この放射能の急激な上昇は何でしょう???
再臨界???
「最後の砦」である原子炉(圧力容器、格納容器)の水素爆発も心配な状況です。
1号機の燃料棒7割が損傷、爆発防止へ窒素 福島第1 (日本経済新聞 2011/4/6 19:29)
東京電力は6日、福島第1原子力発電所1号機の原子炉格納容器に窒素ガスを入れる準備を始めた。反応しにくい窒素で容器内を満たし、爆発を引き起こす危険のある水素の濃度を相対的に下げる狙い。燃料棒は冷却水から半分近く露出し、過熱して約7割が損傷、化学反応で水素が発生しやすくなっているという。爆発が起きれば大量の放射性物質が外に出る恐れがあり、対応を急ぐ。
外部の窒素発生装置から、燃料棒をしまってある圧力容器を覆う格納容器内に6000立方メートルの窒素を数日間かけて送り込む。格納容器には通常運転時には窒素が入っているが、建屋の天井を吹き飛ばした爆発で大部分が漏出したとみられる。
燃料棒を冷やす真水を炉内に入れているが、汚染水の漏出を招くため注入量を増やしにくくなっている。十分な冷却ができないと燃料棒の熱で水が蒸発、水蒸気が燃料棒を包む金属のジルコニウムと反応して水素が発生する危険が高まる。水が放射線で分解されて水素ができる場合もある。
水素濃度を相対的に下げるため、爆発の危険がない窒素の封入を急ぐ。窒素を入れると格納容器の圧力が高まる可能性もあるが、水素爆発のもたらすリスクに比べれば小さいと判断した。
1号機では格納容器の圧力、温度のデータから水蒸気が充満、水素爆発を起こす状態に達する可能性があるとみている。同社は6日、1号機の燃料棒の約7割が損傷しているとの試算結果も示した。検出した放射性物質の量から推計した。今後2、3号機にも窒素を入れることを検討する。
経済産業省原子力安全・保安院は6日夜、高濃度の放射性物質を含む汚染水が出ていた2号機付近のピット(立て坑)のひび割れ部分にゴム板を設置したと発表した。7日には取水口部分に横4メートル、縦8メートルの仕切り板7枚を挿入する。汚染水は6日午前に止まった後、出ていないという。
・
窒素注入は米NRCの助言、水素爆発再発を警告(4月7日 読売新聞)
新たな水素爆発を防ぐため、東京電力は福島第一原子力発電所1号機の原子炉格納容器に窒素を注入しているが、この措置は米原子力規制委員会(NRC)が報告書の中で必要性を強調していたものだ。
報告書は、同原発の現状について冷却のために原子炉に注入した海水の塩分が炉内にたまり、十分な冷却ができなくなっていると警告している。
NRCは、原発の安全審査や規制、放射性廃棄物管理の監督に強い権限を持つ米政府の独立機関。日米政府が福島第一原発事故の対応のため設立した連絡調整会議にも参加している。
NRCのチームが先月26日付でまとめた報告書は、1?3号機について、核燃料の一部が溶け、圧力容器の底にたまっていると分析。海水中の塩分が析出して燃料を覆い、冷却を妨げていると指摘した。特に、圧力容器内の温度が高い1号機で、塩の量が多いと懸念を表明している。2、3号機は、注水しても圧力容器の水位が上がらず、一部が壊れている可能性を示唆した。
また、海水は真水に比べて、放射線による分解で水素を発生しやすいと指摘。海水に溶けていた酸素と反応して、水素爆発を起こす危険があると警告した。
窒素注入は、その対策としてNRCが提案していたもので、東電は7日、「すぐに水素爆発する恐れはないが、(NRCの)指摘を踏まえた」と説明した。
(2011年4月7日21時58分 読売新聞)
・
Peace Philosophy Centre
福島原発事故についての緊急建言
(★4月4日、最新情報を下方に追加しております。)
立命館大学平和ミュージアム名誉館長、国際関係学部名誉教授の安斎育郎さんから送られてきた識者による「建言」を掲載します。安斎さんは、東大の放射線防護学の研究者・教員であった1960年代後半から日本の原発政策に反対し、さまざまなアカデミック・ハラスメントを受けました。安斎さん自身はこの「建言」の提言者には入っていません。東大工学部原子工学科の同期生から送られたきたとのことです。私の手元には3月31日(カナダ時間)に届いています。
安斎さん曰く:
赤字部分(中村注:『 』部分)は、私にも不気味です。原発を推進してきた名だたる人々も先の見定めがつかない事故の現状は、とても危うい。事態の悪化を招かないために、日本政府に声を集中して下さい。「専門家」任せは危ないです。「専門家」に任せた結果が現状です。「隠すな、ウソつくな、意図的に過小評価するな」、「最悪に備えて、最善を尽くせ」。
ここにこれを掲載するのは、原発を推進してきた人たちを応援するためではなく、この人たちさえ、ここまでの危機感を持っているということを知らせるためです。
************************************************************************
福島原発事故についての緊急建言
はじめに、原子力の平和利用を先頭だって進めて来た者として、今回の事故を極めて遺憾に思うと同時に国民に深く陳謝いたします。
私達は、事故の発生当初から速やかな事故の終息を願いつつ、事故の推移を固唾を呑んで見守ってきた。しかし、事態は次々と悪化し、今日に至るも事故を終息させる見通しが得られていない状況である。既に、各原子炉や使用済燃料プールの燃料の多くは、破損あるいは溶融し、燃料内の膨大な放射性物質は、圧力容器や格納容器内に拡散・分布し、その一部は環境に放出され、現在も放出され続けている。
『特に懸念されることは、溶融炉心が時間とともに、圧力容器を溶かし、格納容器に移り、さらに格納容器の放射能の閉じ込め機能を破壊することや、圧力容器内で生成された大量の水素ガスの火災・爆発による格納容器の破壊などによる広範で深刻な放射能汚染の可能性を排除できないことである。』
こうした深刻な事態を回避するためには、一刻も早く電源と冷却システムを回復させ、原子炉や使用済燃料プールを継続して冷却する機能を回復させることが唯一の方法である。現場は、このために必死の努力を継続しているものと承知しているが、極めて高い放射線量による過酷な環境が障害になって、復旧作業が遅れ、現場作業者の被ばく線量の増加をもたらしている。
こうした中で、度重なる水素爆発、使用済燃料プールの水位低下、相次ぐ火災、作業者の被ばく事故、極めて高い放射能レベルのもつ冷却水の大量の漏洩、放射能分析データの誤りなど、次々と様々な障害が起り、本格的な冷却システムの回復の見通しが立たない状況にある。
一方、環境に広く放出された放射能は、現時点で一般住民の健康に影響が及ぶレベルではないとは云え、既に国民生活や社会活動に大きな不安と影響を与えている。さらに、事故の終息については全く見通しがないとはいえ、住民避難に対する対策は極めて重要な課題であり、復帰も含めた放射線・放射能対策の検討も急ぐ必要がある。
福島原発事故は極めて深刻な状況にある。更なる大量の放射能放出があれば避難地域にとどまらず、さらに広範な地域での生活が困難になることも予測され、一東京電力だけの事故でなく、既に国家的な事件というべき事態に直面している。
当面なすべきことは、原子炉及び使用済核燃料プール内の燃料の冷却状況を安定させ、内部に蓄積されている大量の放射能を閉じ込めることであり、また、サイト内に漏出した放射能塵や高レベルの放射能水が環境に放散することを極力抑えることである。これを達成することは極めて困難な仕事であるが、これを達成できなければ事故の終息は覚束ない。
さらに、原子炉内の核燃料、放射能の後始末は、極めて困難で、かつ極めて長期の取組みとなることから、当面の危機を乗り越えた後は、継続的な放射能の漏洩を防ぐための密閉管理が必要となる。ただし、この場合でも、原子炉内からは放射線分解によって水素ガスが出続けるので、万が一にも水素爆発を起こさない手立てが必要である。
事態をこれ以上悪化させずに、当面の難局を乗り切り、長期的に危機を増大させないためには、原子力安全委員会、原子力安全・保安院、関係省庁に加えて、日本原子力研究開発機構、放射線医学総合研究所、産業界、大学等を結集し、我が国がもつ専門的英知と経験を組織的、機動的に活用しつつ、総合的かつ戦略的な取組みが必須である。
私達は、国を挙げた福島原発事故に対処する強力な体制を緊急に構築することを強く政府に求めるものである。
平成23年3月30日
青木 芳朗 元原子力安全委員
石野 栞 東京大学名誉教授
木村 逸郎 京都大学名誉教授
齋藤 伸三 元原子力委員長代理、元日本原子力学会会長
佐藤 一男 元原子力安全委員長
柴田 徳思 学術会議連携会員、基礎医学委員会 総合工学委員会合同放射線の利用に伴う課題検討分科会委員長
住田 健二 元原子力安全委員会委員長代理、元日本原子力学会会長
関本 博 東京工業大学名誉教授
田中 俊一 前原子力委員会委員長代理、元日本原子力学会会長
長瀧 重信 元放射線影響研究所理事長
永宮 正治 学術会議会員、日本物理学会会長
成合 英樹 元日本原子力学会会長、前原子力安全基盤機構理事長
広瀬 崇子 前原子力委員、学術会議会員
松浦祥次郎 元原子力安全委員長
松原 純子 元原子力安全委員会委員長代理
諸葛 宗男 東京大学公共政策大学院特任教授
*************************************************************************
このページには信じられないほどのアクセス数があった。どうやらインターネット上ではここにしかないらしい。「提言」というのだから幅広く政府、東電、関係省庁、メディア等に送ったのかと思っていたが、それもわからない。
読売新聞の4月2日の報道を参考までにつけておく。
福島第一原子力発電所の事故を受け、日本の原子力研究を担ってきた専門家が1日、「状況はかなり深刻で、広範な放射能汚染の可能性を排除できない。国内の知識・経験を総動員する必要がある」として、原子力災害対策特別措置法に基づいて、国と自治体、産業界、研究機関が一体となって緊急事態に対処することを求める提言を発表した。
田中俊一・元日本原子力学会長をはじめ、松浦祥次郎・元原子力安全委員長、石野栞(しおり)・東京大名誉教授ら16人。
同原発1?3号機について田中氏らは「燃料の一部が溶けて、原子炉圧力容器下部にたまっている。現在の応急的な冷却では、圧力容器の壁を熱で溶かし、突き破ってしまう」と警告。また、3基の原子炉内に残る燃料は、チェルノブイリ原発事故をはるかに上回る放射能があり、それをすべて封じ込める必要があると指摘した。
一方、松浦氏は「原子力工学を最初に専攻した世代として、利益が大きいと思って、原子力利用を推進してきた。(今回のような事故について)考えを突き詰め、問題解決の方法を考えなかった」と陳謝した。
(2011年4月2日01時42分 読売新聞)
・
Wednesday, April 06, 2011
NYT紙に報道された米原子力規制委員会の報告:問題への解決策が新たな問題を生んでいる
4月5日付のニューヨークタイムズに重要な記事があった。”U.S. Sees Array of New Threats at Japan’s Nuclear Plant” (「米国は日本の原発に新たな数々の脅威を見出す」)という題で、James Glanz, William J. Broad 記者の共著である。先日、『福島第一原発の1号機(タービン建屋)に見つかった高い濃度の放射性塩素38の原因は何か?』という、再臨界が起こっている可能性を問う論文の解説文和訳を掲載したが、その論文の著者、モントレー国際大学不拡散研究所研究員のフェレンス・ダルノキ―ベレス博士もこの記事の内容を重要視し、コメントをつけて送ってくれた。日本でも共同通信が簡単に報道した。
米紙、水素爆発の危険を指摘 当局の内部文書に基づき
【ワシントン共同】福島第1原発事故で、米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は5日、原子炉が余震によって壊れたり、水素爆発が起きる危険性が高まるなど、新たな多くの問題が起きていると指摘する記事を掲載した。
日本に派遣された米原子力規制委員会(NRC)の専門家らがまとめた3月26日付の内部文書に基づく情報として報じた。
同紙によると、原子炉冷却のために注入している水によって、原子炉格納容器のストレスが高まり、余震によって容器が破壊される危険性が高まっている。同原発1号機は内部にたまった塩により循環が著しく妨げられており、原子炉の中には水がなくなっている可能性もあるという。
また、原子炉内の水が分解されてできる水素によって水素爆発が再び起きる危険性も指摘した。
こうした問題に対処するため、NRCは日本政府に水素爆発を防ぐための窒素注入などをアドバイスしたという。
これは内部文書をニューヨークタイムズが入手してその内容を報道する形になっている。そもそもどうして原子力規制委員会(NRC)の文書が内密でなければいけないのか理解できないし、日本のメディアが原文を入手しているのかもわからないが、以下、フェレンスさんの助言にもとづき、重要とされる箇所を要約して紹介する。(フェレンスさんのコメントはFDVコメントと表記する)
★3月26日付のNRCの評価では、放射能を帯びた冷却水で一杯になった格納容器にどんどん負担がかかり、余震によって破損しやすい状態になっている。NRC内部文書は、原子炉に注入された海水によって水素と酸素が発生し、格納容器内での爆発の可能性にも触れている。半溶融状態になっている炉心と堆積した塩分が、炉心を冷やすための淡水の流れを妨げていることも詳細に渡り説明している。
★効果的な冷却ができないために燃料の過熱と溶融が続いた場合、溶融したままの放射能を持つかたまりが長い間残ることになる、と専門家は語る。
★この文書はニューヨークタイムズが入手したもので、日本側の責任者たちが発表してきたものより、より詳しい技術的評価書となっている。しかしデータは日本側から米側に提供されたものに基づいているように見える。
★この文書は、本来の冷却システムが機能していない中、水を注入することが長期的に持続可能なものなのか、新たな疑問を投げかけるものである。原子炉が安定するまで何カ月も水を注入し続けなければいけないが、それが原子力業界今まで直面したことのない新たな試練を生みだしている。
★初期の水素爆発により、使用済み燃料プールの燃料の破片が「1マイル上空に」吹き飛ばされ、高濃度の放射性物質が二つの号機の間に落下し、作業員の安全のために撤去しなければいけなかった。初期の水素爆発で起こったとされるこういった核物質の放出は、非常に高い放射能を持つ使用済み燃料プールが、これまでに報告されてきた以上に破損している可能性を示している。
★この文書でNRCが勧めている対処策としては、爆発を起こす可能性がある水素と酸素を取り除くため、窒素(不活性ガス)を格納容器に注入することと、炉心が「臨界」と呼ばれる核反応を再び起こさないように、冷却水にホウ素を入れることを続けることなどがある。
★しかしこの文書を書いた技術者たちは、「臨界」の再発が今すぐ起こる可能性は低いと見ている。この評定に関わったElectric Power Research Institute のニール・ウィルムスハート氏は「自分は臨界が起こっているというデータは目にしていない」と言っている。
(注:1号機の溜まり水にあった高濃度の塩素38が再臨界の可能性を示しているという論文を見てほしい。このNRC文書は、ニューヨークタイムズが報告する限りにおいてはその点には触れていない。)
★NRCの文書では、1,2,3号機の損傷した炉心についての図表を使った詳細がある。1号機においては、損傷した燃料と、冷却水として使われた海水の塩が、おそらく冷却水の流れを塞いでいるとする。「炉心の水位はゼロである可能性がある」ため、「どれだけの冷却の効果があるかは不明である。」2,3号機にも同様の問題があるが1号機ほど深刻ではないだろうとされている。(FDVコメント:これは重要である。ホウ酸が届いていないことを示すから。)
★原子力の専門家によれば、海水から淡水への切り替えによって塩の一部は流された可能性がある。
★格納容器における水位を上昇させることは、燃料を浸して冷却する方法として説明されてきた。しかしNRC文書では、「格納容器を水浸しにする際には、水圧が格納容器の耐震能力に及ぼす影響を考慮すべき」と警告する。(FDVコメント:ホウ酸の注入が無理などころか、これ以上の注水もできないということだ。)
★原子炉設計の専門家によれば、この警告は上昇する水位によって格納容器にものすごい重圧がかかるということである。格納容器に水が多ければ多いほど、余震によって壊れる可能性が高くなる。
★元GEの原子炉設計者、マーガレット・ハーディングも余震を警告して言った。「私が日本側の担当者だったら、地震の後にその構造的完全性を確認もできていない格納容器に何トンもの水を入れたままにしておくことはしない。」
★NRC文書はまた、高い放射性を持つ環境下での海水からの水素と酸素の放出のせいで、コンクリートと鋼鉄でできている格納容器に「爆発するかもしれないような危険性をはらんだ気体」を作りだしている可能性への懸念を表明している。(FDVコメント:海水の放射性分解のことを指していると思われるが、どうして他の水ではなく海水について言っているのか?)
★この災害の初期の何日かの間で起こった水素爆発がいくつかの原子炉建屋に大きな損傷を与え、1か所では格納容器自体に損傷があった可能性がある。水素が発生したメカニズムには、核燃料の金属被覆が関与している。この文書では、格納容器からこれらのガス(水素と酸素)を除去し、安定した窒素で満たす(地震と津波によって失われた機能)必要があるとしている。
★原子力の専門家は、炉心からの放射線は水の分子を二つに分離させ、水素を発生させ得ると言う。ウィルムスハースト氏は、3月26日の文書以来、技術者たちによる計算では発生する水素の量は少ないとされてきた。しかし、ノートルダム大学の物理学者、ジェイ・A・ラベルネ氏は、少なくとも炉心のそばでは水素が発生し、酸素と反応する可能性があると言う。「もしそうであるなら、炉心の側で爆発性のある混合物質があるということだ。」
★原子力の技術者たちは格納容器の外にある使用済み燃料プールの方が炉心溶融よりもさらに高いリスクをはらむと警告してきた。使用済み核燃料プールは原子炉建屋の上層部にあり、燃料を水に浸していなければいけないのだが、冷却システムは機能していない。
★NRCの報告書は4号機の使用済み燃料プールがこの危機の初期の段階で水素爆発を起こし、多量の放射性物質を大気中に放出したと示唆している。(”major source term release” と呼ばれる)
★専門家が使用済み燃料プールについて心配しているのは、爆発によって屋根がなくなり、中にある放射性物質が露わになっていることである。それに比べ、原子炉そのものは強固な格納容器があり、炉心溶融から来る放射線を封じ込める可能性がより高い。
要点は以上である。元の記事はここにある。
これらの懸念から、1号機では7日未明から1号機への窒素注入をはじめ、2、3号機でも行う予定であるという(朝日7日報道)。1?3号機で水素爆発の可能性があり、炉心溶融と海水からの塩が冷却水の流れを妨げ、高水圧のため格納容器が余震に対してもろい状態にあり、汚染水の放出もまだ続けているという現状だ。問題の解決のためにやむを得ず行ったことが別の問題を生みだし、その問題を解決しようとしたら更なる問題が生じるという問題の連鎖が続いている。その間に、本来の問題の解決(冷却ポンプの復旧)はますます遠のく。
フェレンスさんはメールで、この記事によるとNRCの専門家は再臨界の可能性が低いと言っていることについてこのようにコメントした。「このニューヨークタイムズの記事の著者たちは自分の(再臨界の可能性を論じた)塩素38についての論文を読んでいるかは疑わしい。私の論文を批判する人たちの多くは、東電が正しい計測をしていないのではないかという主張をする。東電が出した塩素38の数値も信用していないのである。東電への不信感から、データを疑い、私の論文自体も疑うのだ。 ここからは私の偏った見方になるが、再臨界が本当に起こっていて東電がそれを知られたくないと思っているのなら、自分たちのデータの信ぴょう性に疑いを持たせることで逆に知られたくないという目的を達することができる。実際に東電がそういう意図を持つとは言わない。しかし塩素38の値が高すぎたならどうして再計測しないのか。そこが自分には理解できない。」
フェレンス・ダルノキ―ベレスさんの論文(日本語での解説文はここを参照)についてはたくさんのコメントや質問があり、返答もしている(論文の最後を参照)。そのやり取りも翻訳と、論文自体の翻訳ももうすぐ発表する予定である。
投稿者 Peace Philosopher 時刻: 11:33 PM
Email This BlogThis! Share to Twitter Share to Facebook Share to Google Buzz
ラベル: Fukushima Nuclear Power Plants 福島原発問題, Hiroshima/Nagasaki/Nuclear Disarmament, In Japanese 日本語投稿, Nuclear Waste
東京電力福島第一原発の1、3号機で発生した水素爆発は、経済産業省原子力安全・保安院が想定していない事態だったことがわかった。
保安院が8日夜、記者会見で明らかにした。
水素ガスは、原子炉内の水位が低下し、核燃料棒が水から露出して高温になると発生する。しかし、保安院によると、圧力容器を囲む原子炉格納容器には通常、窒素を充満させており、水素と反応して爆発を引き起こす酸素はほとんど存在しない。実際には、1号機で3月12日、3号機では同14日に、格納容器のさらに外側の原子炉建屋で、水素爆発が起きた。
保安院側は「設計上は格納容器から水素が漏れないようになっている。国の安全審査でも、漏れてしまったらどうするかという設計上の手当はされていない」と認めた。
(2011年4月8日22時27分 読売新聞)
・