この被ばく基準で、何人の子どもたちが亡くなりますか?

今、福島の子どもたちを守れるかどうかの瀬戸際にきています。
子どもを守るべき文科省が、年間被ばく量20ミリシーベルトという恐ろしい基準を決めようとしています。小中学生も幼稚園児も保育園児でさえも20ミリシーベルト。

この基準で決まった場合、数年後、数十年後にどれだけの被害が出るのでしょう。

基準をつくっている人たちに聞いてみたい。「あなたの孫を年間被ばく20ミリシーベルトの地域に住まわせることができますか」と。高木義明文科相や政府は、子どもたちのいのちを犠牲にして何を守ろうとしているのでしょう。

この問題をできるだけ多くの人に知ってもらい、一人でも多くの子どもたちが救われることを願っています。

東日本大震災:教育現場に戸惑い 被ばく量、子どもの基準定まらず
(4月16日 毎日新聞)

 東京電力福島第1原発事故で大量に放出された放射性物質の影響が懸念される中、登校の可否などに関する国の安全基準が定まらないまま、大半の市町村では新学期が始まった。福島市教委は各学校に対し、屋外での活動を自粛するよう独自の通知を出したが、「健康安全が第一とは言いつつも、子どものストレスを考えるといつまでも屋内でいいのかという問題もある。国が早く基準を示してほしい」(学校教育課)と国に早期の対応を求めている。

 安全基準をめぐっては3月30日、福島県教委から国の現地対策本部に相談があったのを受け、文部科学省などが検討を進めている。原子力安全委の代谷誠治委員が13日、安全基準の検討状況を問われ、「子どもは(年間の累積被ばく放射線量を)成人の半分の10ミリシーベルト程度を目安に抑えるべきだ」と発言。ところが、高木義明文科相が14日の参院文教科学委員会で「基準は年20ミリ」と答弁すると、代谷委員も同日の会見で「できるだけ子どもの被ばくを少なくするのは通常のことなのでそう言ったが、安全委の決定ではない」と修正した。

 福島県は4月上旬、県内の小中学校や幼稚園などの校庭や園庭で大気中の放射線量を調査した。市民団体「原発震災復興・福島会議」が集計した結果、75・9%(1242施設)が、原子力施設で不要な放射線被ばくを避けるため法令で設定されている放射線管理区域基準(3カ月で1・3ミリシーベルト)を1時間あたりに換算した値の0・0006ミリシーベルトを上回っていた。特に福島市などの県北地域や南相馬市などの太平洋沿いの北部地域では96~99%で管理区域基準の数値を超えていた

 文科省の原子力災害対策支援本部は、安全基準について「登校の可否だけを示すのか、学校生活上の留意点を示すガイドライン的なものになるのか、未定。慎重に検討している」と話す。14日からは放射線量が特に高い50施設で改めて土壌と大気を調査しているという。福島会議の中手聖一・世話人は「始業式のために遠方の避難先から戻ってきた子どもも多い。保護者の不安は募っており、管理区域基準の値を超える学校では当面、授業中止や集団疎開などの措置を取るべきだ」と訴えている。【須田桃子、西川拓】
(引用ここまで)


もともと日本の被ばく上限は、1ミリシーベルトでした。イギリス、ドイツは0.3ミリシーベルトを設定しています。20ミリシーベルトという数値は、その66倍。そして、チェルノブイリ原発事故の避難基準であった5ミリシーベルトの4倍にもなります。
出典


学校の高い放射線量に懸念 福島県調査で安全委
(2011.4.9  産経ニュース)

 原子力安全委員会は9日、福島県が学校で実施した放射線量調査を分析し、一部で高い放射線量が計測されたとの見解を示した。

 県は福島第1原発から半径20キロ圏内を除いた小中学校など計1648カ所の教育施設で放射線量を調査し、8日に最終結果を公表。最高値は浪江町立津島小で、地面付近が毎時30・1マイクロシーベルト、高さ1メートルが23マイクロシーベルトだった。

 代谷誠治委員は9日の会見で「かなり高く、開校(登校)をお勧めできない所もあった」と述べた。具体的な学校名には触れなかった。

 同県飯館村や浪江町では大半の生徒が避難し、授業は行われていない。代谷委員は学校生活でほこりを吸い込むなど内部被ばくへの配慮も求め「開校できるかどうかの判断基準は文部科学省が近く示す」と話した。
(引用ここまで)


★参考までに、上記30マイクロシーベルトを年間に換算するとどうなるか計算してみます。(まだ、原発からの放射能放出が続いていますが、数値が変わらないと仮定して計算します)

30×24時間=720マイクロシーベルト(1日)
720×30日=21600マイクロシーベルト(1ヶ月)
21600×12ヶ月=259200マイクロシーベルト(1年)
259200マイクロシーベルトは、259.2ミリシーベルト(避難基準の13倍)
*1000マイクロシーベルト=1ミリシーベルト

つまり、浪江町立津島小の場合(内部被ばくを考慮しない場合でも)
1ヶ月で避難基準の20ミリシーベルトを超えます。
2日で日本の原発事故前の基準1ミリシーベルトを超えます。
10時間でドイツ、イギリスの基準0.3ミリシーベルトになります。

今、文科省が決めようとしている年間20ミリシーベルトが基準となった場合は、毎時2.2マイクロシーベルトの保育園、幼稚園も基準内(滞在OK)ということになります。

しかし、本来の1ミリシーベルトが基準であれば、毎時0.11マイクロシーベルトが避難基準になります。福島県内のほとんどの保育園、幼稚園、小中学校がこの数値を超えています。(汚染数値資料

しかも、この数値には、外部被ばくだけしか入っていません。現実には、空気や水や食べ物から体内に放射能を取り込む内部被ばくが外部被ばくより大きくなります。中部大学の武田邦彦教授は、総被ばく量を大人は外部被ばくの3倍、子どもは4倍で計算しています。


●数年後~数十年後の被害の予測
1985年にノーベル賞を受賞した「社会的責任を果たすための医師団」は、「被ばく線量に『ここまでは安全』というレベルはない。一定量までの摂取なら健康に害はないとする報道は間違いだ。健康に影響を与える最低量は100ミリシーベルトという報道があるが、確立された研究はこれを否定している。

100ミリシーベルトは100人に1人、10ミリシーベルトは千人に1人、1ミリシーベルトは1万人に1人がガンになるリスクを生む低レベルであっても、何千人、何百万人が被ばくすれば一定割合の人がガンになる」と警告しています。

そして、ガンは氷山の一角に過ぎません。同じ「事故レベル7」のチェルノブイリでは、免疫力が低下し、内分泌系、循環器系をはじめとする様々な病気が増えました。(チェルノブイリの出来事を伝える動画

確かに、「直ちに健康被害はありません」が、数年後から多くの子どもたちに健康被害が現れ始めるでしょう。https://www.windfarm.co.jp/blog/blog_kaze/post-3285


ドイツ放射線防護協会 2011 年3 月20 日

日本における放射線リスク最小化のための提言から抜粋

1.放射性ヨウ素が現在多く検出されているため、日本国内に居住する者は当面、汚染の可能性のある*サラダ菜、葉物野菜、薬草・山菜類の摂取は断念することが推奨される。

2.評価の根拠に不確実性があるため、乳児、子ども、青少年に対しては、1kgあたり4 ベクレル〔以下 Bq:訳者注〕以上のセシウム137 を含む飲食物を与えないよう推奨されるべきである。成人は、1kg あたり8Bq 以上のセシウム137 を含む飲食物を摂取しないことが推奨される。

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次