4号機、使用済み燃料損傷の恐れ 福島第1原発
(2011年3月16日 西日本新聞)
写真:福島県二本松市で、放射線量の検査を受ける赤ちゃん=15日午後1時31分
東京電力は15日午後、福島第1原発4号機の使用済み核燃料プールの水が沸騰し、水位が低下している可能性があることを明らかにした。建物の壊れた穴を通じて注水することを検討している。毒性が強いプルトニウムが大量に含まれる使用済み核燃料が損傷し、極めて強い放射性物質が外に拡散する危険性があり、政府、東電は早急な対応を迫られている。
また、1~4号機の中央制御室の放射線量が高すぎるため運転員が常駐できず、離れた緊急時対策本部に退避。電源喪失のため、必要な運転データを同本部では取得できず、定期的に制御室に戻ってデータを取得しているとしている。原発管理の中枢部に人がおらず、現状把握に困難が生じてる事態が明らかになった。
4号機では、同日朝に使用済み核燃料に関係する水素爆発の可能性がある火災が発生し、建屋の壁に8メートル四方の穴が二つあき、爆発による被害の大きさをうかがわせた。
東電によると、地震の影響で使用済み核燃料プールの冷却機能が停止。通常40~50度の水温が、14日午前4時すぎに84度まで上昇していた。地震発生時に4号機と同様に定期検査で停止していた5、6号機のプールの水温も若干上昇しているとしている。
枝野幸男官房長官は、4号機について「高濃度の放射性物質は継続的に出ていない可能性がある」と述べた。東電によると、3号機付近で15日午前に測定された毎時400ミリシーベルトの高い放射線量は、15日に爆発した隣接する4号機の建物の残骸が影響した可能性があるという。
経産省原子力安全・保安院によると、炉心の冷却機能の喪失などで緊急事態が続いている同原発1~3号機では、原子炉への海水の注入を継続。しかし約4メートルの核燃料が半分程度、水面から露出しているという。枝野長官は、1、3号機への注水は安定しているが、2号機には懸念があるとの見解を示した。
同原発正門では、放射線量が15日午前9時に毎時1万1930マイクロシーベルトまで上昇したが、午後2時には同928マイクロシーベルトで、下降傾向となった。
2011/03/16 01:26 【共同通信】