福島県の「県民健康調査」が、県下全域でひと通りの検査を終えて、甲状腺がんの子ども(震災当時18歳以下)が57人、疑い46人の合計103人となった。この重要な出来事をマスコミはどのように報道したかを記録しておきたい。
◆発症割合地域差なし 子どもの甲状腺がん
県内0・028〜0・036%
(2014/08/25 11:54 福島民報)
東京電力福島第一原発事故発生時に18歳以下だった37万人を対象に実施している県の甲状腺検査で、6月末までに受診した約30万人のうち甲状腺がんやがんの疑いと診断された人は104人になった。原発周辺で避難措置などが取られた13市町村、浜通り、中通り、会津地方に分けた地域別の発症割合が初めて公表され、0・028〜0・036%と地域差はほとんど見られなかった。
福島市のコラッセふくしまで24日に開かれた県「県民健康調査」検討委員会で、県が県内をほぼ一巡した検査結果を報告した。細胞や血液などの精密な2次検査を受け、甲状腺がんと確定した子どもは57人で3月末時点より7人増えた。1人は手術の結果、良性だった。「がんの疑い」は46人で7人増えた。
検査を受けた子どものうち、がんの疑いを含めた地域別の発症割合は【図】の通り。原発周辺の13市町村は0・034%で、原発周辺を除いた浜通り(いわき市・相馬市・新地町)は0・035%、中通りは0・036%と地域差は見られなかった。原発から遠い会津地方は0・028%とやや低めだが、福島医大は「2次検査を終えた子どもが他の地域に比べ少ないため」と説明し、検査完了後はさらに差が縮まるとの考えを示唆した。
検討委の星北斗座長(県医師会常任理事)は甲状腺がんの発症割合に地域差がないことから、現時点で原発事故との因果関係は考えにくいとの従来通りの見解を示した。一方で「詳細な分析が必要」とも述べ、年齢や検査時期、被ばく量との関係など、さまざまな条件を加味して今後も調べる考えを示した。
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◆福島:甲状腺がんの子ども57人に 健康調査
(毎日新聞 2014年08月24日 20時25分)
◇疑いケース含めて計103人に
東京電力福島第1原発事故の健康影響を評価する福島県民健康調査の甲状腺検査で、甲状腺がんの診断が確定した子ども(震災当時18歳以下)が、前回5月の公表から7人増の57人に、疑いがあるケースを含めた人数は14人増の計103人(良性を除く)となった。調査を担当する福島県立医大は、地域別発症率に差がないことや被ばくの影響を受けやすい0〜5歳の発症が少ないことなどから、「被ばくの影響は考えにくい」としている。
福島市内で24日開かれた同調査検討委員会で県が報告した。
県内4地域別の内訳が公表され、10万人当たりの疑いを含めた発症割合は▽避難区域になるなどした13市町村▽いわき市など浜通り▽福島、郡山市などの中通り−−の3地域が33.5〜36.4人とほぼ同じだった。会津地方は27.7人と低かったが、検査が進んでいないためとみられるとしている。【深津誠】
◆福島県発表「放射線影響みられず」
(2014年8月25日 中日新聞)
東京電力福島第1原発事故による健康への影響を調べている福島県は24日、震災当時18歳以下の子ども約37万人を対象に実施している甲状腺検査で、甲状腺がんと診断が確定した子どもは5月公表時の50人から7人増え57人に、「がんの疑い」は46人(5月時点で39人)になったと発表した。
福島市内で開かれた県民健康調査の検討委員会で報告した。地域による発症率に差がないことも報告され、委員会の星北斗(ほしほくと)座長は、現時点で放射線の影響がみられないことが裏付けられたとした上で「今後、詳細な分析が必要だ」と述べた。
調査を担当する福島県立医大は、今回初めて県内を4つに分けた地域別の結果を公表。検査を受けた子どものうち、疑いを含めた甲状腺がんの発症割合は、第1原発周辺で避難などの措置がとられた「13市町村」では0.034%。県中央の「中通り」は0.036%、沿岸部の「浜通り」は0.035%と地域差はなかった。
原発から一番遠い「会津地方」は0.028%とやや低めだったが、医大は検査を終了した子どもが、ほかの地域に比べ少ないためと説明した。
国立がん研究センターなどによると、10代の甲状腺がんは100万人に1〜9人程度とされてきたが、自覚症状のない人も含めた今回のような調査は前例がなく、比較が難しい。
疑いも含めた甲状腺がんの子ども計103人のうち、最年少は震災当時6歳。原発事故から4カ月間の外部被ばく線量の推計値が判明した人のうち、最大は2.2ミリシーベルトだった。
◆子ども甲状腺がん57人に 5月発表から7人増
(2014年08月25日 河北新報)
福島第1原発事故による放射線の影響を調べる福島県の県民健康調査検討委員会は24日、福島市で会合を開いた。原発事故発生時18歳以下だった約36万7000人のうち、甲状腺がんの確定診断を受けた子どもは57人で5月の発表時から7人増えたと報告した。がんの疑いがあると判定された子どもは7人増の46人だった。
2011年10月〜14年6月に受診した約29万6000人(対象者の80.5%)の検査結果を集計した。
「疑いがある」を含めた地域別の甲状腺がんの発症割合(暫定値)を初めて公表。双葉町など第1原発周辺の13市町村は0.034%、福島市など中通り26市町村は0.036%、いわき市など浜通り3市町は0.035%で地域差はなかった。会津地方17市町村は0.028%だった。
検討委の星北斗座長(福島県医師会常任理事)は「(原発事故の)影響はデータが出そろった時点で判断したい」と話した。
県は1回目の検査をほぼ終了。4月から2年間の計画で、12年4月1日までに生まれた子どもを含め、約38万5000人を対象に2回目の検査を始めている。
◆福島の子供の甲状腺がん、57人に 「放射線の影響はみられず」福島県
(2014.8.25 08:53 産経新聞)
東京電力福島第1原発事故による健康への影響を調べている福島県は24日、震災当時18歳以下の子供約37万人を対象に実施している甲状腺検査で、甲状腺がんと診断が確定した子供は5月公表時の50人から7人増え57人に、「がんの疑い」は46人(5月時点で39人)になったと発表した。
福島市内で開かれた県民健康調査の検討委員会で報告した。地域による発症率に差がないことも報告され、委員会の星北斗座長は、現時点で放射線の影響がみられないことが裏付けられたとした上で、「今後、詳細な分析が必要だ」と述べた。
調査を担当する福島県立医大は、今回初めて県内を4つに分けた地域別の結果を公表。検査を受けた子供のうち、疑いを含めた甲状腺がんの発症割合は、第1原発周辺で避難などの措置がとられた「13市町村」では0・034%。県中央の「中通り」は0・036%、沿岸部の「浜通り」は0・035%と地域差はなかった。
原発から一番遠い「会津地方」は0・028%とやや低めだったが、医大は検査を終了した子供が、ほかの地域に比べ少ないためと説明した。
◆甲状腺がん、疑い含め104人 福島の子供30万人調査
(2014年8月24日07時04分 朝日新聞)大岩ゆり
東京電力福島第一原発事故の被曝(ひばく)による子どもの甲状腺への影響を調べている福島県の検査で、受診した約30万人のうち104人が甲状腺がんやその疑いと判定されたことがわかった。県は「被曝の影響とは考えにくい」としている。この結果は24日に公表される。
甲状腺検査は事故当時18歳以下だった県民を対象に実施。県内全域を一巡した今年6月30日現在の結果(暫定値)がまとめられた。
甲状腺がんやその疑いとされた104人のうち、がんと確定したのは57人、良性が1人だった。104人の事故当時の平均年齢は14・8歳で、男性36人、女性68人。腫瘍(しゅよう)の大きさは約5〜41ミリで平均14ミリ。
疑いも含めると10万人当たり30人以上の割合でがんが見つかった計算になる。事故前から実施されている宮城県などのがん登録では、10代後半の甲状腺がんの発生率は10万人当たり1・7人。これに比べると今回の福島県の30人以上はかなり高いが、無症状の人を網羅的に調べてがんを見つけており、症状がある人を調べたがん登録より発生率は高くなるため、単純に比較できない。
また、青森、山梨、長崎の3県で計約4400人の無症状の子どもを調べた環境省の甲状腺検査では、1人ががんと診断され、約3千人に1人の福島の発生率に比較的近かった。だが、調べた人数が少なく、科学的な根拠は弱い。
専門家の間では、いま福島県内の子どもで見つかっているがんは、被曝の影響ではないとする意見が多い。チェルノブイリで子どもの甲状腺がんが増えたのは事故後約4年目以降であることや、甲状腺がんは成長が遅いためだ。一方、放射線の影響を指摘する研究者もいる。
今回の結果では、福島県内の地域別のデータが初めてまとめられた。10万人当たりのがんの発生率をみると、原発から約80キロ以上離れた会津地方は27・7人。原発周辺の「避難区域等」と福島市などの「中通り」、いわき市などの「浜通り」はいずれも35人前後だった。県は、会津地方は精密検査が終わっていない人が多いため、今後、がんと診断される人が増える可能性があるとみている。
福島県の県民健康調査検討委員会座長の星北斗・星総合病院理事長は「地域別の発生率などを厳密に比較するには、年齢構成などを考慮する必要がある」と指摘する。近く検討委員会の甲状腺部会で、結果を詳しく解析する予定という。
甲状腺検査は、まず超音波検査で結節(しこり)や嚢胞(のうほう=液体が入った袋状のもの)の有無などを調べ、一定以上の大きさがあれば精密検査に進む。
県は、今回のデータを将来の変化をみる基準にし、検査を生涯にわたって続ける方針。(大岩ゆり)
◆子どもの甲状腺検査 がん・がん疑い103人
(2014年8月24日18時29分 NHK)
東京電力福島第一原発の事故を受けて、福島県が行っている子どもの甲状腺検査で、これまでに検査を受けたおよそ30万人のうち、103人が、がんやがんの疑いと診断されました。
福島県などは、原発事故による被ばくの影響とは考えにくいとしていますが、今後も検査を続けることにしています。
原発事故で拡散した放射性ヨウ素は、甲状腺にたまるとがんを引き起こすおそれがあるとされ、福島県は、事故当時18歳以下だったすべての子どもを対象に甲状腺の検査を進めています。
24日は、福島市で開かれた専門家の委員会で、事故後3年間に県内全域で実施した検査結果が公表され、これまでに検査を受けたおよそ30万人のうち、がんと診断されたのは57人だったということです。
また、46人が、がんの疑いがあるとされ、がんやがんの疑いのある子どもは合わせて103人で、10万人当たりおよそ30人の割合になります。
地域別では、原発周辺の13の市町村と、福島市やいわき市などの中通りや浜通りの別の自治体では、がんやがんの疑いがあるとされた割合はほぼ同じでした。
検査を担当する福島県立医科大学の鈴木眞一医師は「がんが見つかった理由は、症状のない人も含めて精度の高い検査を行っているためで、これまでのところ、原発事故による被ばくの影響とは考えにくい。年齢が上がれば通常でも甲状腺にしこりが見つかる確率が高くなるので、慎重に見続ける必要がある」としています。
福島県では今後も検査を継続し、長期にわたって子どもへの健康影響を調べることにしています。
◆甲状腺がんの子供「原発影響考えにくい」 福島の検査で学会
(2014/8/28 22:05 日本経済新聞)
福島県立医大の鈴木真一教授は28日、東京電力福島第1原発事故を受け福島県が実施している甲状腺検査で、がんの疑いが強いと診断、手術した子供の具体的な症例を横浜市で開かれた日本癌治療学会で報告した。
がんは原発事故の影響とは考えにくいとの見方を示した上で、過剰診断や必要のない手術との声が上がっていることに触れ「基準に基づいた治療だった」と強調した。
福島県の甲状腺検査は震災発生当時18歳以下の約37万人が対象。これまで甲状腺がんと確定した子供は57人、「がんの疑い」は46人に上る。子どもの甲状腺がんが急増した1986年のチェルノブイリ原発事故と比較し、鈴木氏は「症状も年齢分布もチェルノブイリとは異なる」とした。
がんの57人のうち県立医大が手術した54人について、8割超の45人は腫瘍の大きさが10ミリ超かリンパ節や他の臓器への転移などがあり、診断基準では手術するレベルだった。2人が肺にがんが転移していた。
残る9人は腫瘍が10ミリ以下で転移などはなかったが、7人は「腫瘍が気管に近接しているなど、手術は妥当だった」。2人は経過観察でもよいと判断されたが、本人や家族の意向で手術した。
手術した54人の約9割が甲状腺の半分の摘出にとどまった。
福島の甲状腺がんをめぐっては一部の専門家から「手術をしなくてもいいケースがあったのではないか」との指摘があり、患者データの公開を求める声があった。〔共同〕
◆ <福島県子どもの甲状腺がん>「癌と癌の疑い合計103人に!」 手術した57人中2人は肺に転移、45人は10mm以上リンパ節や他の臓器に転移!!それでも「放射線の影響は見られない」