震国である。
さらに問題なのは、トルコとの協定に、核不拡散の抜け道になりかねない記述が含まれる点だ。日本が同意すれば、トルコはウラン濃縮や、使用済み核燃料からプルトニウムを取り出す再処理ができることになっている。このような核兵器転用につながる恐れのある文言は、UAEとの協定には見当たらない。
岸田文雄外相は「日本政府が合意することはない」と釈明した。であれば、疑わしい部分は削除しても構わないはずだ。安倍首相は昨年、トルコを2度も訪問し、三菱重工業などの企業連合が原発4基の建設を受注することが固まった。
問題の記述は、トルコ側の要望で入れられたという。これでは、首相がまとめた商談を円滑に進めるために、便宜を図ったと疑われても仕方あるまい。
民主党が協定締結承認案の賛成に回ったのも理解し難い。政権担当時に原発輸出を進めたと言う理由で、核拡散の疑いさえある協定を認めるようでは、歯止めとしての役割をなさない。「原発ゼロ目標」とも矛盾する。
首相は「過酷な事故を経験したことから安全性に強い期待が寄せられている」と述べ、原発輸出を正当化している。しかし、事故原因すら解明されていないのに、事故の経験まで売り物にする姿勢は、なりふり構わぬ経済優先と映る。
政府は複数の国と原子力協定の交渉を行っている。この中に事実上の核保有国であるインドが含まれているのも看過できない。首相が先頭に立って売り込んだ原発が事故を起こせば、日本の責任も追及されるだろう。
原発輸出を成長戦略の柱に据える安倍政権の方針は、危険で道義的にも許されない。
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3年前に福島原発事故を起こし、今も大量の放射能汚染水や大気中に放射性物質を放出し続けている日本が、「世界一安全な原発」(安倍首相の発言)と称して、トルコに原発を輸出しようとしている。
首相講演「世界一安全」国産原発を売り込み(2013年5月2日 東京新聞)
「世界最高」は欺瞞 原子力コンサルタント 佐藤暁氏(2013年7月9日 西日本新聞)から抜粋
原子力規制委員会がまとめた原発の新規制基準が施行された。規制委自らと電力会社を怠惰にさせ、国民を不用心にさせる「世界最高」という欺瞞(ぎまん)の言葉が怖い。まず、そのこと自体が真実ではないからだ。真の世界最高は、おそらく米国が2007年に発行した将来型(第4世代)の原子炉に適用する安全基準の骨子案である。
その前の第3世代と呼ばれる新型の原子炉が、世界各地で建設されている。航空機の衝突に備え、格納容器の外側に頑丈なシールド建屋を持つ。安全系統は四重化され、非常時に原子炉に注水するための冷却水は、屋外タンクではなく格納容器内に設置する。建屋内で出火した場合には、耐火壁で隔離された内側の機器が全焼することを想定し、復旧を期待しない。
仮にこれらも新規制基準に含めていたならば、日本の原子炉は1基も適合できない。
世界で現在運転中の原子炉の半数以上は、1万~10万年に1回の大規模地震を想定して設計することになっているが、日本ではいまだに具体的に規定されていない。せめて千年に1回の規模のものでもいいから、大規模地震や大津波に関する基準となる数値を示し、われわれに問うてほしかった。
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1999年トルコ北西部地震と1995年兵庫県南部地震の比較(岐阜新聞)
トルコからの手紙
「日本の国会議員のみなさま、トルコの状況を知って下さい!8割の国民が原発に反対しています。しかし、反対意見を表明する国民は、政府に「国賊」と呼ばれ警察により排除されます」
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◆「あなたを心配する手紙」
Japonya’dan Türkçe uyarı: Nükleer felaket olacak!
Türk vatandaşlarına
トルコの人へ
Merhaba, Ben Japonum
こんにちは。わたしは日本人です。
Ben, Türkler için duyduğumuz endişeyi anlatabilmek için Türkçe öğrendim
わたしは今、「トルコの人たちのことを心配している」と伝えたくてトルコ語を教えてもらいました。
Japon Başbakanı Türkıy’ye Nükleer santral sattı.
日本の首相はトルコに原発を売りました。
Bundan dolayı Japonlar utanç içindeler.
その事をとても恥ずかしく思っている日本人はたくさんいます。
Çünkü biz, 2buçuk yıl önce FUKUSHIMA Nükleer santralinde büyük bir kaza yaşadik.
なぜなら私たちの国は2年半前にフクシマの原発事故を経験したからです。
Ben FUKUSHIMA Nükleer santralinden 20kilometre içerdeki şehri ziyaret ettim.
わたしはフクシマの原発20キロ圏内の街を訪れました。
Kaza yaşamiş o şehirler, 2buçuk yıl geçtiği halde hala aynı şekilde duruyordu.
事故があった街は2年半経っても、あの日のままです。
Hala daha, kazanın olduğu Nükleer santralin içi ne durumda, bılınmıyor.
今でも誰も事故のあった原発の中がどうなってるか?
Çok tehlikeli olduğu için kimse kesin bilemıyor.
危険すぎて誰も確認できていません。
Ve her gün, 300ton radyoaktif kirli su denize akıyor.
そして毎日、300トンもの放射能汚染水が、海に流れ出ています。
Radyoaktif bulaşan toprak, sıyrılıp bile nereye atılacağı belli değil.
汚れた大地を大量に削りとってもそのゴミ処分は決まっていません。
Nükleer santralde kullanılan malzeme 100,000yıl boyunca takip edilmesi gereken çok tehlikeli bir maddedir.
原発の使用済み燃料は10万年管理をし続けなければいけない大変危険な物質です。
Eğer ileride bizim sattıgımız Nükleer santralde bir kaza olursa, gerçekten ne olacak?
もしも未来に私たちが打った原発があなたの国で事故を起こしたら一体どんなことが起きるか?
Düşüncesi bile korkunç.
想像すると私たちはとても恐ろしい。
Bir Japon olarak, ne kadar özür dilesek yeterli değil.
日本人として謝っても謝りきれない。
Ben, Türker için endişeleniyorum.
わたしはトルコの人たちをとても心配しています。
Biz, sizin ve ülkenizin geleceği için endişe ediyoruz.
私たちはあなたと、あなたの国の未来を心配しています。
Nükleer santral büyük bir enerjidir ama aynı zamanda çok büyük bir para kaynağıdır.
原発はエネルギーですが、同時にとても大きなお金を生み出すシステムでもあります。
Japonyada, bu hakkı kullanma hususunda insanlar yanlış karar vermekte, görüş ayrılıkları olmaktadır.
日本がそうであるようにその利権によって、人々は判断を間違い、意見が分かれます。
Aynı ülkenin insanları birbirine düşebilir.
同じ国の中で同じトルコ人同士、争うことになるかもしれないのです。
Nükleer santral artık güvenli değil.
原発はもはや安全ではありません。
Japonya, ekonomisi için geleceğini kurban etmiş bir ülkedir.
日本は経済の為に未来を犠牲にしてしまった国です。
Lütfen, kimseye güvenmeyin.
決して誰も信用しないでください。
Lütfen, bir Nüleer santral fıkrine lişmayin.
原発があることに慣れないでください。
Her zaman etrafınızı koruyup, dikkatli olmak önemlidir.
いつでも見守り、注意し続けることが重要です。
Ben Türkiye’yi otobüs ile gezdim.
わたしはトルコをバスで旅したこともあります。
Çok güzel bir ülke olduğunu gördüm.
とても美しい国だと感じました。
Gelecekte, o güzelliği kaybetmemesini arzu ediyorum.
未来にその美しさを失うことのないよう祈ります。
Bütün Türklere ve geleceğin çocuklarına.
トルコの人へ、その未来の子どもたちへ
Japonya’dan Sevgilerle.
日本より愛を込めて
cast & written & Directed by KOUKI TANGE
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