このところ記事の転載ばかりだったが、この間、気になっていたことを書きたい。
福島原発の高温の原子炉を冷やすために真水を使えず、一方で原子炉に海水を注入すると容器が二度と使えなくなるため、海水注入をためらったことが爆発を引き起こし、首相が海水注入を命じた後にようやく海水注入を開始した、とウォール・ストリート・ジャーナルが伝えている。
海水の注入を始めた後に私は、文化人類学者の辻信一さんにこんな話をした。「今、海水が注入され続けているが、海水を煮詰めていくと塩ができる。いま原発の炉心で行われていることを続けていけば、炉心の中に塩の固まりができてくるのではないか、それを心配している」と。
この問題をどのメディアも取り上げないことが不思議だったが、今日初めて、西日本新聞朝刊に奈良林 直・北海道大工学研究員教授が「海水冷却には限度」と書いていた。ウェブで検索したが、アップされていないので一部を抜粋したい。
「海水の注入は、冷却できなくなった原子炉を冷やす最後の手段だったが、いつまでも続けることはできない。海水中に3.5%含まれる塩分が原子炉内にたまり、冷却機能を阻害するからだ。海水を蒸発させて塩分を濃縮する「塩田」が、原子炉内にできたと考えればよい。
塩分の蓄積を計算すると、海水を原子炉に注入できる期間は約10日と推定される。海水注入から7日経過しており、限界に近づきつつあるといえるかもしれない。 真水による本来の冷却に早く戻さなければならない。そのためには、外部電源の復旧がぜひとも必要である。」