2011年3月12日 20時33分
「かなり危険な状態。こんなことになるとは予想をはるかに超えていた。設計が甘かったのだろう」。放射性物質が外部に漏れた福島県の東京電力福島第1原発の作業員の男性は12日午後、1号機の周辺で放射性物質のセシウムとヨウ素が検出され、爆発が確認されたことに驚いた様子で語った。
男性は長年、第1原発の管理などを担当し、定期点検中だった4号機の原子炉建屋で作業中に被災。大きな揺れに襲われた瞬間、「炉心の水が漏れたら危ない」と感じたが、実際に炉心が溶融したと知ってあぜんとした。
「1号機の運転状況は分からないが、間違いなく危険。漏れているというより放射能が飛んでいる状況で、より広い範囲で住民を退避させるべきだ」と訴えた。
枝野幸男官房長官と経済産業省原子力安全・保安院は「冷静な対応」を求めたが「それでは間に合わない。もっと広報を積極的にするべきだ」と批判した。
男性は12日夜、福島第1原発から30キロ超離れた避難所で過ごすことにしていたが「炉心の核燃料が溶融し、放射性物質が周辺に拡散したとの報道を受けて、もっと遠くに避難するかもしれない」と話した。
高台に退避する際には、2号機のタービン建屋の外壁にひびが入っているのが見えたという。
(共同)