山口県上関町の祝島にて、エネルギー自給率100%をめざす野心的なプロジェクトが始まります。
「反原発」の島、エネルギー自給率100%構想 山口 (朝日新聞)
瀬戸内海に浮かぶ人口500人弱の小さな島、山口県上関町の祝島(いわいしま)で、エネルギー自給率100%をめざす野心的なプロジェクトが始まる。約4キロ対岸で進む中国電力の上関原発建設計画に28年間ほぼ島ぐるみで反対を続けてきた島民と、東京の環境NGOが手を組んだ。実現に向けた新組織を立ち上げ、企業やアーティストらの協力で資金を広く集める考えだ。
「祝島自然エネルギー100%プロジェクト」を進めるのは、島民の約9割が加わる「上関原発を建てさせない祝島島民の会」(山戸貞夫代表)と、東京のNGO「環境エネルギー政策研究所」(飯田哲也所長)。太陽電池などの設置や資金集めのため、「島民の会」を母体にした運営団体「祝島千年の島づくり基金」を14日に発足させた。
手始めに、企業やアーティストから特定商品の売り上げの1%を寄付してもらうプログラム「1% for 祝島」をスタートさせる。ロゴマークはイラストレーターの黒田征太郎さんがデザイン。すでにアウトドア衣料メーカーのパタゴニアなどが参加意向を示している。
漁業が盛んな祝島では、集落の真正面にあたる対岸に上関原発の建設計画が浮上した1982年以来、「自然とともに生きる生活を守りたい」と島民の多くが反対を貫いてきた。総額10億円を超す漁業補償金の受け取りも拒否した。
県知事は2008年10月に予定地の海面埋め立てを許可し、中国電は09年12月に国に原子炉設置許可を申請。同10月からは海面埋め立て工事に着手したが、島民らの反対運動で中断。昨年9月から再開を試みているが、作業台船が予定地に向かうたびに漁船団が海上で抗議して、埋め立て工事は進んでいないのが現状だ。
ただ、祝島は海底ケーブルで届く中国電の電気を使っており、反対運動への批判もある。「自然の力でエネルギーを自給できたら」との機運が島民の間で高まり、「島民の会」運営委員の山戸孝さん(33)を中心に、自然エネルギー普及の知識や経験の豊富な旧知のNGOの飯田所長らと構想を練り上げた。
試算では、島で必要な電力は約1千キロワット。1台3?4キロワットの太陽電池を100基設置するのを当面の目標に、し尿を生かすバイオマス発電や小型の風力発電、太陽熱温水器も順次導入。送電線も強化し、10年ほどで島内のエネルギー生産が使用を上回る「自給率100%状態」をめざす。
飯田さんによると、一定区域で「自然エネルギー100%」を目指す計画は欧州などでいくつかあるが、日本で本格的なものは初めてという。山戸さんは「持続可能なエネルギーで島が自立することが、原発計画を止めることにもなる」と意気込んでいる。(渡辺純子、安田朋起)
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反原発団体が電力の自給構想 (中国新聞) ’11/1/15
中国電力が山口県上関町で進める原発建設計画に反対する住民団体「上関原発を建てさせない祝島島民の会」は、太陽光など自然エネルギーで同町祝島の電力の自給100%を目指すプロジェクトを始める。離島など一定のエリアで自給100%を目指す構想は国内初という。
東京都のNPO法人「環境エネルギー政策研究所」が協力。島民の会会員を中心に運営する社団法人「祝島千年の島づくり基金」を本年度中に発足させ、当面は島内に現在約300戸の民家のうち、100戸への太陽光発電機の設置を進める。太陽熱温水器、し尿を使ったバイオマス発電なども導入。10年程度かけ、島内で必要な約千キロワットの発電ができるようにする。
資金確保のため、企業や芸術家に売り上げなどの1%寄付を募る。すでにアウトドア用品メーカーなどが協力を申し出ている。柳井市で会見した島民の会の山戸孝さん(33)は「原発に頼らない地域づくりという選択肢を示す。原発計画の阻止や支援拡大につなげたい」としている。
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