新国立より 「もんじゅ」 と 「再処理工場」 の方が税金を浪費している

東京五輪の主会場となる新国立競技場の総工費が2520億円で、シドニー、アテネ、北京、ロンドン、リオの5大会会場の合計総工費よりも高くなると分かって、税金の無駄遣いが厳しく批判されています。

東京五輪2520億 5大会合計2480億

このズサンな計画が批判されるのは当然ですが、この税金の無駄遣いよりも桁違いに莫大な無駄遣いで、環境や人体への危険性も大きい「もんじゅ」と「再処理工場」のことがあまり知られていません。

もんじゅ 停止後も年間200億円の維持費 これまで1兆円の国費を投入(横長)

もんじゅ総事業費 1兆円超 「経費1500億円超 未公表」検査院指摘
(2011/11/15 風の便り)から抜粋

検査院 もんじゅの支出公表を(2011年11月14日 17時31分 NHK)から抜粋

福井県敦賀市にある高速増殖炉「もんじゅ」の研究開発費は毎年、予算段階の金額が公表され、昨年度までの総額はおよそ9265億円に上っています。ところが会計検査院が実際にかかった支出を調べた結果、およそ1兆810億円だったことが分かり、「もんじゅ」の開発を進めている日本原子力研究開発機構に対し支出についても公表するよう求めました。

公共政策が専門で日本大学の有川博教授は「今後の原子力発電をどうすべきか検討しているときに、かかった費用の正確な数字が示されないと正しい政策判断ができなくなるおそれがある。原子力発電を巡る議論は、税金など国民の負担にも関わる問題だけに、日本原子力研究開発機構はホームページなどを通じて実際にかかった費用を国民に公表すべきだ」と話しています。

「もんじゅ」は、発電しながら燃やした以上の核燃料を作る高速増殖炉の実用化に向け課題を洗い出すため、平成6年に試験運転を開始しました。しかし運転開始から1年8か月後にナトリウム漏れ事故が発生して、14年間、運転が止まり、去年5月にようやく運転を再開しました。その後、燃料を交換する装置が原子炉内に落下するトラブルが起きましたが、今年度中には試験運転を再開する予定になっていました。ところが、ことし3月、東京電力福島第一原子力発電所の事故が起き、国の原子力安全委員会が長期計画の見直しを始めたことなどから、今年度の試験運転は見送られています。

小出裕章が語る、『もんじゅ』の維持費が異常に高い理由と、世界の高速増殖炉の失敗の歴史
(2011年11月22日)から抜粋

小出「原子力の燃料であるウランというのは、たいへん貧弱な資源で、すぐに無くなってしまうものだった、のです。それで、原子力を推進する人たちは、ウランだけではどうせ駄目なので、プルトニウムという物質をつくりだして、それを原子力の燃料にする意外にないというふうに、考えつきました。ただしプルトニウムという物質は、地球上には全くありませんので、高速増殖炉、いわゆる「もんじゅ」という原子炉のまあ大型のものを沢山作って、プルトニウムを作り出して原子力を何とかエネルギー源にしたいと思ったのです。そのためにはまあどうしても『もんじゅ』のような形の原子力が要ると、いうふうにもう1940年代からみんなが気がついていて、その開発に着手したのですけれども、結局できないまま今日まで来てしまった」

水野「40年経って成果はない、お金は1兆円かけてる。稼動してから17年間で動いた日がたった二百数十日間って。17年間動かしたけど1年分も動けてないっていうんですね」

小出「はい。1キロワット・アワーの発電もしておりません

小出「95年の12月に、いざ発電をしようかと思って、少し出力をあげようとしたとたんに事故を起こしました。それで結局、何の発電もできないまま止まってしまいまして、14年以上止まったままだったのです」

水野「停止しているときにも維持費が年間二百数十億円かかると」

小出「そうです」

水野「そんなに掛かるんですか(笑)。止まってても?これ先生、なんでこんな巨額なお金がかかるんですか? とまってて……維持するために」

小出「もんじゅ、というか高速増殖炉という原子炉は、原子炉を冷却するための冷却材として水が使えないのです。物理学的な宿命があって。もんじゅの場合にはナトリウムという物質を使っているのですが。ナトリウムは70度をよりもっと、冷たくなってしまうと固体になってしまう、のです。そうするとポンプで流すことも出来ませんし、冷やすこともできないし。固体になってしまうと体積が変わってしまいますので、原子炉の構造自身が壊れてしまうということになりますので。もう四六時中あっため続けなければいけない。」

水野「はあー。そうして今に、至って、やっと去年運転再開したんでしたっけ?」

小出「何としても、もんじゅを動かすと言って、やろうとしたのですね。やろうとした途端にまた事故を起こしまして、また止まってしまったというのが現在です」

水野「『もんじゅ』の高速増殖炉というものの危険性っていうのはどうなんでしょう?」

小出「もんじゅという原子炉はもともと燃料がプルトニウムという物質なんですね。プルトニウムという物質は人類が遭遇したうちで、最悪の毒物と言われるほど、危険な毒物でして。100万分の1グラムを吸い込んだら人間一人が肺癌で死ぬというそれほどの毒物なのです。それを何十トンも原子炉の中に入れて動かすというのが『もんじゅ』という原子炉で。まあ、なんと表現していいかわからないほど、巨大な危険、巨大な危険を抱えたものです」


日本原子力研究開発機構 「もんじゅ」についてお答えします。

「もんじゅ」の研究開発にかかった事業費(予算額)はいくらか?

「もんじゅ」での研究開発の事業費(予算)は、
10,225億円(昭和55年度―平成27年度)です。

[内訳]
建設費5,886億円(昭和55年度―平成6年度)
(政府支出:4,504億円、民間拠出:1,382億円)
運転・維持費4,339億円(平成元年―平成27年度)
(政府支出:4,339億円)

「もんじゅ」の事業費(予算額)の推移

上のグラフでは、予算しか分かりませんが、平成18年(2006年)以後も毎年およそ200億円(毎日約5500万円)の維持費が税金から支出されています。

平成25年(2013年)財務諸表

「もんじゅ」の存続 官僚利権の温床 血税の投入1兆円 維持費1日5500万円
根拠は何? 「もんじゅ」存続 (2014年4月24日 東京新聞)

東京新聞 「もんじゅ」存続 官僚利権の温床 「老後の糧 捨てない」

ずさんな管理で運転禁止中の高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)。初臨界から20年で、稼働したのは250日。1兆円を超す血税が注がれ、いまも1日5500万円が投じられている。いよいよ廃止かと思いきや、今月、閣議決定されたエネルギー基本計画で放射性廃棄物の「減害・減容」化研究の名目で生き残った。この理由は妥当なのか。存続の本当の理由は何なのか。

【もんじゅ】
従来は日本の核燃料サイクルの中核を担う施設と位置付けられてきた。1985年着工、95年初発電。核廃棄物から取り出したウランとプルトニウムなどによる混合酸化物(MOX)燃料を使う。一般的な原発とは違い、原子炉内に液体ナトリウムを入れることで、核分裂を引き起こす中性子を高速で動かせるようにしている。この仕組みを用い、使った以上の燃料を生み出す「増殖」の役割が期待されてきた。

◆看板に偽り 実用化「机上の空論」

「廃棄物の減容・有害度の低減のための国際的な研究拠点」。エネルギー基本計画で、もんじゅの役割はそう記された。

もんじゅは本来、核燃料を使いながら燃やす増殖炉と位置付けられてきた。しかし、巨額の国費を投じながらトラブルや不祥事続きで運転は滞り、与党内でも運転継続に批判が少なくなかった。このため、政府は国民の理解が得やすい「核のごみを減らし、有害性も低くする」という名目にシフトすることにした。

核廃棄物の処分に詳しい神奈川工科大の藤村陽教授(物理化学)によると、核廃棄物の中で厄介なのは長期間、放射線を出す「マイナーアクチノイド(MA)」だ。半減期が214万年のネプツニウム237や7000年余りのアメリシウム243などを指す。

これらは射程が短いが強力な放射線「アルファ線」を出すため、もし人体に入った際には深刻な内部被ばくを引き起こす。

核廃棄物の減容化・減害化という場合、このMAに重きが置かれることになるが、どう実現するのか。

もんじゅは中性子を高速で動かす「高速炉」で、核分裂を一定程度、誘発させることができる。この炉内に燃料とMAを入れ、核分裂させることで、半減期が短く、アルファ線を出さない物質に変えることで減害化を図るのだという。

核分裂でできる物質としては、半減期が30年前後のセシウム137やストロンチウム90などが想定される。100年程度たてば放射能が相当弱まり、熱も下がるため、地層処分する際に集約が技術的に可能になり、処分場の面積も少なくて済むとされている。

しかし、藤村教授は「夢のような話ばかりではない」とくぎを刺す。

MAが核分裂でアルファ線を出さない物質になったとしても、新たにできたのがセシウム137なら透過力の強いガンマ線を発するので、これらを扱う作業員らは体外から被ばくしかねない。「それに半減期が短い物質は半減期が長い物質と比べ、短い期間に集中的に放射線を出す。一概に害が少ないとは言えない」

費用対効果の面でも実現の見通しは極めて暗い。

高速炉1基でMAを減容化・減害化できるのは一般の原発1~2基分にすぎない。ここでいう高速炉はもんじゅのように実験段階に近い原型炉ではなく、開発が進んで規模も大きくなった実用炉を指す。

京都大原子炉実験所の小出裕章助教は「もんじゅですら巨額を投じてろくに動かないのに、それより巨大な高速炉を何基もつくるのか」と話す。核廃棄物からMAを取り出す技術も実用化はほど遠く「政府がやろうとしているのは机上の空論にすぎない」と語る。

官僚利権の温床 「老後の糧 捨てない」

もんじゅは現在も停止中だ。原子力規制庁が3月に実施した保安検査で、冷却系の循環ポンプ関連機器の一部に点検漏れがあったことが分かった。内規に逸脱した方法で、機器の点検記録を数百カ所にわたり訂正したことも判明した。

ずさんな管理は今に始まったことではない。2012年には約1万件の機器の点検漏れが発覚。1995年には国内初のナトリウム漏れ事故を起こした。

だが、いまも多額の国費が投じられる。14年度の維持費は199億円。事業主体の独立行政法人・日本原子力研究開発機構(原子力機構)の職員数は3770人で、年間予算1850億円のうち、政府支出金が9割。血税のむだ遣いといわれる根拠だ。

この大盤振る舞いの背景に何があるのか。核兵器材料のプルトニウムを確保するためともいわれるが、元経済産業省官僚の古賀茂明氏は「官僚の利権を守るためだ」と断言する。

文部科学省が所管する原子力機構の起源は、ともに56年に発足した旧科学技術庁傘下の特殊法人・旧日本原子力研究所と旧原子燃料公社だ。旧科技庁は省庁合併で文科省になった。

原子力機構の理事長は文科省の任命で、理事長が任命する理事7人のうち、現在は伊藤洋一、山野智寛の両氏が旧科技庁出身の文科官僚。森山善範氏は旧原子力安全・保安院(現原子力規制庁)の出身だ。官僚の身分のままの「現役出向」で事実上の天下りだ。ちなみに原子力規制委員会の田中俊一委員長も同機構の特別顧問を務めていた

原子力機構を足場に官僚は自分の天下り先を維持するための世話も焼く。例えば、同機構は10年に、文科省のOBの再就職先を含む原発関連を含む80の公益法人に賛助会員としての「会費」などとして約8600万円を支出していた。

もんじゅについて、古賀氏は「利権構造を守るためにも、官僚としては絶対に廃止させられない」。元外務官僚の梶山恵司氏も「官僚は自分の老後の生活の糧を自ら捨てるようなことはしない」と語る。

*** 記事の引用は、ここまで ***

維持費だけで、毎日5500万円もかかる「もんじゅ」の浪費は信じがたいものですが、それ以上に巨額の浪費が核燃料再処理工場です。


六ヶ所再処理工場のコストは11兆円!!
(原子力資料情報室 とめよう!六ヶ所再処理工場)から抜粋

六ヶ所工場の費用について、当初公表されていたのは建設費だけです。工場は1993年から建設されていますが、この時は約7600億円でした。それが96年には1兆8800億円、99年には2兆1400億円と、2倍、3倍と高騰してきました。 ところが建設開始10年後の2003年、突然、電気事業連合会は「六ヶ所再処理工場の総費用は約11兆円」と公表しました。公表された内訳は、建設費約3兆3700億円運転・保守費約6兆800億円工場の解体・廃棄物処理費約2兆2000億円です。建設費だけでも当初計画の4.5倍になっています。そしてそれまで一切説明されなかった運転・保守費、工場の解体・廃棄物処理にも膨大な費用のかかることが明らかになりました。この試算は工場が40年間100%フル稼働、無事故で動くという、ありえないような前提で試算されていますから、実際はこれ以上の額になることは確実です。これは使い道のないプルトニウムのための費用であるにもかかわらず、数世代にわたって国民一人ひとりが負担することになります。

核燃施設のコスト

バックエンド費用19兆円

六ヶ所再処理工場でトラブルが続発し計画が遅延する一方、六ヶ所再処理工場にかかるコストが今後電力会社の経営を圧迫することは確実です。電気事業連合会の試算によると、今後の増設分を含んだ建設費が約3兆3700億円、工場の運転・保守費に約6兆800億円、施設の解体・廃棄物処分費用が1兆5500億円、総額約11兆円もの経費がかかるというのです。さらに六ヶ所工場の費用を含めたバックエンド費用の総額が約19兆円にも達することが明らかにされました。核燃料サイクルにこんな経費がかかることを一度も国民に説明せず、工場を作ってしまったのだからと国民に負担をおしつけているのです。しかしいまこの六ヶ所再処理計画を中止すれば、工場の運転費用、解体費用、MOX燃料工場やTRU廃棄物の処分費用の必要はなく、19兆円のうちの実に7割の削減が可能になります。

再処理は廃棄物を増やす!

政府や電力会社は、「再処理によって廃棄物の量が減る」と宣伝しています。これは大きなウソです。確かに高レベルの使用済み燃料はガラス固化体にすれば小さくなりますが、それと同時に膨大な低レベルの放射性廃棄物が発生します。その量はフランスのラ・アーグ再処理工場では元の使用済み燃料に比べて約15倍、日本の東海再処理工場では約40倍となっています。六ヶ所再処理工場でも、事業申請書から試算すると約7倍の放射性廃棄物の発生が見込まれています。また廃棄物とは見なされない空や海への日常的な放射能の垂れ流しもあります。さらに工場の操業後は、施設全体が放射性廃棄物となってしまいます。これらを含めると再処理工場は、元の使用済み燃料に比べて約200倍もの廃棄物を生み出すという試算値もあります。これらはすべて、再処理を行わなければ発生しない廃棄物です。

再処理によって発生する廃棄物
再処理工場は「原発1年分の放射能を1日で出す」

使用済み燃料は膨大な放射能の塊で、人間が近づけば即死してしまうような非常に強力な放射線と高い熱を出し続けます。再処理工場はこんな危険な使用済み燃料をブツ切りにし、大量の化学薬品を使ってプルトニウム、燃え残りのウラン、死の灰(核分裂生成物)に分離する巨大な化学工場です。そのためたとえ事故でなくても、日常的に大量の放射能を放出しなければ運転できません。高さ150メートルの巨大な排気筒からは、クリプトンをはじめとしてトリチウム、ヨウ素、炭素などの気体状放射能が大気中に放出されます。また六ヶ所村沖合3kmの海洋放出管の放出口からは、トリチウム、ヨウ素、コバルト、ストロンチウム、セシウム、プルトニウムなど、あらゆる種類の放射能が廃液に混ざって海に捨てられます。また六ヶ所工場の当初計画ではクリプトンとトリチウムの除去が計画されていましたが、経済的な理由から放棄され全量が放出されます。

再処理工場は、危険な放射能を垂れ流す最悪の核施設です。ヨーロッパでは、再処理工場周辺にまき散らされた プルトニウムなどの放射能が、鳥や魚、植物、そして人体からも確認されています。

最悪の核施設 六ヶ所再処理工場 小出裕章

英・仏の再処理工場周辺で小児白血病が多発

すでに再処理工場が30年以上運転されているヨーロッパからは、膨大な放射能放出による環境汚染、人体への影響が報告されています。フランスのラ・アーグ再処理工場周辺では、小児白血病の発症率がフランス平均の約3倍にのぼるというレポートが発表され、再処理工場の運転や放射能放出を規制する動きが出ています。イギリスのセラフィールド再処理工場からの放射能によって汚染されたアイリッシュ海をめぐっては、対岸のアイルランド政府がイギリス政府を訴える事態に発展しています。ヨーロッパ西部の多くの国の政府は、これ以上の放射能汚染を防ぐために英・仏の再処理工場の運転を停止するよう求めています。

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