玄海3号機 定検前倒し 放射性物質濃度上昇 (西日本新聞)
2010年12月11日
使用済み核燃料を再利用するプルサーマル運転中の玄海原子力発電所3号機(佐賀県玄海町、加圧水型軽水炉)で放射性物質のヨウ素濃度が上昇した問題で、九州電力は10日、濃度上昇が続いたため燃料棒から同物質が漏れている疑いがあるとして、11日にも原子炉を停止、今月下旬に予定していた定期検査を前倒し実施すると発表した。
外部環境への影響はないが、昨年12月のプルサーマル営業運転開始以降、初の異常となる。
9日、原子炉容器内を流れる1次冷却水中のヨウ素濃度が、3号機の通常レベルの約2倍に上昇。10日に再測定したところ、さらに約2倍に上昇した。濃度は1立方センチ当たり0・59ベクレルと法で定める制限値の約10万分の1で運転に問題はないが、九電原子力管理部は「濃度の高さより、上昇が続いたことが重要。プルサーマル運転中で一般の関心も高く、前倒しを決めた」としている。
10日夕方から出力を下げ、11日にも発電停止。検査では、使用済み核燃料から取り出したプルトニウムとウランを混ぜたMOX燃料16体を含めた燃料集合体193体すべてで、漏えいの有無と原因を調査する。問題の箇所がMOX燃料か通常のウラン燃料か不明。
九電では過去、漏えいは玄海原発で7回、川内原発(鹿児島県薩摩川内市)で1回発生。燃料棒に穴が開く「ピンホール現象」が原因だった。玄海3号機では1999年に漏えいがあった。
九電は定期検査中の来年3月、第2陣のMOX燃料を装荷する予定だった。原子力管理部は会見で「現時点では予定通り次のMOX燃料を装荷したい」とする一方、「むやみに燃料を替えればいいという問題ではなく、調査して原因を特定したい」と話した。
=2010/12/11付 西日本新聞朝刊=