レベル6以上と海外専門家 スリーマイル超す事故

原発事故の対策を考える上で重要な記事を共同通信とグリーンアクションが配信しています。ロシアのヤブロコフ博士は「福島事故はチェルノブイリ以上に深刻な事故になる恐れがある」と指摘。その理由として、燃料がチェルノブイリよりも多いことや、毒性の強いプルトニウムを含んだ燃料を使った原子炉があることを挙げています。

また、チェルノブイリ原発事故調査における第一人者ともいえる今中哲二さんは、住民の避難区域を拡大すること、特に妊婦・乳幼児の避難を呼びかけています。

◇福島県内各地方環境放射能測定値のプロット 今中(2011年3月25日)

レベル6以上と海外専門家 スリーマイル超す事故
 【ワシントン共同】福島第1原発事故で、経済産業省原子力安全・保安院は国際的な評価尺度で「レベル5」の事故とする暫定評価結果を発表した。だが、周辺への影響は同レベルの評価を受けた米スリーマイルアイランド原発事故を既に上回っており「最終的にレベル6以上になるのは確実」との見方が海外の専門家に広がっている。

 レベル5は、0から7までの8段階の尺度のうち上から3番目。「発電所外へのリスクを伴う事故」を意味する。

 スリーマイル事故では、半径80キロ圏内に住む人が受けた放射線量は平均10マイクロシーベルトとされ、一般人の年間被ばく限度、千マイクロシーベルトの100分の1。健康に与えた影響は小さかった。

 一方、福島では、周辺の水や食物などから国の基準を上回る放射性物質が検出されていることから、外部に漏れた量はスリーマイル事故を大きく上回るとみられる。事故後3~4日の間に放出されたセシウム137の量は、レベル7の評価を受けた旧ソ連チェルノブイリ原発事故後10日間の量の20~50%に相当するとの試算もある。

 このため、フランス原子力安全局のラコスト局長は「レベル6の事故であることは明らか」と強調。米シンクタンクの科学国際安全保障研究所(ISIS)はレベル7に達する可能性もあるとした。

 チェルノブイリ事故の人や環境への影響を調べたロシアの科学者アレクセイ・ヤブロコフ博士は「福島事故はチェルノブイリ以上に深刻な事故になる恐れがある」と指摘。その理由として、燃料がチェルノブイリよりも多いことや、毒性の強いプルトニウムを含んだ燃料を使った原子炉があることを挙げている。


福島県飯舘村のセシウム137による土壌汚染レベルの推定:今中哲二氏

チェルノブイリ原発事故の当初の強制移住レベルの2倍以上
1990年にベラルーシ最高会議が決定した強制移住レベルの約6倍

政府は:速やかに住民の避難区域を拡大すること。とりわけ妊婦・乳幼児の避難を。
汚染に関する詳細な情報を公表すること

 福島第一原発の事故によって、野菜、原乳、水、土壌が高濃度に、広範囲に汚染されていることが次々と明らかになっている。
 23日に文部科学省が発表した、福島県飯舘村のセシウム137による土壌汚染のレベルについて、今中哲二氏(京都大学原子炉実験所 原子力安全研究グループ)は、チェルノブイリ事故の強制移住(戻ってこれない)レベルと比べても、極めて高い汚染状況にあり、住民避難が拡大されなければならないと述べた(3月24日)。

* 飯舘村(いいたてむら) 福島第一原発から北西 約40km
* 土壌 セシウム137汚染 163,000Bq/kg
(文部科学省 3月23日発表)

[今中氏の推定方法]

* 文科省が発表した数値は、16万3000Bq/kg。土壌1kg当たりの汚染値になっている。
* サンプリング方法は不明。
* チェルノブイリの汚染と比べるためm2(平方メートル)に換算する簡易な方法として、(チェルノブイリ事故では、土地の表面の汚染レベルを測定。今回の文科省の発表はkg当たりのため)
* 表面2cmの土を1m2にまいたとして、体積は20リットル。比重を1とすると、土壌20kgに相当。
* 1m2の土地のセシウム137による汚染 16.3万Bq×20=326万Bq/m2
* チェルノブイリ事故当時(旧ソ連)の強制移住(戻ってこれないという意味)レベル 40キュリー/km2=148万Bq/m2 (1キュリー/km2=3万7千Bq /m2)
* 飯舘村の土壌汚染は、チェルノブイリ事故当時の強制移住の2倍以上の汚染
* その後のベラルーシ等の強制移住基準15キュリー/km2(55万5千Bq/m2)の約6倍にもなる。

今中氏は、飯舘村では高濃度のヨウ素131も確認されており、早急に住民を避難させるべきだと語った。政府は汚染に関する詳細なデータを公開すべきです。

チェルノブイリ事故による移住区域

* 旧ソ連政府の当初の移住区域 40キュリー/km2(148万Bq/m2)
* その後、社会的批判や関心の高まりにより、1990年ベラルーシ最高会議は15キュリー/km2(55万5千Bq/m2)以上の住民15万人を移住させる決議。1991年5月には旧ソ連最高会議も同様の基準を決定。

     
2011年3月25日
グリーン・アクション 代表:アイリーン・美緒子・スミス
京都市左京区田中関田町22-75-103 TEL 075-701-7223 FAX 075-702-1952
美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会 代表:小山英之
大阪市北区西天満4-3-3 星光ビル3階 TEL 06-6367-6580 FAX 06-6367-6581


土壌汚染「チェルノブイリ強制移住」以上 京大助教試算 (京都新聞)

東京電力福島第1原発の事故で、高濃度の放射性物質が土壌などから確認された福島県飯館村の汚染レベルが、チェルノブイリ原発事故による強制移住レベルを超えているとの試算を、京都大原子炉実験所の今中哲二助教(原子炉工学)がまとめた。

 飯館村は原発から北西約40キロ。今中助教は、原発の状況が分からず被災地各自の事情もあるとした上で「避難を考えた方がいいレベルの汚染。ヨウ素やセシウム以外の放射性物質も調べる必要がある」として、飯館村で土壌汚染を調査する方針だ。

 文部科学省の調査で20日に採取した土壌から放射性のヨウ素1キログラム当たり117万ベクレル、セシウム16万3千ベクレル、雑草からヨウ素254万ベクレル、セシウム265万ベクレルが確認された。土壌中のセシウムは通常の1600倍以上だった。

 今中助教は、土壌のセシウムで汚染の程度を評価した。汚染土を表面2センチの土と仮定すると1平方メートル当たり326万ベクレルで、1986年の旧ソ連チェルノブイリ原発事故で強制移住対象とした148万ベクレルの2倍超、90年にベラルーシが決めた移住対象レベルの55万5千ベクレルの約6倍だった。

 今中助教は「国は原発周辺の放射性物質を詳細に調べて分析し、ただちにデータを公開すべきだ」と話している。セシウムは半減期がヨウ素(8日)と比べ30年と長く、汚染の長期化が懸念されている。

【 2011年03月28日 15時52分 】

チェルノブイリの2~5割 福島原発放射性物質で試算

 【ウィーン共同】オーストリア気象当局は23日、福島第1原発の事故後3~4日の間に放出された放射性物質セシウム137の量は、旧ソ連チェルノブイリの原発事故後10日間の放出量の20~50%に相当するとの試算を明らかにした。

 同当局は双方の事故現場から1日当たりに放出されたセシウム137の量は「大差がない」とする一方、放射線の影響を総合的に判断したわけではなく、福島の事故規模がチェルノブイリよりも大きいとは「決して言えない」としている。

 試算によると、福島第1原発から同時期に放出されたヨウ素131もチェルノブイリの約20%に相当するという。

 福島第1原発から放出されたとみられる放射性物質は米国や欧州などでも検出されており、同当局はこうした測定値などを基に試算。チェルノブイリ事故については経済協力開発機構(OECD)原子力機関のデータを参照したという。

 一方、ロイター通信によると、フランスの放射線防御・原子力安全研究所(IRSN)は22日、福島第1原発事故で放出された放射性物質の量は、チェルノブイリ事故の約10%との見解を明らかにした。
2011/03/24 01:54 【共同通信】

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